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第八章

351 話は最後まで聞こう

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( リーフ )

確かに決めつけるのにはまだ早すぎる。

物事を判断する時はキチンと全ての話を聞いた上で判断しなければいけない。


” 相手の話をまずは最後まで聞くこと ”


それが人間関係を良好に保つ秘訣!


心を決めた俺はスッと立ち上がり、再びレオンの向かい側のソファーへ着席。

それに続き髪を振り乱したモルト、ニールも直ぐに俺の両隣に座り、また三人で胡散臭いニタニタした笑みを浮かべながら慎重に話しかける。


「 それはそれは……。

なんというか……その……随分と積極的な女の子だったんだね!

─────で、レオンとその子はその後何処に行ったのかな?

お茶屋さんとかかな~? 」


「 あぁ、女もいましたね。

男の方が多かったですが……だいたい6対4くらいの割合だったかと思います。


確かに積極的ではありましたが、直ぐに沈黙してしまったので中々満足できず困りました。

しかし、数は多かったので何とかなって良かったです。


その後は森に行きました。

今も全員そこに横たわっていると思いますよ。 」






─────再び時が止まった……。



俺もモルトもニールも頭が真っ白。

息すらも止めて、レオンの言葉を繰り返し繰り返し頭の中で反芻する。


なんて?

ねぇレオン、今なんて言ったの???


頭に浮かぶその疑問達は口には出せず、俺のトリさん頭は完全にスパークした。

思考は完全に沈黙し、言葉は聞こえているが、情報が頭に全く入ってこない状態に……。

  ・
” 女もいた。男の方が多かった。 ”


もうコレ、乱◯パーティー的なやつだよね?エッチなビデオによくあるやつ。


高校生の時に男友達皆で回し読みしていたエッチな本に載ってた、大人数で楽しむ特殊プレイの画像が頭一杯にブワッと浮かび上がると、ガクガクと震えながらテーブルに突っ伏した。


う、うちの子になんてことしてくれるんだ!!

これはれっきとした児童性犯罪……大罪だぞ!!


そのままブルブルと怒りに震えながら、レオンの身に起きたことを頭の中で整理する。


要は純粋無垢なレオンはココを出た瞬間、そのハレンチ集団に襲われ、ひとしきりわいせつな行為を強制─────後、森に拉致。

そしてそこで更にエッチなパーティーを全員でおっ始め、最後は皆で森の中でゴロンして賢者タイしたと……。


─────そういう事だよね?



俺は頭を抱え、う~う~と唸った。


そんな俺に驚いたのか、オロオロしながらレオンがヒョイッと俺を回収し持ち上げてくるが、あまりのショックに顔を上げることができない。


俺のせいだ……。

いくら強いからとは言え、こんな夜遅くにレオンを一人でお出かけさせてはいけなかった。


うなり続ける俺を不思議そうに見つめてくるレオンを見て、更に悲しみや怒り、後悔が湧き上がる。


多分レオンは何をされたのかよく分かっていないが、きっと大人の人達に好き勝手に触られた事に驚き、だから帰ってきて直ぐに俺を抱きしめたのだ。


” 突然怖かったよ~。 ”

” なんか変な大人に沢山触られちゃった……俺、何されたのかな……?怖い……。 ”


そんな気持ちを込めて縋ってきたレオンに対し、俺は「 痛くな~い! 」なんて能天気に言っちゃって……ホントその時の俺を殴ってやりたい!


困った様に俺を撫でてくるレオンを見上げ、犯人たちを断じて許せん!と、怒りがメラメラと燃え上がった。


そんな子供相手にハレンチな事をする集団、野放しにしては次々に犠牲者が出てしまう。

次の犠牲者が出る前にレオンから少しでも情報を得なければ……。


「 そ、そ、それはお疲れ様だったね、レオン。


ま、まぁ、そういう事はよくあることだから!

レオンが気にすることは全く!一個も!!無いんだよ。


いいかい?君は悪くない。

悪いのは能天気に送り出した俺と、その悪い大人たちなんだ。


─────……で、覚えている範囲でいいんだけど、その人達の特徴は覚えているかな~? 」


下手をすればレオンの心を更に傷つけてしまうので、慎重に慎重~に犯人達の特徴について質問すると、レオンは必死に思い出そうとしている様で、しばらく無言の時間が’続く。


レオンのぽかぽかゴツゴツお胸にくっついているせいで、いつもならウトウト~としてしまうところだが、燃え盛る怒りによって目はギラギラ、ランラン!

しっかりカッ!と目を見開いてレオンの解答を待っていると、やがて何かを思い出したのかペラペラと話し始めた。


「 そうですね……正直殆ど覚えていないのですが、最後の4人に関しては他の者たちより多く使えましたので少しだけなら……。


1人は黄色に近い髪に短めの髭……があったような……?

他と比べるのは難しいですが、それなりに早かったのではないでしょうか?


もうひとりは大きい男で、両手を使う奴でした。力もそれなりに??あったのではないかと思います。


後は臭くて殆ど裸に近い女でしたね。

上の布を脱いで何か喚いていましたが最後は泣いてうるさかったです。


最後の1人は聖職者がよく着ているような服を着ていたような……?なにせ直ぐに溶けてしまったので……。


その女も突然服を脱いで奇行が目立つ女でした。 」


レオンの話を最後まで聞いた後、俺は笑顔を貼り付けたままその腕の中から出て、スタスタと部屋の隅に置いてある巨大な壺のインテリアまで行く。


そしてその中に、スポッと体を入れて、中でガタガタと震えた。


─────もう取り返しがつかない……。


” レオンは強いから大抵の奴相手なら撃退するだろう。 ”

そう考え、せっかく芽生えた恋心を優先しこんな遅い時間に送り出してしまった能天気な俺が全て間違っていた。


壺の中で体を震わせながら、俺は主犯格ともいえる変態達について、怒りとともにその特徴と酷い行為の数々をしっかりと頭の中にインプットする。


それなりに早かった男……は、恐らくレオンに何かしらの行為を見せつけ興奮するタイプの変態だったと思われる。

そして大きい男は両手を使ってレオンを強い力で押さえつけ……何かの匂いで満ちた裸っぽい女が襲ってきてうるさいと感じる行為をし始めた。

更にはもうひとりの聖職者のコスプレをした女が、溶けそうなくらいアハハンしながら服を脱いだと……。


そ、そういう事……?


あまりの酷い行為の数々に、目からはボロボロと涙が怒涛のごとく流れ落ちていった。


─────明日……明日朝一で街の守備隊本部に行こう。

こんな変態集団を絶対に野放しにしてはいけない!

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