357 / 1,370
第七章
342 交渉
しおりを挟む
( バルザーク )
プラムのスキルに続きルッツのスキルまで……!!?
シーンと静まり返った森の中、常識などとっくになくなっている現状を前にルーナは「 …………ひっ!!! 」と引きつった声を上げる。
そしてその直後、直ぐにタタっと化け物に近づくと、その場で跪づいた。
「 あっ、あのっ!!
私は回復担当でして……戦闘員ではないんですよ!
だからご子息様を害そうなんてしてませんし、今回の事は一切関係ありませんので!
……だから私は良いですよね?
────あ、必要とあれば、いつでも回復魔法を掛けに参りますので、なんなりと申し付け下さい。
どこでも駆けつけて、無料で怪我でも状態異常でも何でも直しますよ~。
────ね?だからどうかお願いしますぅ~……。 」
ルーナは涙で目を潤ませながら猫なで声で懇願したが、< 仮想幻石 >で、またしても生き返ったプラムが、目尻を上げて噛み付いた。
「 はぁっ!!?あんた何ふざけたこと言ってんの?!
この大噓つきのド淫乱女がっ!!
聖職者のくせに一番 ” 遊び ” を楽しんでいたのはあんたでしょ?!
腐らせた肉の匂いに発情する変態のくせに!
知ってんだからね?イケメンの男を散々嬲って拷問しながらヤりまくってんの。
────ね、ねぇっ!!私だってこんな任務、本当は反対だったのよ~。
だから見逃してくれないかしら?
私の体好きにしていいから……ね?
それに沢山奉仕もしてあげる!すっごく気持ちいい事た~くさんしてあげるから!
…………ねぇ?いいでしょ? 」
プラムは化け物にそう提案を持ちかけながら、上に羽織っているストールをはだけさせ、見せつける様に胸部を晒す。
それを横で見ていたルーナは、プラムをギロリと睨みつけ対抗するように自身の上半身の服のボタンを全て外した。
「 ほら~、そんなケバいだけの女より私の方が可愛くないですか?
その女、相手の男とセックスしている最中に殺さないとイケないんですよ~?
そんな変態女より絶対私の方が満足できますから!
ねぇ、どうですか? 」
「 なっ!!あんたに変態なんて言われたくないわよ!
色気の欠片もないブスのくせに!!
ね?私の方が美人でしょ~? 」
「 ────はっ?
あなたはただ高い化粧品や、装飾品なんかで着飾っているだけでしょう!?
下地はただのドブスのくせに!!
露出の高い服ばかり着て下品ですし、美しさの欠片もないじゃないですか~。
ねぇねぇ、私の方が可愛いですよね~? 」
二人の醜い言い争いは続くが、案外女を宛がう事で満足するかもしれんと多少の期待を込めて化け物の出方を見る。
あんな呪い付きでは相手をしてくれる者など皆無のはず……。
ましてや奴隷の立場なら、今後も女を抱けるチャンスなどありはしないのだから、欲に負けてしまう事も……?
しかし、そんな思惑は見事に外れ、化け物はキョトンとした表情で心底不思議そうな様子で言い放った。
「 ????
世界で一番 ” 可愛い ” のはリーフ様だ。
そんな事は当たり前だろう?
外見も中身もその存在全てがお美しい。 」
まるで神々しい何かを見つめるかのような……しかし、それだけにしては粘着質なドロっとした何かが空っぽの瞳に宿り、その目を輝かせる。
それが誰もが知る真実であるかのように、スラスラと話す化け物がただただ恐ろしい。
この任務の前にターゲットであるその ” リーフ様 ” とやらを姿絵で見たが、どう見ても何処にでもいる平凡なガキにしか見えなかった。
少なくとも可愛いとは言い難い凡庸な容姿であったため、もしかしたら ” 公爵家ご子息のリーフ様 ” ではない ” 絶世の美しさを持った別のリーフ様 ” でもいるのだろうか……??
そんな疑問を浮かべながら、化け物を睨みつけると、その ” リーフ様 ” とやらを思い出したのか、酷く幸せそうに笑う。
まるでこの世で一番の幸せを手にした様に……。
「 でも……私の方が……っ!! 」
ルーナはカッと顔を赤く染めながら尚も言い縋ろうとしたが、化け物は幸せそうに微笑みながら、指をクイッと下に向けて動かした。
すると────。
「 ────ぎゃっ!!!! 」
ルーナが悲鳴を上げながら、突然見えない何かに押しつぶされるようにうつ伏せで倒れた。
そしてそのまま、ぐぐぐぐっ……と上からの重力にゆっくりと潰されていく。
「 た……たす……け…………。 」
ルーナは目を見開き、涙をポロポロと流しながら懇願したが────化け物はまた元の無表情、無感情へと戻っていて、空っぽの瞳を向けるだけ。
そしてルーナはそのまま……。
” ぷちゅッ ”
────トマトか何かが潰れるような音と共に潰れてしまった。
「 きゃあぁぁぁ────────!!!!! 」
それを隣で見ていたプラムはルーナの血を全身に浴び、叫びながら後ろへと下がる。
その場で目を見開き、ガタガタと震えるプラムを見ても、化け物はまるでその姿が見えていないかの様に自身の指をしげしげと見つめた。
「 なるほど、このくらいで体は潰れるのか……。 」
それだけ呟き、ゆっくりと俺とプラムの方へと視線を向ける。
────ギクリッ!!
全身が震えたが、化け物はそんな俺達の事などお構いなし。
「 もう一度試してみるか……。 」
そう言って、人差し指を俺達の方へ差そうとした、その瞬間────────化け物の背後から何者かの影が飛び出してきた。
プラムのスキルに続きルッツのスキルまで……!!?
