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第九章
395 白昼夢
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( リーフ )
警戒を解いた俺に、レオンはこの建物内の説明を始めた。
一応このおしゃれコテージは寝室専用にしたらしく、ベッド・マッシュの他には下はふかふかした何かの毛で作られた絨毯が敷かれ、本棚や収納棚、小さいテーブルに二人がけのソファーなどなど、スタンダードな寝室仕様になっている。
しかし、その身に覚えのない家具の数々に俺はまたもや首を傾げ、サスサスとそれらを触りながらレオンに尋ねた。
「 あれ?この家具とかって家から持ってきたやつ?? 」
「 いえ。作りました。 」
ーーーえっ!!全部手作り!?
そんな短い時間で全て作り上げたという事、更にその出来が匠レベルな事に驚きながら家具の数々をマジマジと見ていると、レオンは更に横につながる扉を指差しそちらへと誘導してくる。
それに素直に着いていくと、またしても驚きの空間が目に入りギョギョッと目を見張った。
その扉は隣に建つ日本式の建物に繋がっていて、そこには大きめなテーブルと2人掛けのソファーなどなど、どうやらご飯を食べたりお茶をするスペースを想定した感じで、奥にはキッチンらしきスペースと食料庫のようなものまである。
畳何枚分だろう、この家……。
二人で住むには広すぎる部屋の広さに驚き、片目を瞑って1、2、3~などと数えてみた。
森に突入する形で立地はマイナスかもしれないが、これはお高いんじゃないの~?
そんなふざけた事を考えて笑っていたが、突然、はっ!と気づく。
先程のコテージエリアもここも、どうも外から見て想定される広さではない気がするのだが……一体どうなっているのだろうか?
「 なんか部屋広すぎないかい?
外から見た面積と合わない様な気がするんだけど?? 」
「 そうですね。同じ方が良いですか? 」
レオンは手にもつ食べ物をテーブルに置きながら、フム……と考える素振りを見せると、突然人差し指をスッ……静かに立てた。
するとーーーー……
ゴゴゴゴーーーッ!!
凄い轟音を立て両サイドの壁が突如中央に向けて迫ってきたのだ!
俺はその謎の現象に、わぁぁーー!!と大混乱!!
叫び声を上げながら迫りくる壁に両手をついて、フンッ!!と踏ん張る。
「 レオンが作ってくれたお家がなくなっちゃうよ!
レオン!早く手伝ってーー! 」
フンフンッ!と必死に迫りくる壁を押す俺をレオンはジッと見つめ、とりあえずといった感じにオズオズと俺の隣に来て、壁に添える程度に両手を当てる。
「 レオンもっと!もっと強く!!俺たちの家を守るぞ!! 」
そのやる気のなさに気合を入れると、その気持ちが通じたのかレオンも俺と同じくらいに体を傾け壁を押す。
すると………………
にょにょ~ん。
そんな気が抜けるような音と共に壁は俺たちが押している方向へと粘土の様に伸びていき、そのまま遥か遠くまで行ってしまった。
突然押していた対象が無くなり、地面にバタンッ!と倒れそうになったが、すかさずレオンが俺の体をキャッチ。
そのままヒョイッと抱っこされてしまった。
それにお礼を言うのも忘れて、俺はまるで真っ直ぐ伸びる道路のようになってしまった家を呆然と見つめ、ヘタリ……とレオンの腕の中、力を失くす。
俺たちの家が謎の現象で粘土のように伸びてしまった……。
レオンはしょんぼりしていた俺を不思議そうに眺めた後、また人差し指をスッと挙げるとーーー
にょにょにょにょ~ん。
そんな音を立てながら再び戻ってくる壁に、目玉がポポーーン!!と飛び出るほど驚いた。
「 どのくらいの広さにしますか? 」
全く動じる気配もなくレオンが聞いてくるもんだから、目と口をパカンッと開けながらボソボソと答える。
「 ええっと……???じゃ、じゃあ、最初の位置で……?? 」
「 分かりました。 」
コクリと頷いたレオンは、そのまま一番最初の壁の位置まで来た壁を見届けると、人差し指をスッと下に下ろした。
????
