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第七章

306 魔道具の専門店に行こう!

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( リーフ )

試験が終わり、その場に残された俺とレオン。


社畜完全体のレオンに聞いても「 リーフ様の望むままに。 」────という毎度おなじみ、定型文のような返事しか返ってこなかったため、俺は以前から行きたいと思っていた場所へ行ってみることにした。


それはズバリ【 魔道具専門店 】!!


その名の通り、魔道具を専門に扱っている大きなお店で、これは大きい街にしかない。


ここグリモアは準王都、かつダンジョンが多いことから戦闘に欠かせぬ武器や防具、そして魔道具などが必要不可欠であるため、勿論魔道具専門店も【 商業区域 】に沢山建っている。


冒険者や傭兵達にとってそれらは命を繋ぐ生命線であるため、魔道具専門店に置いてある品物の品質は最高級レベル!

俺は来たるべき重大な事件のため、いくつかその魔道具を手に入れたいと考えているのだ。


今から約二年後────レオンハルトが14歳になった時、メルンブルク家に暗殺者集団が送り込まれる。

今の時点では、俺もレオンもその物語通りに進んでいるため、恐らく確実にその暗殺者は物語通りレガーノにあるメルンブルク家の豪邸へとやってくるはずだ。


本来の流れでは、そこでその暗殺者達はメルンブルク家の私兵達により全滅するのだが、その際大量に仕入れた犯罪奴隷たちは、囮や盾にされその全員が犠牲となった。


リーフによって買われたレオンハルト以外は。


呪いを恐れた暗殺者はレオンハルトを殺さなかったが、その際彼の右腕を切り落としていき、以来ずっとその手は欠損したまま。

俺はこれをなんとしても防ぎたい。


つらつらと考えながら、立ったままボンヤリしているレオンの背を押し、とりあえず預けていたあげ玉を迎えに行こうと< モンスター舎 >の方へと向かう。


そしてえっちらおっちらとマイペースに歩くレオンの背中を見ながら改めて思う事は、今のレオンは物凄く強い!という事。

とりあえず、すくなくとも同世代でレオンに敵う奴はいないと、断言できる程には飛び抜けてるし、体格や経験値的な観点から見てもこの時点で今のレオンは物語のレオンハルトより強いと思われる。

なので暗殺者相手でもそう簡単にはやられはしないだろうが、ところがどっこい!


彼の中身が純粋で傷つきやすい優しき少年であるということを、俺は知っている。


沢山のレオンとの思い出が頭の中を通り過ぎ、あぁ~……と頭を悩ませる。


そんな心優しきレオンが人の命を奪うプロである暗殺者と戦えるわけなどない。

きっと戦いに参加などさせれば、結局は物語通りの結末に……。


自分の命を奪おうとする暗殺者に対し、戸惑って戦えないレオンの姿が思い浮かび、顔を覆って嘆き悲しんだ。


それにいくらレオンが強いといっても世の中にはもっと強い人達だってゴロゴロいるだろうし……。

精神面ではレオンは土の下レベルだし、すぐ感覚シャットダウンしてしまうし、何といっても危機感が生命誕生より前のレベルだし……。


駄目だ~考えれば考えるほど、ぼんやりしている内にグェ~ってやられるレオンしか想像できない!


顔を覆ったままブルブル震える俺を、レオンはオロオロしながら心配してくれる。


それにジーン……としながら、そんな優しいレオンの腰周りを持ち直し、電車ごっこをしてあげた。

すると機嫌が良さそうに、テッテっテ~と歩きだすレオンを見て、ほんわかした暖かい気持ちになる。


殺しのプロは、人の命を奪うことに戸惑いはなく、それを遂行するためなら恐らく何でも使うはず。

そんな非道極まりない奴らの相手を、こんな子供にさせるつもりは毛頭ない。


ガタンガタン!とレオンの体を揺らし、険しい道を走る電車バージョンに動きを変えながら、俺はしっかりと決意を固めた。


ここは人生2度目、憂いも辛いも全て熟知しているこの俺が暗殺者達を迎え撃とう。


そして、レオンの事は絶対に俺が守り抜く……と、まぁ格好良く言いきりたいところだが、俺とてそんな殺し合い的なものは全くの未経験なので、単体でしかも何の補助もなしではちょっと厳しいと予想される。


そのため俺が使いたいと思ったのが魔道具!

これにより戦いが大分楽になるんじゃないかな~と考えたのだ。


カッコよく魔道具を持って戦う自分の姿を思い浮かべ、フフッ!と笑いが漏れた。


そうしてニヤケ顔の俺とご機嫌なレオンは、電車ごっこのまま< モンスター舎 >にたどり着き、あげ玉を探す。


そして目に飛び込んで来たのは……ふわふわの草の上、白目でベタ~と横たわり、更には舌をこれでもかと出した状態で眠っている、あげ玉の姿であった。


頭には枕くらいの大きなさやえんどうの皮、辺り一面ボロボロと零れている豆の残骸、そんな中、ぐ~ぐ~と爆睡しているあげ玉を見ると俺まで眠くなりそうだ。


なんだかこれだけ気持ちよさそうに寝ていると起こすのが可哀想だな。


そんな事を呑気に思っていると、突然ヨロヨロと怪我だらけの職員さんが近づいてきたため、俺はギョッとして固まる。


そしてその職員さんは、ツラツラとあげ玉が今まで泣くわ喚くはで大変だったこと、そして今枕代わりにしているお化けさやえんどうを食べて、ようやく眠ってくれたということを、半泣きになりながら話してくれた。

俺は申し訳なさすぎてペコペコと頭を下げると、レオンに許可を頂いて、ノーフェイス・ネオウルフの瘴核をその職員さんに差し出す。


「 どうかこれで怪我の手当をして下さい……。 」


こんな凄いの貰えませんよ!と叫びながら汗を掻く職員さんに、震える手で半ば無理やりそれを押し付け、そのまま帰って頂いた。


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