シーンと静まり返った森の中、常識などとっくになくなっている現状を前にルーナは「 …………ひっ!!! 」と引きつった声を上げる。
そしてその直後、直ぐにタタっと化け物に近づくと、その場で跪づいた。
「 あっ、あのっ!!
私は回復担当でして……戦闘員ではないんですよ!
だからご子息様を害そうなんてしてませんし、今回の事は一切関係ありませんので!
……だから私は良いですよね?
────あ、必要とあれば、いつでも回復魔法を掛けに参りますので、なんなりと申し付け下さい。
どこでも駆けつけて、無料で怪我でも状態異常でも何でも直しますよ~。
────ね?だからどうかお願いしますぅ~……。 」
ルーナは涙で目を潤ませながら猫なで声で懇願したが、< 仮想幻石 >で、またしても生き返ったプラムが、目尻を上げて噛み付いた。
「 はぁっ!!?あんた何ふざけたこと言ってんの?!
この大噓つきのド淫乱女がっ!!
聖職者のくせに一番 ” 遊び ” を楽しんでいたのはあんたでしょ?!
腐らせた肉の匂いに発情する変態のくせに!
知ってんだからね?イケメンの男を散々嬲って拷問しながらヤりまくってんの。
────ね、ねぇっ!!私だってこんな任務、本当は反対だったのよ~。
だから見逃してくれないかしら?
私の体好きにしていいから……ね?
それに沢山奉仕もしてあげる!すっごく気持ちいい事た~くさんしてあげるから!
…………ねぇ?いいでしょ? 」
プラムは化け物にそう提案を持ちかけながら、上に羽織っているストールをはだけさせ、見せつける様に胸部を晒す。
それを横で見ていたルーナは、プラムをギロリと睨みつけ対抗するように自身の上半身の服のボタンを全て外した。
「 ほら~、そんなケバいだけの女より私の方が可愛くないですか?
その女、相手の男とセックスしている最中に殺さないとイケないんですよ~?
そんな変態女より絶対私の方が満足できますから!
ねぇ、どうですか? 」
「 なっ!!あんたに変態なんて言われたくないわよ!
色気の欠片もないブスのくせに!!
ね?私の方が美人でしょ~? 」
「 ────はっ?
あなたはただ高い化粧品や、装飾品なんかで着飾っているだけでしょう!?
下地はただのドブスのくせに!!
露出の高い服ばかり着て下品ですし、美しさの欠片もないじゃないですか~。
ねぇねぇ、私の方が可愛いですよね~? 」
二人の醜い言い争いは続くが、案外女を宛がう事で満足するかもしれんと多少の期待を込めて化け物の出方を見る。
あんな呪い付きでは相手をしてくれる者など皆無のはず……。
ましてや奴隷の立場なら、今後も女を抱けるチャンスなどありはしないのだから、欲に負けてしまう事も……?
しかし、そんな思惑は見事に外れ、化け物はキョトンとした表情で心底不思議そうな様子で言い放った。
「 ????
世界で一番 ” 可愛い ” のはリーフ様だ。
そんな事は当たり前だろう?
外見も中身もその存在全てがお美しい。 」
まるで神々しい何かを見つめるかのような……しかし、それだけにしては粘着質なドロっとした何かが空っぽの瞳に宿り、その目を輝かせる。
それが誰もが知る真実であるかのように、スラスラと話す化け物がただただ恐ろしい。
この任務の前にターゲットであるその ” リーフ様 ” とやらを姿絵で見たが、どう見ても何処にでもいる平凡なガキにしか見えなかった。
少なくとも可愛いとは言い難い凡庸な容姿であったため、もしかしたら ” 公爵家ご子息のリーフ様 ” ではない ” 絶世の美しさを持った別のリーフ様 ” でもいるのだろうか……??
そんな疑問を浮かべながら、化け物を睨みつけると、その ” リーフ様 ” とやらを思い出したのか、酷く幸せそうに笑う。
まるでこの世で一番の幸せを手にした様に……。
「 でも……私の方が……っ!! 」
ルーナはカッと顔を赤く染めながら尚も言い縋ろうとしたが、化け物は幸せそうに微笑みながら、指をクイッと下に向けて動かした。
すると────。
「 ────ぎゃっ!!!! 」
ルーナが悲鳴を上げながら、突然見えない何かに押しつぶされるようにうつ伏せで倒れた。
そしてそのまま、ぐぐぐぐっ……と上からの重力にゆっくりと潰されていく。
「 た……たす……け…………。 」
ルーナは目を見開き、涙をポロポロと流しながら懇願したが────化け物はまた元の無表情、無感情へと戻っていて、空っぽの瞳を向けるだけ。
そしてルーナはそのまま……。
” ぷちゅッ ”
────トマトか何かが潰れるような音と共に潰れてしまった。
「 きゃあぁぁぁ────────!!!!! 」
それを隣で見ていたプラムはルーナの血を全身に浴び、叫びながら後ろへと下がる。
その場で目を見開き、ガタガタと震えるプラムを見ても、化け物はまるでその姿が見えていないかの様に自身の指をしげしげと見つめた。
「 なるほど、このくらいで体は潰れるのか……。 」
それだけ呟き、ゆっくりと俺とプラムの方へと視線を向ける。
────ギクリッ!!
全身が震えたが、化け物はそんな俺達の事などお構いなし。
「 もう一度試してみるか……。 」
そう言って、人差し指を俺達の方へ差そうとした、その瞬間────────化け物の背後から何者かの影が飛び出してきた。
66
お気に入りに追加
2,014
あなたにおすすめの小説
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる