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第七章

329 お祭りと計画

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( バルザーク )

「 ……ふ~ん。盛大な ” お祭り ” って何なの?

それじゃあ、ドノバンとカルパスには別の傭兵でもぶつけて時間稼ぎでもするつもり? 」


プラムが心底面倒くさそうに言葉を吐けば、ルノマンドは口元を両手で隠しながらテーブルに肘をつく。


「 ” お祭り ” の詳しい話はこの依頼が終わってからゆっくり話そう。
      ・・・・
ドノバンにはたまたま王都で発生したモンスターの討伐、そしてカルパスの方には別の傭兵達を向かわせる。

少し前に愚かにもあの屋敷を勝手に襲おうとした傭兵達がいてな。

幸運なことにレイナの ” 虫 ” が有益な情報を持ち帰ってきた。

カルパスは魔道具か何かを駆使していたらしく、多種多様な能力でそいつらを始末したようだな。

コチラはそれに対抗できるスキル持ちで部隊を編成し、結果Sランク傭兵1人にAランク傭兵を約50人用意した。

流石に1人ではいかにカルパスとて防ぎ切ることは出来ないだろう。 」


「 はぁ?!1人相手にSランク1人にAランク50人かよっ!! 」


ルッツは驚きのあまり、ガタガタッと大きな音をたてて立ち上がった。


確かにそれは行き過ぎた戦力であると私も思うが、まぁ相手は公爵家の専属執事長までのし上がった男……警戒しすぎるくらいでちょうどいいだろう。


ドノバンに至っても仮に王都で発生したモンスターを倒さず姿を消せば責任問題。

それを材料にその後叩くこともできるという、まさに一石二鳥の素晴らしい足止め作戦である。


「 …………で?

我々はその間にそのリーフとかいう子供を殺せばいいのか?

カルパスが力尽きた後屋敷に侵入する形か、それとも隙を見て突入する形か……。 」


「 いや?どちらでもない。

計画時、リーフ様は屋敷にはいないからな。 」


私が計画についての確認をとろうと質問すれば、それに対し全てを否と答えるルノマンドにどういう事だ?と無言の視線を送る。

するとそれに勿論気づいているルノマンドは、全員の顔を見回し静かに告げる。


「 計画は中学院の試験日、リーフ様がグリモアにある宿屋に泊まった時を狙う。

グリモアは王都からほど近く、恐らく何かあればドノバンが駆けつける手はずになっているはずだが、そうはさせない。

さらには────……。  」


「 私が膨大な情報をカルパスにわざと流し、情報をシャットアウトしてやるわ。

あいつの情報収集能力はその範囲も精度も常人をはるかに越えているけど、だからこそ情報をた~くさん流しちゃえば、あいつは一瞬動けなくなる。


その一瞬で全て終わり。

グリモアまでは遠すぎて気づいたところで手遅れってわけ。 」


レイナがフフッと無邪気に笑いながらそう言った後、ルノマンドは説明を続ける。


「 計画に気づいた時にはカルパスの方も傭兵達相手に一杯一杯になっているはずだからな。

その間にお前たちSランク傭兵パーティー ” 神の戯れ ” と、他Aランク傭兵60人はグリモアでターゲットを確実に消せ。 」


「「「 はぁぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!? 」」」


子供1人を消すのにあまりにも過剰過ぎる人員に、ルッツ、ルーナ、プラムの三人は立ち上がって驚きを表現し、私も立ち上がりはしなかったが、少々……いやかなり驚いていた。

Sランク傭兵4人にAランク傭兵60人など、何処か戦争の激戦区にでも向かうのか?と思わず尋ねてしまうほどの戦力だからだ。


流石に子供1人にたいしては────と、口を開き変えたが、次に飛び出た言葉により全員の表情が固まった。


「 ……もう一つ少々厄介なのがリーフ様の傍にいるのだよ。


” 呪いの化け物 ” ────がな。 」

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