403 / 1,001
第九章
390 守備隊は大変なお仕事
しおりを挟む
( リーフ )
「 おいっ!!何をしている!! 」
ピピィーーッ!!という笛の音とともに、30代後半~40代くらいの小さな丸いサングラスをかけた軽いアフロヘアーの男性が走ってきた。
直前まで何かと戦っていたかの様に全身泥とホコリで汚れ、返り血か自身の血か分からない汚れも多く細かい怪我もしているようだが……
胸元に光る金色の守備隊員バッチから彼がこの街を守る【 守備隊 】に所属している人ということが分かる。
体格はガチッとしている事と、背中に大盾を背負っている事からおそらくは最前衛を守る防御型かな?
ジロジロ見ながら冷静に分析していると、スキンヘッドもどき達はその男性を知っている様子で、チッと盛大に舌打ちをした。
「 お~お~、これはこれは……
守備隊隊長の< ケン >様ではないですか~。
朝早くからこんな時間までずっと働きっぱなしだったんですかぁ?
いや~、流石、領主様の飼い犬達は大変ですなぁ!本当にお可哀想に~!
俺達は気ままな冒険者ですのでぇ~これから楽しい時間を満喫するところでーす。 」
労るような言葉だが、そんなこと微塵も思っていない様子で耳をほじりながら言うスキンヘッドもどきの男。
そしてそれをギロッと睨みつける< ケン >さんと呼ばれた男性は睨み合い、そのせいで更に悪くなった空気の中ーーーケンさんは気持ちを落ち着かせるためか、ふっと短い息を吐いた。
「 ……またお前か、< ゲイル >。
【 絶炎のスネーク 】は毎日毎日……
グリモアが今、大変な状況なのは分かっているだろう?
このことは冒険者ギルドへ報告するからな。 」
「 へいへ~い、どうぞご自由に~。
……でも言ったところで無駄だと思うぜぇ?
俺達がいないと困るのはここの街の人達じゃないんですか~?
街を守らないといけない守備隊の隊長様が、そ~んな街を危険に晒すような無責任な事言っていいんですかぁ??
なぁ!そうだよな~?グリモアの街民のみ・な・さ・ん? 」
スキンヘッドもどきはそう言って街の人達をぐるりと見回すと、その視線を受けた街の人達はグッ……と悔しそうな顔をし視線を下げる。
ケンさんもパンダの様な大きな隈がついている目を僅かに下げ、悔しそうな様子を見せたが、それでもグッと視線を直ぐにあげて言った。
「 ……確かに今、お前たちがいなくなってしまえばこの街の被害は更に増える。
しかし、お前たちも下手なことをすれば推薦してくれた ” お貴族様 ” の顔に泥を塗る事になるぞ?
特にこの街の守備隊と大義名分もない状態で衝突なんて事になれば領主との関係も悪くなる。
……それでも俺とやり合うか? 」
痛い所を突かれたのか、スキンヘッドもどきはイラッとした表情を隠そうともせずケンさんを睨みつけ、またしても一触即発の空気になったがーーー
それを破ったのはスキンヘッドもどきの方であった。
「 ……あーハイハイ~。
流石にそれは面倒だし、今日のところは守備隊隊長様に免じて引き下がりまーす。
俺は楽し~くお仕事したいんでね。 」
スキンヘッドもどきはペッと唾を吐き捨て、隣にいる男たちに目配せしクルリと後ろを向くとゆっくり歩き出す。
それにケンさんや街の人達はほっとした様子で息を吐いた。
詳しい事情は知らないが……多分モンスターが増加したことで人手が足りず、あの変てこな髪型の男たちがヘルプに来ていると、そんな感じなのかな?
なるほど~と考え込んでいた、その時、ピタリとスキンヘッドもどきの足が止まった。
「 …………だがよぉ~やっぱ舐められたままだとムカつくんだわ。 」
そう小さく呟きながらニヤッと笑った彼の足元に、一瞬で何かの魔法陣が展開され、それを踏んだかと思えばまさに電光石火のスピードで移動。
気がつけば俺の目の前で拳を振り上げた状態でいた。
<拳圧師の資質> (ノーマルスキル)
< 跳躍陣 >
バネの性質をもつ魔法陣を創り出し、それを踏むことで凄まじいスピードで移動する事ができる。
自身のスピード値が高いほどその上昇値は高くなる。
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、スピードを持つ事
一定回数以上敵との戦闘経験があること
あっ!!!と口を開け、慌てて駆け寄ろうとするケンさんと、恐怖に引きつる顔を見せる街の人達。
その顔が一瞬で俺の視界に入り、更に眼の前のスキンヘッドもどきのニヤついた顔に行き着くと、彼はニタァ~と興奮したような顔を見せる。
「 クソガキに現実見せてやんよっ!! 」
そう大声で叫び、俺の顔に向かって引いていた拳を思い切り振り下ろしたーーーーー
ーーーーが……
俺はその拳をヒョイッと軽く避け、倒れ込む様に前に向かおうとするスキンヘッドもどきの横へ、トトンッ!とケンケンパをする様な動きで一瞬で近づくとーー
「 はへっ……??? 」
間抜けな声と共に目を見開くそいつの顔目掛けて、右ストレートを炸裂!
