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第八章

350 練習しました

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( リーフ )


「 レオン凄いじゃないか!ちゃんと手加減出来ているよ!

でもなんで急に出来るようになったんだい?  」


まさかまさか   " 愛の力です!  "   ─────とか言っちゃったりして~!

ワクワクしながらレオンの解答を待つと、レオンは上機嫌のままあっさり答える。


「 ありがとうございます。

先ほど沢山触って練習してきましたから。 」




─────ピタリ……。


俺、モルト、ニールの三名は、レオンの最大級爆裂魔法並のトンデモ発言に動きを止めた。

そして俺の頭を、これまた優し~くナデナデする動きを享受しながら、モルトとニールに視線を合わせる。


” …………聞きました? ”


” ” えぇ、バッチリと……。 ” ”


一瞬で意思疎通した俺達はコクリと頷き合い、俺はレオンの腕の中からモソモソと脱出した。

そして直ぐにダダッ!とソファーへダッシュすると、備え付けのクッションをポフポフ叩き丹念にホコリを払う。


その間、モルトはお湯を沸かし人数分のバラ茶を、ニールはバックからおしゃれ皿とニールママお手製ミルククッキーを取り出し、それぞれソファーの前のテーブルにセット。


その後、俺がボンヤリと立っているレオンの背を押しホコリ1つ無いピカピカソファーに座らせると、その向かい側にあるソファーに、ニタニタと胡散臭い笑顔を貼り付けた俺、モルト、ニールの3人が並んで座った。


「 レオン君レオン君。

君の答えられる範囲でいいから答えてくれないかな?

その……何処を─────。 」


「 沢山─────。 」


前のめりになって質問する俺を押しのけ、更に前へとズイズイと出てくるモルト。


「 触ったんすか? 」


そしてそんなモルトを更に押しのけ前に出てくるニール。


それに負けじと、俺はそんな二人の間の僅かな隙間にギュムッ!っと自身の顔をねじ込み、まるで団子なんちゃら兄弟の様になってレオンの解答を待つ。

するとレオンは、う~ん??と考え込む様子を見せた後、とりあえず……といった様子で口を開いた。


「 そうですね……。

正直色々な所を触ったので詳しくは覚えていませんが……。

頭とか……腕とかが多かったかもしれません。 」


頭、腕……。

カシャカシャとその部位に関する様々な妄想が、俺達三人の頭の中を巡る。


頭は多分、ナデナデ……そして腕は腕を組んだという事に違いない。

つまりこれは─────もう付き合っていると言ってもいいはず!


俺達三人は、目をカッ!と見開き、ブルブルと全身を震わせた。


たった一回話しかけてもうそこまで進むとは……レオンは座学も実技も、そして口説きテクニックも断トツの様だ。


つい誇らしげに胸を張ってしまったが、両隣にいるモルトとニールからは、ギリギリッという大きな歯ぎしりの音が聞こえてくる。

小学院を断トツ一位で卒業したレオンは、現在恋愛においてもぶっちぎりのトップを独走中だ。


「 そうなんだ~。それは良い経験をさせてもらったね。

でも、相手の子は嫌がる素振りはしなかったかい?

やっぱり初めて会う人だとそういうのに怯える子もいるからね。 」


「 嫌がって……??

いえ、外に出た瞬間に襲いかかってきたので、嫌がってはないと思います。

怯えは……どうでしょうか……?


何せ一瞬で終わってしまったので……。 」





─────時が止まった。



瞬き1つさえも誰一人出来ないまま俺達は固まり、レオンの言葉を頭の中で反芻する。


” 外にで出た瞬間襲いかかってきた ”


” 一瞬で終わった ”



─────何が?

ねぇレオン、何が一瞬で終わったの???


超高性能セクハラセンサーを持つレオンに下手なことは聞けないため、とりあえず心の中で尋ねてみたが、勿論答えは帰ってこない。

そのため、想像力を総動員しレオンの身に起こった事を想像してみる。


つまりはレオンに熱狂的な想いを持った女の子がいて、ストーキングの後、宿屋の外で待機。

そしてレオンが出てきた瞬間、よっしゃっ!と言わんばかりに襲ってきたと……?


そして何かが一瞬で終わったと……─────そういうことか。


「 ……作戦タ───イム。 」


俺はスッ……と席を静かに立ち上がり、同じく立ち上がったモルト、ニールとともに部屋の隅っこへ移動。

3人で座り込み、全員で神妙な表情を浮かべながらボソボソと話始めた。



「 二人はどう思う?

レオンの発言から察するに、結構な重大事件の匂いがプンプンするんだけど……。

あの純粋で真面目なレオンが……まさか……最後まで? 」


俺の堂々たるセクハラチックな発言に、二人は同時にカァァ~と赤らんだ顔を両手で隠したが、指の隙間から目を出したモルトが恐る恐る手を挙げ発言する。


「 いえ……まだそう判断するのは早いかと……。

なにせレオンは今朝、大人になったばかりの……花で例えるなら土から芽が出てきた程度の存在です。

性教育もまだ受けていないですし、つまりはやり方をまだ知らないのでは? 」


それに俺とニールはコクリと頷くと、汗を拭ったニールがモルトに続き発言をした。


「 俺もそれに同意っす。

レオンはまだ牛で例えるとお腹が膨らんできたな~程度の胎児の段階……多分何か勘違いしてると思うんスよね。

もしかして人間の女の子じゃなくて、外を走っていた砂ネズミ相手に誤解を…………アタッ!!! 」


ニールが言い終わる前にモルトがその頭を思い切り叩き、話を中断させると「 何するんすかっ!! 」とニールが反撃。

そしてそのまま取っ組み合いの喧嘩が始まってしまったため、俺はそのまま1人、静かに考え始めた。
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