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第七章

317 春がキタ?

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( リーフ )



そしてメソメソとしながら話始めた二人の話を聞いていると、到着したお店の外観はおしゃれな喫茶店風で内装もそれに合わせた可愛らしい感じだったらしい。

女の子が好きそうだな~

そう思いながら、気分はワクワク、体はソワソワ・・・

そのまま女の子が席についてくれるのを今か今かと待っていたそうなんだが、そこで1つの違和感を感じた。



スタッフらしき女の子達が見当たらない



「 誰もいなかったのかい? 」

そう尋ねれば、二人は同時に首を振り「「 沢山いました。 」」という。


「 ??じゃあ、誰がいたんだい?? 」


サッパリ意味が分からなかったためそう質問すると、モルトとニールはスッと目を細めて言った。


「 戦場の戦士たち 」・・・と。


増々訳がわからない俺が聞き直そうとしたが、それを遮る勢いで二人は続けてその体験してきたことを話し始める。


ようはスタッフさんが全員ムキムキで見上げるような体格と、戦歴を物語る強者のオーラをまとっていて、更に武器まで装備していたのだと震えながら語った。


そのため二人はてっきり ” 可愛い女の子達を守る専属の護衛さん達が沢山いるのか~ ” と思ったそうで、席にきた逞しいお嬢さん達を普通にねぎらいながらお話していたそうだ。


しかし、獣人のレイドとメルちゃんからの羨望の目に気づき頭にハテナがピョコンと飛ぶ。


そのまま不思議に思っていると、突如そのお話していた逞しいお嬢さんたちは、モルトとニールをヒョイッと持ち上げ、そのまま一時間程抱っこでギュムギュムと締め付けてきたらしい。


その扱いはかなりの特別大サービスであったらしく他のお客の獣人さんからは、

「 いいな~ 」

「 俺もされたいな~ 」

ーーーなどなど、今までの人生の中で初となる嫉妬混じりの視線を存分に受けたそうな・・


結局二人は一時間が限界であったらしく潰されて気絶。

その後は、頬骨と両腕にヒビが入ってしまい持ってきた薬草をムシャムシャしながら、なんとか宿屋に着いたのだそうだ。


「 俺、改めてリーフ様って凄いなって思ったっす~。

一生着いていきますね。 」


ニールの言った言葉にモルトもコクコクと頷いた。


知らぬ間に上がっているリスペクト値は光栄だけど、俺もこのままいけばレオンにすべての骨を持ってかれるよ・・

だってギリギリだしさ!



全身の骨がレオンに粉砕され、その犯人に完全介護される未来を思い浮かべてブルブルと体を震わせながら、ふっと思ったが、怪我をしたとはいえ二人は女性のおっぱいを堪能してしまったわけだ。


それって凄いのでは?


思わずその言葉を口に出せば二人は飛び起き、揃ってガッツポーズ。


” 初めてのおっぱいの感想が硬かった ”

” かつ骨を持っていかれそうでした ”


・・という少しばかり想像と違った結果とはいえ、女性が触れさせてくれたという時点で勝ち組。

いや、もはや王様レベルと言っても過言ではない出来事。


俺なんてレオンのお胸しか知らな~い!


イエ~イ!!と元気になった二人と手を叩き合って喜んでいると、レオンが突然、「 リーフ様。 」と呼びかけてくる。



おっと!仲間はずれダメダメ~、レオンも仲間仲~間!


そう両手を広げて迎え入れようとしたその瞬間、レオンがとんでもない事を言い放った。


「 この後少しだけココを離れても良いでしょうか?

直ぐに戻りますので・・・ 」



・・・・・何と???


俺は信じられない言葉を聞いたためポカーンとしながら、思わずモルトとニールの方を見ると二人も目を見開き相当驚いているのが分かった。


レオンが俺から離れて外出するのは初めてのこと。


一体何が?ーーーと、思ったのは一瞬!

俺は先ほどの歓楽街での事を思い出すと頭の中で特大クラッカーをパパーン!と打ち鳴らし、ニヤけそうになる口元を慌ててバァーン!!と手で隠した。



レオンに春が来た。


多分この後その気になっている子に会いにいくつもりだ!


俺は 「 ちょっと待って! 」とレオンを慌てて呼び止め、荷物の中からクシを取り出すとレオンの髪をサッサッと梳かし、更にバックから新たに服の毛玉や汚れを取るブラシ型魔道具を取り出してレオンの全身を丹念になで上げた。


そして最後に小さな布袋を取り出すと、中に銀貨5枚( 5000円 )を入れてレオンの腰にしっかりと装着する。


「 いいかい?絶対に寝る時間までには戻ってくるんだよ。

そしてちゃんと相手の出方をみて学ぶんだ。分かったかい? 」


されるがままのぼんやりレオンに、真剣な表情でしっかり言い聞かせた。


とりあえずレオンはまだ純成人、かつお金は5000円しか持たせないため多分話しかけるくらいしか出来ないはず・・


ただ運が良ければお茶の一杯くらいなら一緒にいってくれる可能性も十分にある!

ウチの子はカッコいいし~優しいし~一点の曇りもない完璧美少年だし!


ニコニコ、そわそわしながらそう言うと、嬉しそうに微笑むレオンの顔が目に飛び込んでくる。


「 はい、わかりました。必ず就寝の時間までには終わらせますね。

色々と煮詰まっていたので、本当にちょうど良かった・・・ 」



そ、そんなに女の子との接触に飢えていたのか・・・


意外に肉食系なグイグイっぷりに多少驚きはしたものの、なんのなんの、レオンくらい大人しい感じの子には逆にギャップがあっていいかもしれない。


レオンは笑みを浮かべたまま部屋を出ていき、俺はニッコニッコとそれを見送った。


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