するとスキンヘッドもどきは、殴られた衝撃でメキョッと嫌な音を立てて顔が変形し、その勢いのまま彼は10m以上離れたところまで吹っ飛んでいく。
そしてその後はゴロンゴロンと転がっていき……その先にある木に激突してやっと止まった。
「 おいっ!!何をしている!! 」
ピピィーーッ!!という笛の音とともに、30代後半~40代くらいの小さな丸いサングラスをかけた軽いアフロヘアーの男性が走ってきた。
直前まで何かと戦っていたかの様に全身泥とホコリで汚れ、返り血か自身の血か分からない汚れも多く細かい怪我もしているようだが……
胸元に光る金色の守備隊員バッチから彼がこの街を守る【 守備隊 】に所属している人ということが分かる。
体格はガチッとしている事と、背中に大盾を背負っている事からおそらくは最前衛を守る防御型かな?
ジロジロ見ながら冷静に分析していると、スキンヘッドもどき達はその男性を知っている様子で、チッと盛大に舌打ちをした。
「 お~お~、これはこれは……
守備隊隊長の< ケン >様ではないですか~。
朝早くからこんな時間までずっと働きっぱなしだったんですかぁ?
いや~、流石、領主様の飼い犬達は大変ですなぁ!本当にお可哀想に~!
俺達は気ままな冒険者ですのでぇ~これから楽しい時間を満喫するところでーす。 」
労るような言葉だが、そんなこと微塵も思っていない様子で耳をほじりながら言うスキンヘッドもどきの男。
そしてそれをギロッと睨みつける< ケン >さんと呼ばれた男性は睨み合い、そのせいで更に悪くなった空気の中ーーーケンさんは気持ちを落ち着かせるためか、ふっと短い息を吐いた。
「 ……またお前か、< ゲイル >。
【 絶炎のスネーク 】は毎日毎日……
グリモアが今、大変な状況なのは分かっているだろう?
このことは冒険者ギルドへ報告するからな。 」
「 へいへ~い、どうぞご自由に~。
……でも言ったところで無駄だと思うぜぇ?
俺達がいないと困るのはここの街の人達じゃないんですか~?
街を守らないといけない守備隊の隊長様が、そ~んな街を危険に晒すような無責任な事言っていいんですかぁ??
なぁ!そうだよな~?グリモアの街民のみ・な・さ・ん? 」
スキンヘッドもどきはそう言って街の人達をぐるりと見回すと、その視線を受けた街の人達はグッ……と悔しそうな顔をし視線を下げる。
ケンさんもパンダの様な大きな隈がついている目を僅かに下げ、悔しそうな様子を見せたが、それでもグッと視線を直ぐにあげて言った。
「 ……確かに今、お前たちがいなくなってしまえばこの街の被害は更に増える。
しかし、お前たちも下手なことをすれば推薦してくれた ” お貴族様 ” の顔に泥を塗る事になるぞ?
特にこの街の守備隊と大義名分もない状態で衝突なんて事になれば領主との関係も悪くなる。
……それでも俺とやり合うか? 」
痛い所を突かれたのか、スキンヘッドもどきはイラッとした表情を隠そうともせずケンさんを睨みつけ、またしても一触即発の空気になったがーーー
それを破ったのはスキンヘッドもどきの方であった。
「 ……あーハイハイ~。
流石にそれは面倒だし、今日のところは守備隊隊長様に免じて引き下がりまーす。
俺は楽し~くお仕事したいんでね。 」
スキンヘッドもどきはペッと唾を吐き捨て、隣にいる男たちに目配せしクルリと後ろを向くとゆっくり歩き出す。
それにケンさんや街の人達はほっとした様子で息を吐いた。
詳しい事情は知らないが……多分モンスターが増加したことで人手が足りず、あの変てこな髪型の男たちがヘルプに来ていると、そんな感じなのかな?
なるほど~と考え込んでいた、その時、ピタリとスキンヘッドもどきの足が止まった。
「 …………だがよぉ~やっぱ舐められたままだとムカつくんだわ。 」
そう小さく呟きながらニヤッと笑った彼の足元に、一瞬で何かの魔法陣が展開され、それを踏んだかと思えばまさに電光石火のスピードで移動。
気がつけば俺の目の前で拳を振り上げた状態でいた。
<拳圧師の資質> (ノーマルスキル)
< 跳躍陣 >
バネの性質をもつ魔法陣を創り出し、それを踏むことで凄まじいスピードで移動する事ができる。
自身のスピード値が高いほどその上昇値は高くなる。
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、スピードを持つ事
一定回数以上敵との戦闘経験があること
あっ!!!と口を開け、慌てて駆け寄ろうとするケンさんと、恐怖に引きつる顔を見せる街の人達。
その顔が一瞬で俺の視界に入り、更に眼の前のスキンヘッドもどきのニヤついた顔に行き着くと、彼はニタァ~と興奮したような顔を見せる。
「 クソガキに現実見せてやんよっ!! 」
そう大声で叫び、俺の顔に向かって引いていた拳を思い切り振り下ろしたーーーーー
ーーーーが……
俺はその拳をヒョイッと軽く避け、倒れ込む様に前に向かおうとするスキンヘッドもどきの横へ、トトンッ!とケンケンパをする様な動きで一瞬で近づくとーー
「 はへっ……??? 」
間抜けな声と共に目を見開くそいつの顔目掛けて、右ストレートを炸裂!
するとスキンヘッドもどきは、殴られた衝撃でメキョッと嫌な音を立てて顔が変形し、その勢いのまま彼は10m以上離れたところまで吹っ飛んでいく。
そしてその後はゴロンゴロンと転がっていき……その先にある木に激突してやっと止まった。
応援ありがとうございます!
8
お気に入りに追加
1,921
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる