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第六章

284 うちの子一番〜!

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( リーフ )

レオンの点数はなんと100点!

これで剣体術の100点と合わせて200点満点という事実は、この国始まって以来の偉業であると言えるだろう!


流石はレオン!

うちの子すご~い!


レオンの手を使って万歳をしつつ最後は猫の手にして遊んでいると、フラン学院長が青ざめた顔色のままブツブツと呟いた。


「 不可能だ……。

花以外、しかも魔道具……ましてや花爆弾だぞ……?

更には虹色など今までの人類史上誰も……。 」


それをお耳ダンボで聞いていた俺は、フンフンッ!!と鼻息荒く誇らしい気持ちを全身で表現する。


その通り!レオンは凄いのだ!


これはちょっとは皆レオンのこと見直したんじゃないの~?

モテモテフラグ立っちゃったんじゃないの~?


そう思いながら周りの様子を確認しようとしたその時、ポッケに無造作に入れてしまった虹色花結晶を思い出し、壊れたら嫌だな~とフッと思った。


「 我が奴隷のレオンよ!これ荷物置き場の多次元バックに入れてきて~。 」


後で宝箱に入れて壊れない様に保管しよ~っと!


俺は偉そうな物言いでレオンに頼みながら、その結晶を渡す。

ここで出してく──── "    レオンは強いけど無茶なお願いも文句一つ言わずにやってくれる様な優しい子なんですよ~   "  アピール!

素直に頷き消えたレオンに、むふふ~とほくそ笑んでいるとすぐに獣人のレイドとメルちゃんが近づいてきた。


「 ……おい、お前大丈夫かよ。あんな目で……見られて……。 」


レイドはそう言ってフルフルと震える尻尾をギュギュッと押さえる。


あんな目??


はて……?と考え込んだのは一瞬。

俺は先ほど全受験生達に対し、腰抜け共だの、弱虫集団だの、挙句の果てにはカユジ虫以下とまで言って散々煽ったので、そうとう嫌われたと思われる。

そしてそんな嫌いを凝縮したかのような視線を、恐らく現在皆から送られており、レイド達はそれを心配してくれていると……そういうことだね?


心優しい気遣いに、俺は思わずグスンッと鼻を啜った。


歳を取る毎に見える世界は狭くなり、既にゴマ粒ほどに小さくなってしまった世界で生きている俺からしたら、正直周りの視線など春の日光程度にしか感じない。


しかしレイドに改めてその視線の意味を指摘され、俺の心に火が着いた。


なんていったって悪役という第二の主人公ポジション!

これは絶対楽しいやつ~。


「 うん!なんか俺、それが楽しくなってきた感すらあるね!

これは期待に添えなければと思ってるから!任せて任せて~。 」


そう素直な気持ちを伝えたが、レイドとメルちゃんは不思議そうな顔。


まだ悪役の魅力を知るには、二人は幼すぎたか……。


俺がヤレヤレ……と嘆いている間に、まだまだ幼く純真な彼らにスッと近づいた早熟気味なモルトと二ールがコショコショと何かを囁き円陣を組む。


恐らくはその魅力について説明をしてくれている様だ。

二人の空気察知能力は神レベルだから!


レオンも ” 狂った神 ” ではなくその神様の加護が得られたらラッキーだったのにぃ~!

そう思いながら、その楽しそうな雰囲気に魅せられて、ダダッ!と走り寄る。


「 なんか楽しそうなの発見!俺もま~ぜ~て~! 」


そう言いながら、その円陣の真ん中にスポッと入った。


するとモルトとニール、レイドにメルちゃんがそれぞれの願望を口にしたので、俺ももれなくその流れに乗って────

「 俺、俺!むっちんむっちん謳歌したい!! 」

欲望丸出しで素直に叫ぶと、もう慣れっことなりつつある神出鬼没のサイモンがすかさず横に現れ、「 えぇ~、ぺったんぺったんは駄目ですか~? 」と聞いてくる。


それにダメダメ~とゆる~く顔を横に振りながら、「 駄目~。俺、むっちん派~。 」と答えるとサイモンはブーブー言いながらリリアちゃんのポヨヨンを揉みだしたのだが……

サイモンは、リリアちゃんのあの物凄く冷たい目線は気にならないのだろうか……?


空気読めないおじさんの俺でも分かるくらいのヒヤッとした空気でサイモンを睨んでいるのに……。

不思議だ~と思っていると、今度は一切の感情を感じない無表情のレオンがすぐ後ろに。


何、何~?それ流行ってるのかい?

ゼロ気配的な出現方法。


ほほぉ~っ?とお爺さんの様な声を上げた後、レオンはジッと俺を見下ろした。


「 ……俺が一番……むっちんも一番…… 」

” 自分が一番むっちりおっぱいを愛している ” 


ちょっと不謹慎にも、そんな18禁スレスレのエッチな事を言い出したのだ!


これには俺もびっくり仰天!

もしかしてドノバンの影響が出ちゃったんじゃないの~?

いたいけな少年が発したエチチな言葉に、紫のもじゃもじゃしたスケベおじさんが頭に浮かぶ。


気分は、父親が幼い息子にエチチな本を見せた事に対する母親の憤怒の気持ち!


ドノバンに今度会ったらゲンコツと説教だ!とプリプリ怒ったのも束の間。

レオンは俺をまるで猫の子の様に持ち上げると、そのままもやは定番のゴリッゴリのお胸とガッチガチの筋肉付きの腕の間でプレスをしてきた。


ギュムギュムと物凄い圧力を掛けられた俺の顔はいつもの半分くらいに……。


別に小顔矯正に興味はない俺が必死にそれからぬけだそうと藻掻いていると周りからは、ざまぁみろ!と言わんばかりの笑い声が響く。


断罪が早すぎる!


そのまま、ふぅふぅと息を吐き出し痛みに耐えていたが、俺はここでやっと気づいた。

レオンは早急に手加減というものを覚えてくれないとまずいかもしれないぞ?……と。


あ、俺は強いよ?だから大丈夫!


────ゴリゴリゴリッ!!!!


……まぁ、正直に言うとギリギリだけどね!


顔を容赦なく擦られて締め付けられて、頑張って耐える。


────でもこれさ、レイドとか獣人さんでギリギリ大丈夫なレベルっぽい。

常人レベルの人は、多分お寿司のイクラみたいに潰れると思うよ。体全部。


見知らぬ人を潰して真っ赤に染まったレオンを想像した俺は、ザッ!と真っ青になりながら、レオンに「 レオン~……優しくして~……。 」と必死に懇願した。


するとレオンはピタッと止まって一瞬考えた後、俺の頭をナデナデと撫でてくれたのだが……頭皮がその撫でる力に耐えきれずジャリッジャリッと不気味な音がする。

「 ヒェッ…… 」

「 ヒヒぃ~…… 」


髪の毛の重要性を既に熟知している俺は、本当に気が気じゃない!


前世で薄毛に悩まされた俺としては、こんな若いうちから毛根に刺激を与えたくないと心からそう思い、レオンには手加減を早々に覚えてもらわねばまずいと考えた。


しかしいい案が思いつかないまま、俺はそのまま次の試験会場へと運ばれてしまったのだった。

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