上 下
374 / 1,315
第八章

359 極刑、もしくは去勢が妥当

しおりを挟む
( リーフ )

俺はキョロキョロと周囲を見回し、辺りに人がいないことを確認すると、レオンに向かって言った。


「 レオン、悪いけど俺達大事な話があるから、ちょっとだけお部屋の中で待っててくれないかな~? 」


そう頼むと、レオンの機嫌は墜落寸前の戦闘機並に急降下してしまったが、社畜完全体である故、コクリと頷く。


「 ……分かりました。 」


レオンは渋々そう答えながら、じーっ……とドノバンを見つめた後、お部屋の中に大人しく戻っていった。


レオンにとってドノバンは好ましいおじさん、兼お師匠様である。


本当は久しぶりにお話したいし、俺だけ仲間外れ?的な事をされ気分を害してしまったのだろうが、コレばかりは仕方がない。


あとでいい子いい子~からの、高い高~いをしてあげれば大丈夫!多分!

ひょいひょいと両手を左右に振って、とりあえずレオンへの懸念は頭の隅に置いておく。


今は急いで昨日の変態ハレンチ集団について報告しなければ!


直ぐにキリッ!と表情を引き締め、ドノバンに視線を戻した────が……?

何故かドノバンの顔色は、進め~の信号機の様な色で、更に汗も大量にドバドバ掻いている。


「 な、なんかあいつパワーアップしてない……? 

……俺、後で殺されない??」


ドノバンは何かをブツブツ言い始めたが、そんなどうでもいいことは完全スルーして、俺は昨日起こった出来事をレオンに聞こえぬよう小さな声で話しだした。


「 実は昨日、レオンが襲われる事件が起きたんだ。

その報告がしたい。 」


「「 ────っ!!! 」」


俺の言葉に、流石は悪い奴らを検挙する率ナンバーワンの第二騎士団の元団長と副団長!

直ぐに真剣な表情を浮かべ、お互い目を合わせた後、俺に視線を戻す。


「 お前も気づいていたか……。

……まぁ、今回の事は……その……大変だったな。


────で、実はな、俺はお前とレオンがその事で傷ついちまったりしてねぇか、ち~とばかし心配でな。

……大丈夫そうか? 」


ドノバンの気遣う様な言葉を全否定するため、俺はブンブンと大きく横に顔を振った。


「 全然大丈夫じゃないよ!!

その変態集団のせいでレオンの心はボロボロさ!

ドノバンたちも知っているということは、有名なのかい?

そのハレンチ集団たちは! 」


「 ……はっ??? 」


ドノバンは間が抜けた声を上げパカンと口を開けるが、感情大爆発中の俺の目は、ハレンチ集団への激しい怒りにより濁り、その様子に全く気づかない。

グッと強く拳を握って怒りを抑えながら続けて訴えた。


「 どうやらレオンは、その変態ハレンチ集団の男女に攫われて無理やり襲われたみたいなんだ!

子供相手にいかがわしい行為を強制したり見せつけたり、更にはポヨヨンをむき出しにして迫ってくるような恐ろしい集団だよ、彼らは……。

直ぐに捕まえて極刑に処そう!もしくは全員去勢だ!!

俺にも是非協力させて欲しい。 」


「 変態ハレンチ集団?いかがわしい??ポヨヨンって……お前何言ってっ……────ふごっ!!! 」


鼻息荒く説明を終えた俺に、ドノバンは何か言おうとしたが、隣にいるユーリスさんが突然、パンッ!!とドノバンの口を塞ぐ。

フゴフゴ呻くドノバンの横で、ユーリスさんはニッコリと爽やかな笑みを浮かべた。


「 そうなのですか!それはなんて卑劣な集団なのでしょう!!

確かにそんな輩は、今すぐ極刑か去勢すべきですね。


────リーフ様、差し支えなければ犯人たちの特徴についてレオン君は何か言ってましたか? 」


流石は現役騎士様!直ぐに逮捕できる様情報を求めるとは……!