まるで白昼夢のような出来事に唖然としていると、レオンは俺を抱っこしたまま縁側の方へ。
そこはまんま日本昔話に出てくる縁側で、眼の前には畑とその先には森が広がっている。
今は夜だから出来ないが、昼は多分気持ちよく日向ぼっこができそうだ。
そろそろ暗くなってきたためか、キラリマッシュ達が淡い光で発光しだし幻想的な景色になり始めたのをぼんやり眺めていると、レオンが次に向かったのは部屋の中にある小ぶりの扉だった。
ガチャッと開けてくれた扉の中に見えたのはーーー
「 トイレだ!!! 」
家を作る際最も欲しくて、そして騒ぎまくりうっかり忘れてしまったトイレ!
完全な姿で眼の前にドドンとあるトイレにパァ~!!と気分は最上階まで駆け上がる。
思わずレオンの上から降りて近くで見ると、洋式のそのトイレはちゃんと水洗式となっていて、便器の奥に洗浄用の魔道具らしき石がちゃんと嵌められている様だ。
「 レオン!トイレを作ってくれてありがとう!
でも、この洗浄用の魔導具どこにあったんだい? 」
そんなものは持ってきた覚えがないし、だからこそ魔導具専門店に行って買おうと目論んだのだが……
それについてもレオンはあっさりと答えた。
「 良い瘴核が有りましたので使いました。 」
……おおおお???
またしても飛んでいく俺の目玉達にバイバイしながら、もう見つからないかもしれないというくらい遠くへと飛んでいってしまった。
瘴核を使用可能に加工するにはそれなりに準備が必要で、かつ熟練した技術がないと不可能。
ましてやこんな短時間でできる工程ではないはずなのは素人の俺でも分かる事だ。
その事について、う~ん、う~ん……と脳が溶けるくらい考えたその結果ーーー
" 英雄の資質は凄い!レオンはスーパー器用! " ……で、とりあえず落ち着いた。
これなら将来職に困ることはないぞ!
レオンの頭をス~リスリすると、レオンは嬉しそうに笑みを溢し、そのまままた次の横の扉へ俺を連れて向かう。
日本家屋が真ん中に建っている事を考えると、その扉はあの屋根のない謎部屋に繋がっているはず……!
ワクワクしながら中を覗くとーーーー
警戒を解いた俺に、レオンはこの建物内の説明を始めた。
一応このおしゃれコテージは寝室専用にしたらしく、ベッド・マッシュの他には下はふかふかした何かの毛で作られた絨毯が敷かれ、本棚や収納棚、小さいテーブルに二人がけのソファーなどなど、スタンダードな寝室仕様になっている。
しかし、その身に覚えのない家具の数々に俺はまたもや首を傾げ、サスサスとそれらを触りながらレオンに尋ねた。
「 あれ?この家具とかって家から持ってきたやつ?? 」
「 いえ。作りました。 」
ーーーえっ!!全部手作り!?
そんな短い時間で全て作り上げたという事、更にその出来が匠レベルな事に驚きながら家具の数々をマジマジと見ていると、レオンは更に横につながる扉を指差しそちらへと誘導してくる。
それに素直に着いていくと、またしても驚きの空間が目に入りギョギョッと目を見張った。
その扉は隣に建つ日本式の建物に繋がっていて、そこには大きめなテーブルと2人掛けのソファーなどなど、どうやらご飯を食べたりお茶をするスペースを想定した感じで、奥にはキッチンらしきスペースと食料庫のようなものまである。
畳何枚分だろう、この家……。
二人で住むには広すぎる部屋の広さに驚き、片目を瞑って1、2、3~などと数えてみた。
森に突入する形で立地はマイナスかもしれないが、これはお高いんじゃないの~?
そんなふざけた事を考えて笑っていたが、突然、はっ!と気づく。
先程のコテージエリアもここも、どうも外から見て想定される広さではない気がするのだが……一体どうなっているのだろうか?
「 なんか部屋広すぎないかい?
外から見た面積と合わない様な気がするんだけど?? 」
「 そうですね。同じ方が良いですか? 」
レオンは手にもつ食べ物をテーブルに置きながら、フム……と考える素振りを見せると、突然人差し指をスッ……静かに立てた。
するとーーーー……
ゴゴゴゴーーーッ!!
凄い轟音を立て両サイドの壁が突如中央に向けて迫ってきたのだ!
