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第九章

399 成長早い

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( リーフ )


「 ……リーフ様は……最近とても楽しそうですね。


レガーノから出てから、とても沢山の人達に囲まれて……次から次に湧いて出てきては纏わりついてくるのが、俺はとても嫌です。

ずっと俺だけだったのに……この不安や恐怖をどうしたらいいですか?

────これはきっとずっとついて回る感情だと……分かってはいるんです。


でも……。


その上手い受け入れ方が……まだ俺には理解できません……。 」



────おや……?


おやややや~???


レオンの驚きの変化におじさんはびっくりだ!

ジワっと湧いてくる喜びによって弧を描きそうになる口元を、パパンっ!!と空いている方の手で塞いで慌てて隠した。


これは親元から離れた幼子が、最初に必ず通る道なり~。

初めて沢山の同世代の子達がひしめく広い世界へ飛び出した時のやつ。


隠した口元がニヨニヨムズムズするが、必死に笑いを堪える。


” 今まではリーフ様、モルト、ニール、自分の4人、仲良し幼馴染~ズで楽しくやっていたのに、急に沢山の人達が来て怖い!

ボクはどうすればいいのかな……。 ”


今のレオンの心境は、多分ここ。


こういう場合、どうするのがレオンにとってよいものか……。


ニヤつきが治ったので顔から手を外し、うう~ん?と考えてみる。


大人数で遊ぶのがどうしても好きでない性格なら、九割くらい放って置き、いけそうな時だけ巻き込む。

本当は中に入りたいのに "   い~れ~て~ "   できないだけなら米俵を抱える様に物理的に持っていく。


さぁ、レオンにはどっちが正解なのかな~?


悶々と悩む俺の様子にレオンは眉を僅かに寄せ、悔しさが滲みでた様な?悲しそうな?分類がイマイチ分からない表情を浮かべた。


「 ……そもそも他の奴らなど、いたって役になんて立つとは思えません。

俺は何でも出来るし、どんな願いだって叶えることができます。


だから ” 他 ” は何一つ必要としない。


どんな望みも叶う世界を俺が作って差し上げるのに……それでも他の ” 人 ” は必要ですか?


────なぜ?


どうして煩わしいだけのいらない存在に関わろうとするのですか? 」



おおおお????!!

今度は第二思春期を迎えた中学生みたいな事を言い出したぞ!!


親元から離された幼稚園児から、一気に中学二年生まで。

レオンの心の成長が早すぎる!


驚きつつ、またしても難しい事を言い出したなと頭を擦りながら再び迷う。


そもそも、それに対する頭トリさんの俺の答えなんて───『 楽しいから~! 』


コレ一択のみ。


もちろんレオンの言っている事だって個性だから正確。

良き良き。


ただ人生を一度終わらせた年配者として言うなら、他人が必要か~とか自分だけの力でなんでも~というのは ” 若さと健康 ” という土台あってのものだったなとはしみじみ思うが……。


その ” 他 ” という存在が誰かいなかったら、うっかり置いた老眼鏡を、多分100本くらいは失くしていた前世を思い出し、フフッ……と笑った。


しっかり者で物忘れなど皆無だった前世の親友陽太も、歳とともに物忘れを経験し、よくブツブツ文句をいっていた気がする。


” 若い時には他人の有り難みってわかりづらいよな。

ちゃんと大事にしないと駄目だった。 ” ってね。



「 そうだね~。いらないかもしれないね、今は。

でももしかしたら、将来あっててよかったって思うかもしれないし、余力があるなら取っておいたらどうかな?


とりあえず他の人と関わってみて嫌だな~と思ったら、それはそれで心の片隅にでも転がしておけばいいよ。


備えあれば憂いなしって言葉もあるからね、なんでもとっておこう。 」



おじさんの特性の1つ。


” 使わないのにとっておく、そして存在を忘れて家の中はごっちゃり ” 現象。


誇れる事ではないが、何となく得意げな気持ちになって鼻息をブフッと拭いた。


一歩間違えればゴミ屋敷一直線の、この悪習慣。

ところがどっこい、ひょんな時に取っておいて良かった~になったりして思わぬ大活躍をしたりすることだってあるのだ!

稀に。


迷っているならとっておこう。

今はいらないものはとりあえず部屋の隅にでも置いておけばいい。


俺はそういうタイプ。



「 ……そう……ですか……。 」



しかし、レオンはどうやらそういうタイプではないらしく、俺の答えが不服なご様子をみせ─────悲しげな表情でそう言ってまた黙ってしまった。
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