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第七章
322 何故か危機感が・・
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( アントン )
それを思いだした瞬間ーーーぞぞぞぞぞ~っ!!!!と背筋に悪寒が走り、びしょ濡れなのもプラスしてブルブル震えていると、それに気づいたクランがコチラに近づいてきた。
「 おや?なんでアントンさんびしょ濡れなんです?
ちょうど良いのでそのままあちらのお花に水を上げてくれませんか?
ほら、ブルブルブル~って、お風呂後のワンちゃんみたいに。 」
「 ・・・・・。 」
俺は無言で指示された場所へと向かい、花に向かってブルブルブル~と体を振ると、飛ばした水は花たちの上に飛び散りキラキラと輝く。
そしてそうしている間に花のトラップについて熱く語るクランとジェーン、それを横目に、俺はソロ~・・と厨房のほうへと戻った。
俺は長きに渡り傭兵としてあらゆる死地を経験してきた。
生と死が限りなく近い場所であるが故か、傭兵の中には色々と突き抜けた狂人も多く、その残忍さや異常性に何度も心が折れそうになったが、いつしかそれにも慣れ普通よりはそういう輩の耐性値は高いと思う。
しかし・・・
厨房へと向かう道すがら、ズルズルと何かを引きずる音が聞こえたため視線をそちらへ向けると、10mはある< 地震モグラ >の尻尾を鷲掴み平然と歩いてきたイザベルが目に入った。
「 あぁ、アントン何処に行っていたのだ?
貴公にこいつを料理してもらおうと思ってな・・ちょうど探していたのだ。
今頃リーフ様はあの忌々しい化け物と修行だからな、私も負けてはおれん。
よって少し離れたダンジョンに潜りこいつを討ち取ってきた。
これならリーフ様もお喜びになるだろう! 」
< 地震モグラ >
体長5~10mほどのもぐら型Bランクモンスター。
土魔法に特化していて非常に強い土属性魔法と地震や地割れを起こすことから、近くに人の集落があった場合全滅してしまう事がよくあるため、見かけたら直ぐ通報する義務がある災害指定モンスター
土の中を自由自在に動き回りスピードは非常に早く、モンスターを発見する前に一撃でやられてしまう事も・・
討伐は困難であるが、その肉は臭みがなく美味であるため討伐依頼は多い。
1人で狩って来たのか・・・
昨日俺に「 守備を少し任せる。 」と告げてスタスタと出かけていった理由が判明したわけだが、そもそもBランクモンスターは本来ソロで討伐できる代物ではない。
今までの常識が迷子になったのを確認しながら地震モグラを受け取り、また厨房に向かって歩き始めるとまたも聞こえるズルズルと何かを引きずる音・・・
もうお腹が一杯なんだが・・と目を細めてその音の方を振り返れば、小屋ほどの大きさの< 暴食ベアー >を余裕で引きずっているカルパス様と目がバチンッと合った。
< 暴食ベアー >
体長10m~15mほどのクマ型Bランクモンスター。
とにかく攻撃性が高く、人の姿を見つけるとすぐさま襲ってくる事から見かけたら直ぐの通報が義務付けられている災害指定モンスターである。
鋭い爪と高い体力値、攻撃値、防御値、そしてあらゆる耐性を持っているため討伐は大人数が基本。
スピードもかなり高く、前衛が崩されればあっという間に後衛は全滅する。
「 あぁ、アントン、今戻ったところだが・・何か変わった事はなかったか? 」
「 ・・へぇ、特には・・。 」
身内では嫌というほどあったが。
カルパス様の穏やかで落ち着いた声と態度は理想の上司像と言われれば大きく頷くところだが・・
共に視界に入る血まみれの暴食ベアーのせいで全てが台無しになっている。
「 ほぅ? 」
本人は何でもないかの様に考え込むような仕草をしているが、何を考えているのか?という疑問は、お団子のような沢山のコブ達により顔が見えない暴食ベアの前に浮かばない。
ボコボコだ・・
戦々恐々としながらゴクリと唾を飲み込むと、カルパス様はボソリと呟いた。
・・・
「 では、あの時だけか・・偵察していたのは・・・ 」
何と言っていたのかよく聞こえず、俺は「 何か言いましたか? 」と尋ねたが、カルパス様は、いや・・とゆるく首を振り続けて言った。
「 まだ確証を得ていないからな、” 多分 ” の話をするのは止めておこう。
とりあえず、今後は ” 虫 ” に気をつけてくれ。 」
「 虫ですかい?・・へぃ、承知しました。 」
” 虫 ”
カルパス様がこういった言い方をする時は大抵その予感は当たる
それを知っている為、詳しくは分からずともしっかりと答えを返した。
その返事に満足したのか、彼はニコリと笑った後、「 では、これから ” 教育の時間 ” なので失礼する。 」と言って暴食ベアーを引きずってジェーンの迷宮へと入って行った。
それを思いだした瞬間ーーーぞぞぞぞぞ~っ!!!!と背筋に悪寒が走り、びしょ濡れなのもプラスしてブルブル震えていると、それに気づいたクランがコチラに近づいてきた。
「 おや?なんでアントンさんびしょ濡れなんです?