感心しながら、俺は昨日レオンから聞いた犯人の特徴を上げていった。


” 黄色くて、あれの発射が早い男。 ”


” レオンを押さえつけ興奮する加害性癖の男。 ”


” 臭くてほぼ裸の痴女さん。 ”


” 聖職者のコスプレをし、ポヨヨンを見せつける露出狂の狂人女さん。 ”


” さらに沢山の男女がいたようだが、レオンはショックで覚えていないようだ。 ”


そうして、かなり正確にその特徴を伝えると、ドノバンは怒りのせいかプルプルと震えだし熟れたトマトの顔色に。

そしてユーリスさんはうんうんと頷いた後、再度ニコリと爽やかな笑みを見せた。


「 なるほど!そうでしたか!

実はですね、昨日の夜に怪しい男女が森にうろついてたためドノバンさんとまとめて捕縛いたしました。

特徴からもその人物達に間違いはないようです。

元々余罪がゴロゴロあった奴らなので、然るべき刑罰を与えます。

どうか御安心を……。 」


「 な、なんだって!? 」


なんと既にその犯罪集団は逮捕されたとのこと!


流石は騎士様、頼りになるな~と感心しながら、これでレオンにイタズラした卑劣きわまりない変態はいなくなったと、ホッと胸を撫で下ろす。


「 ありがとうございましたー!! 」


ユーリスさんと尚も真っ赤な顔でピクピクしているドノバンにお礼をつげると、ユーリスさんは一瞬チラッと俺の後方にある部屋の扉に視線を向けた後、直ぐに俺に視線を戻した。


「 いえいえ、国民の安全を守るのが騎士のお仕事ですので……。


────それで……被害者であるレオン君の様子はどうですか?

何かいつもと違った様子はありますか?もしくは……怪我とか……? 」


「 怪我はないけど……いつもと全く様子は違うね。

俺も戸惑っているんだ。 」


被害者の心配までしてくれるなんて、本当にユーリスさんは優しい人だ。


レオンの心配をしてくれて嬉しかったが、先ほどのレオンの様子を思い出しついしんみりとしてしまうと────ユーリスさんはそんな俺の様子で色々察したのか、真剣な面持ちで更にピリッとした緊張感まで漂わせた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど?

バナナ男さん
BL
主人公の現在暮らす世界は化け物に蹂躙された地獄の様な世界であった。 嘘か誠かむかしむかしのお話、世界中を黒い雲が覆い赤い雨が降って生物を化け物に変えたのだとか。 そんな世界で兵士として暮らす大樹は突然見知らぬ場所に召喚され「 世界を救って下さい、聖女様 」と言われるが、俺男〜しかも兵士なんだけど?? 異世界の王子様( 最初結構なクズ、後に溺愛、執着 )✕ 強化された平凡兵士( ノンケ、チート ) 途中少々無理やり的な表現ありなので注意して下さいませm(。≧Д≦。)m 名前はどうか気にしないで下さい・・

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話

バナナ男さん
BL
剣や魔法、モンスターが存在する《 女神様の箱庭 》と呼ばれる世界の中、主人公の< チリル >は、最弱と呼べる男だった。  そんな力なき者には厳しいこの世界では【 嫁取り 】という儀式がある。 そこで男たちはお嫁さんを貰う事ができるのだが……その儀式は非常に過酷なモノ。死人だって出ることもある。 しかし、どうしてもお嫁が欲しいチリルは参加を決めるが、同時にキラキラ幼馴染も参加して……?    完全無欠の美形幼馴染 ✕ 最弱主人公   世界観が独特で、男性にかなり厳しい世界、一夫多妻、卵で人類が産まれるなどなどのぶっ飛び設定がありますのでご注意してくださいm(__)m

奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。

拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ 親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。 え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか ※独自の世界線

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...