俺はその謎の現象に、わぁぁーー!!と大混乱!!
叫び声を上げながら迫りくる壁に両手をついて、フンッ!!と踏ん張る。
「 レオンが作ってくれたお家がなくなっちゃうよ!
レオン!早く手伝ってーー! 」
フンフンッ!と必死に迫りくる壁を押す俺をレオンはジッと見つめ、とりあえずといった感じにオズオズと俺の隣に来て、壁に添える程度に両手を当てる。
「 レオンもっと!もっと強く!!俺たちの家を守るぞ!! 」
そのやる気のなさに気合を入れると、その気持ちが通じたのかレオンも俺と同じくらいに体を傾け壁を押す。
すると………………
にょにょ~ん。
そんな気が抜けるような音と共に壁は俺たちが押している方向へと粘土の様に伸びていき、そのまま遥か遠くまで行ってしまった。
突然押していた対象が無くなり、地面にバタンッ!と倒れそうになったが、すかさずレオンが俺の体をキャッチ。
そのままヒョイッと抱っこされてしまった。
それにお礼を言うのも忘れて、俺はまるで真っ直ぐ伸びる道路のようになってしまった家を呆然と見つめ、ヘタリ……とレオンの腕の中、力を失くす。
俺たちの家が謎の現象で粘土のように伸びてしまった……。
レオンはしょんぼりしていた俺を不思議そうに眺めた後、また人差し指をスッと挙げるとーーー
にょにょにょにょ~ん。
そんな音を立てながら再び戻ってくる壁に、目玉がポポーーン!!と飛び出るほど驚いた。
「 どのくらいの広さにしますか? 」
全く動じる気配もなくレオンが聞いてくるもんだから、目と口をパカンッと開けながらボソボソと答える。
「 ええっと……???じゃ、じゃあ、最初の位置で……?? 」
「 分かりました。 」
コクリと頷いたレオンは、そのまま一番最初の壁の位置まで来た壁を見届けると、人差し指をスッと下に下ろした。
????
まるで白昼夢のような出来事に唖然としていると、レオンは俺を抱っこしたまま縁側の方へ。
そこはまんま日本昔話に出てくる縁側で、眼の前には畑とその先には森が広がっている。
今は夜だから出来ないが、昼は多分気持ちよく日向ぼっこができそうだ。
そろそろ暗くなってきたためか、キラリマッシュ達が淡い光で発光しだし幻想的な景色になり始めたのをぼんやり眺めていると、レオンが次に向かったのは部屋の中にある小ぶりの扉だった。
ガチャッと開けてくれた扉の中に見えたのはーーー
「 トイレだ!!! 」
家を作る際最も欲しくて、そして騒ぎまくりうっかり忘れてしまったトイレ!
完全な姿で眼の前にドドンとあるトイレにパァ~!!と気分は最上階まで駆け上がる。
思わずレオンの上から降りて近くで見ると、洋式のそのトイレはちゃんと水洗式となっていて、便器の奥に洗浄用の魔道具らしき石がちゃんと嵌められている様だ。
「 レオン!トイレを作ってくれてありがとう!
でも、この洗浄用の魔導具どこにあったんだい? 」
そんなものは持ってきた覚えがないし、だからこそ魔導具専門店に行って買おうと目論んだのだが……
それについてもレオンはあっさりと答えた。
「 良い瘴核が有りましたので使いました。 」
……おおおお???
またしても飛んでいく俺の目玉達にバイバイしながら、もう見つからないかもしれないというくらい遠くへと飛んでいってしまった。
瘴核を使用可能に加工するにはそれなりに準備が必要で、かつ熟練した技術がないと不可能。
ましてやこんな短時間でできる工程ではないはずなのは素人の俺でも分かる事だ。
その事について、う~ん、う~ん……と脳が溶けるくらい考えたその結果ーーー
" 英雄の資質は凄い!レオンはスーパー器用! " ……で、とりあえず落ち着いた。
これなら将来職に困ることはないぞ!
レオンの頭をス~リスリすると、レオンは嬉しそうに笑みを溢し、そのまままた次の横の扉へ俺を連れて向かう。
日本家屋が真ん中に建っている事を考えると、その扉はあの屋根のない謎部屋に繋がっているはず……!
ワクワクしながら中を覗くとーーーー
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