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第六章

291 解散解散〜

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( リーフ )

「 フラン学院長は、【 ドワーフ族 】ですね。

【 ドワーフ族 】は見た目が幼い感じに見えるので、かなりお年をとるまで年齢不詳な人が多いと言いますが……本当にその通りですね。


フラン学院長は、あの有名な魔道具< 仮想幻石 >の技術向上に最も貢献した事で有名なお方で、アーサー様の派閥を支える支柱の一人とまで言われています~。

ちょっ~っと年上だけど、独身だし~学院のトップだしぃ~、優良物件♡

チェックチェック~! 」


顎に手を当ててシナっと体をくねらせそう教えてくれたのは、いつの間にか隣にいる常連、サイモンだ。


この気配の薄さは半端ではない。


もう既に俺のすぐ後ろに立っているレオンと張り合うレベルだぞ……。


ゴクリと唾を飲み込みながら、俺はサイモンに本日の数々の情報提供についてのお礼を告げると、彼は、ふっふっふ~と嬉しそうに笑った。


「 情報なくして玉の輿は狙えませんから!

僕の資質は< 盗賊猫 >なので、他にもダンジョンのトラップなんかの解除とか~お役に立てるスキルた~くさんありますよ♡

学院が始まったら是非是非仲良くして下さいね~。 」


< 盗賊猫 >

オールマイティー型の中級戦闘系資質。

素早い身のこなしと持ち前の運で、気配察知やトラップ解除などもお手の物。

戦闘から情報収集までかなり幅広い応用が可能なレア資質


なんと!

サイモンは、マリオンの< 魔操技士 >同様、オールマイティー型資質だったのか!


思わず、ほほ~っ!という感心の声が漏れる。


道理で情報収集能力に加えて、試験を見る限りでは戦闘もかなりの腕前……サイモンは素晴らしい才能に溢れた若者であった様だ。


まぁ、その才能は今のところは玉の輿という婚活目的に多く使われているようだが、なんのなんの!

結婚は人生においての最大の分岐点、大いにその能力を駆使して最高のパートナーを見つけよう!

俺の後ろに立っているレオンに気づき、ピャッ!!短い悲鳴を上げてリリアちゃんの後ろに隠れたサイモンに、心の中でエールを送っておいた。


さてさて、試験も無事(?)終わり、周りを見渡せば受験生たちは俺とレオンのいる場所を大きく避けながらポツポツと帰っていっているし、俺達もそろそろ解散しようと時間を確認する。

今の時間は5時少し前……宿屋に行くにはちょっと早い時間である。


山にピクニックに行くにはちょっと景色が残念すぎるのでまたの機会にして、そうすると他の人達は何処で時間を潰すんだろう?


全世界からワラワラと集まったであろう、この中学院の試験を受けに来た受験生達。


ほぼ全員がどこかしらの宿に泊まるはずなので、チェックイン出来る時間までの過ごし方を聞こうかと、随分離れたところにいるサイモンに話しかける。


「 サイモン達はこれからどうするの? 」


「 えぇ~それは勿論リ~フ様とぉ~…… 」


「 兄さん、これから頼まれた買い物をしにいく予定でしょ? 」


フラフラ~とまた近づいてこようとするサイモンの首を後ろから掴み、その動きをしっかりと止めたリリアちゃんは、俺に向かってペコリと頭を下げる。


「 リーフ様、本日はありがとうございました。

私達はこれで失礼いたします。

今後とも仲良くして頂けると嬉しいです。

それでは、失礼します。 」


俺が、こちらこそ~と言って頭を下げ返すと、リリアちゃんはニコっと笑い、「 出会いのイベント~。 」「 玉の輿ぃ~! 」と、ギャーギャー暴れるサイモンを問答無用で引きずって去っていった。


それを見送った後直ぐに、今度は獣人のレイドとメルちゃん、そしてヒロイン枠のソフィアちゃんとレオンのライバル枠候補のアゼリアちゃんも集まってきたので、俺は皆にも同様にこの後の予定を聞いてみる事にした。

すると、レイドとメルちゃんはソワソワと落ち着かない様子で体を動かしていたので、とりあえず最初に聞いてみる。


「 二人はこの後何処に行くんだい? 」


「 おぅ!それがよ~、故郷に住む近所のおっさん連中から、グリモアに着いたらまずはココ!って紹介された場所があって、それに今から行くんだよ。

なんでも可愛い人族と仲良くなれるお店らしくてよ~俺達この日を楽しみにして沢山狩りしてお小遣い稼いできたんだぜ!

な~?メル! 」


「 ……レイドとおやつ我慢して貯めた……今日という日のため……! 」


ニッコニコと嬉しそうに笑うレイドと鼻息荒く気合満々のメルちゃんに、俺の顔色はザッ!!とブルーハワイ色に……。


そのお店大丈夫?

もしかしてエッチなお店じゃない??


俺の頭の中には、むっちり美女達がこれでもかと言わんばかりの露出をし、” 1万ポッキリ~シャチョさんシャチョさ~ん♬ ” と言っている映像が流れる。


これはいかん!

年若き少年少女にはまだ早すぎる!


慌てて二人から詳しい話を聞いてみると、どうも12歳から入店OK、そして入場料が銅貨5枚、そして飲み物1杯銅貨2枚だそう。


つまり入場料が500円、飲み物1杯200円か……

エッチなお店にしては、随分と親切お値段設定のお店の様だ。


そしてお酒は禁止、和気あいあいと可愛い人族とお話するだけ!────らしいが果たして……?


レイドとメルちゃんは、銅貨がジャラジャラ入った袋を首から下げていて、凄く嬉しそうにそのお店の事について語る。

今日のためにずっとお小遣いを貯めてきたらしいし、ここはどうするべきか……と真剣に悩んでいると、今まで無言で話を聞いていたモルトとニールがスッと二人に近づいた。


「 待ちたまえ!君たち、そのお店は本当に安全なのか? 」


「 ここは準王都……今までの常識が通用するとは思わない事っすね。 」


おおお???

どうやらモルトとニールも俺同様に二人を心配したらしく、それに待ったをかけた。


そうそう、子供を狙った犯罪はいつ何処で、どういった形で襲いかかってくるか分からない。

疑いすぎても足りないくらいなわけで、やはりここは止めておいた方がいいと俺は判断しモルトとニールに続き言葉を発しようとしたのだが……その前に二人の言葉が先にツルッと横から割り込んできた。


「 二人だけでは危険だ。俺もそれに同行しよう!

子供が騙されない様見張るのも大人の役目だからな。 」


「 いくら安心と言ってもここは大人の判断が必要なところっすね!

この大人の男である俺がしっかりと見極めてあげるっす。 」


キリッ!とした表情をしながら二人はそう伝えると、レイド、メルちゃんと共に4人で手を叩き合ってから、俺の方を四人同時にクルリと向いてくる。


「 じゃあな!リーフ、また学院の入学院式で会おうぜ! 」


「 ……大人になって……また再会しよう……。 」


「「 リーフ様いってまいりま~す! 」」


レイド、メルちゃん、モルト、ニールは、それぞれそう俺に伝え、そのまま意気揚々と去っていった。


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