ちょうど良いのでそのままあちらのお花に水を上げてくれませんか?
ほら、ブルブルブル~って、お風呂後のワンちゃんみたいに。 」
「 ・・・・・。 」
俺は無言で指示された場所へと向かい、花に向かってブルブルブル~と体を振ると、飛ばした水は花たちの上に飛び散りキラキラと輝く。
そしてそうしている間に花のトラップについて熱く語るクランとジェーン、それを横目に、俺はソロ~・・と厨房のほうへと戻った。
俺は長きに渡り傭兵としてあらゆる死地を経験してきた。
生と死が限りなく近い場所であるが故か、傭兵の中には色々と突き抜けた狂人も多く、その残忍さや異常性に何度も心が折れそうになったが、いつしかそれにも慣れ普通よりはそういう輩の耐性値は高いと思う。
しかし・・・
厨房へと向かう道すがら、ズルズルと何かを引きずる音が聞こえたため視線をそちらへ向けると、10mはある< 地震モグラ >の尻尾を鷲掴み平然と歩いてきたイザベルが目に入った。
「 あぁ、アントン何処に行っていたのだ?
貴公にこいつを料理してもらおうと思ってな・・ちょうど探していたのだ。
今頃リーフ様はあの忌々しい化け物と修行だからな、私も負けてはおれん。
よって少し離れたダンジョンに潜りこいつを討ち取ってきた。
これならリーフ様もお喜びになるだろう! 」
< 地震モグラ >
体長5~10mほどのもぐら型Bランクモンスター。
土魔法に特化していて非常に強い土属性魔法と地震や地割れを起こすことから、近くに人の集落があった場合全滅してしまう事がよくあるため、見かけたら直ぐ通報する義務がある災害指定モンスター
土の中を自由自在に動き回りスピードは非常に早く、モンスターを発見する前に一撃でやられてしまう事も・・
討伐は困難であるが、その肉は臭みがなく美味であるため討伐依頼は多い。
1人で狩って来たのか・・・
昨日俺に「 守備を少し任せる。 」と告げてスタスタと出かけていった理由が判明したわけだが、そもそもBランクモンスターは本来ソロで討伐できる代物ではない。
今までの常識が迷子になったのを確認しながら地震モグラを受け取り、また厨房に向かって歩き始めるとまたも聞こえるズルズルと何かを引きずる音・・・
もうお腹が一杯なんだが・・と目を細めてその音の方を振り返れば、小屋ほどの大きさの< 暴食ベアー >を余裕で引きずっているカルパス様と目がバチンッと合った。
< 暴食ベアー >
体長10m~15mほどのクマ型Bランクモンスター。
とにかく攻撃性が高く、人の姿を見つけるとすぐさま襲ってくる事から見かけたら直ぐの通報が義務付けられている災害指定モンスターである。
鋭い爪と高い体力値、攻撃値、防御値、そしてあらゆる耐性を持っているため討伐は大人数が基本。
スピードもかなり高く、前衛が崩されればあっという間に後衛は全滅する。
「 あぁ、アントン、今戻ったところだが・・何か変わった事はなかったか? 」
「 ・・へぇ、特には・・。 」
身内では嫌というほどあったが。
カルパス様の穏やかで落ち着いた声と態度は理想の上司像と言われれば大きく頷くところだが・・
共に視界に入る血まみれの暴食ベアーのせいで全てが台無しになっている。
「 ほぅ? 」
本人は何でもないかの様に考え込むような仕草をしているが、何を考えているのか?という疑問は、お団子のような沢山のコブ達により顔が見えない暴食ベアの前に浮かばない。
ボコボコだ・・
戦々恐々としながらゴクリと唾を飲み込むと、カルパス様はボソリと呟いた。
・・・
「 では、あの時だけか・・偵察していたのは・・・ 」
何と言っていたのかよく聞こえず、俺は「 何か言いましたか? 」と尋ねたが、カルパス様は、いや・・とゆるく首を振り続けて言った。
「 まだ確証を得ていないからな、” 多分 ” の話をするのは止めておこう。
とりあえず、今後は ” 虫 ” に気をつけてくれ。 」
「 虫ですかい?・・へぃ、承知しました。 」
” 虫 ”
カルパス様がこういった言い方をする時は大抵その予感は当たる
それを知っている為、詳しくは分からずともしっかりと答えを返した。
その返事に満足したのか、彼はニコリと笑った後、「 では、これから ” 教育の時間 ” なので失礼する。 」と言って暴食ベアーを引きずってジェーンの迷宮へと入って行った。
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