上 下
295 / 1,372
第六章

280 レオンのお花はな〜に?

しおりを挟む
( リーフ )

そうしてレオンがゆっくりと前の方へと移動を開始したのだが、和やかだった場の空気は一変、ビッシビシに変わる。


更にレオンが通る道側に立つ受験生達は、その反対側ギリギリまでササササ────……と移動して逃げ、全員がレオンを凝視して固まっているし……。

前の方では台座の周りから教員達は10歩ほど離れ、そこが離れ小島状態になってしまった。


なんだか体育の授業でやった野球を思い出すな。

かっ飛ばしそうな人がバッターになった時、外野がやたら離れて配置につくやつ。


脳内でフンフンッ!とバットを振るレオンと、そんなレオンの球にビクビク怯える皆の姿を妄想していると、ブブ────ッ!!と吹き出してしまった。

そしてそのままプププ~!と笑っていると、レイドが静かに近づいてきて、そのままコソコソと話し出す。


「 な、なぁ、あいつって、剣に特化した奴なんだよな?

魔法は流石に苦手だよな? 」


それを聞いた、俺、モルト、ニールは、三人で顔を見合わせ、横に顔をブンブンと振った。


レオンはねぇ~苦手なモノないから。

本当にないな~い。


周りにいたメルちゃんやエルフの2人、そしてソフィアちゃん達や他の受験生達も気になっていたのか、いつの間にかこちらに注目していて、首を振る俺達に注目している。

そしてその答えを聞いた後、全員の顔からサァァ……と血の気が引き、聞いてきたレイドも青ざめながら耳と尻尾をペタリと力なく下げた。


「 ……なんか、あいつ……変……。

言ってる事も変だし……それに…… 」


何かを言いかけたレイドだったが、フラン学院長の声に反応し、口を閉ざした。


「 は……始め……! 」


歯切れの悪い開始の合図が上がったため、俺達はレオンへと意識を戻した。


さぁ、レオンはどんな花を咲かせるんだろう?


ワクワク!

ドキドキ!

楽しみで胸が高鳴る。


可愛い物が大好きなレオンは実は花も大好きで、毎朝何かしらの花を摘んでは自身の小屋へと持って帰ってる。


多分おままごとに使っているのだと思われる。


固唾をのみながらレオンを凝視している人達、そしてワクワクしながら見守る俺。

そんな中で、レオンは俺に視線を向けたまま、背筋がゾワッとする様な魔力を、鉢植えに一瞬流し込みーーーー……




ニコリと笑った。




────────バシュッ!!!!!



そんな爆発音を立て、レオンの前に置かれた鉢植えから何かが空に飛び出した。



ええええっ!!!?!

た、種、飛んでっちゃったぞっ??!!



びっくり仰天したのは俺だけではなかった様で、全員が驚愕に目を見開き空を見上げると、打ち上がった種??は空で、ボボボンッ!!!!ともう一度爆発し、なんと────


空から大量の花が俺達のいる地上へと降り注いだのだ!!!


「 花……爆弾……?? 」


目を見開きながらリリアちゃんがそう言うと、周囲からも「 え……花爆弾??なんで? 」「 うそでしょ……これ……。 」などざわつく声が多数上がる。


俺は空を見上げたまま、そのあまりに綺麗な光景に、「 う……うわぁぁ~……!! 」と感動の声を漏らした。


花は太陽の光に照らされキラキラと光り輝き、更によく見るとそんな花たちに混じって雪の結晶の様なキラキラしたものまで一緒に混じって落ちていている。

それがお互い反射して、まるで宝石の雨でも降ってきたみたいだ。


これは凄いぞ!


次から次へと感動が溢れ出し、俺は机の前からぴょんっと飛び出して落ちてくる花の一つをソッと手のひらでキャッチした。

そしてそれをマジマジと見つめると、形は蓮の花のようなのだが、色は白ではなく様々な色が混ざりあった虹色。

しかもガラスのように透き通っている事に気づく。


「 これ虹色だ! 」


俺がそう叫んだら、呆然としていた周りの人達もやっと我にかえったのか、花をマジマジと見つめた。

「 本当だ! 」

「 でも虹色なんて見たことないわ……。 」

「 しかも透き通ってるぜ。花……じゃない……? 」

口々に言い合って、ワイワイガヤガヤし始める。


確かに前見た花爆弾は、いろんな色の花はあったがこんな虹色はなかったな~……。


花爆弾を初めて見た日を思い出しながら、手にちょこんと乗っている花を見つめていると、その上から覆いかぶさるように大きな手が重なった。


おお??


デジャブを感じながらその重ねられた手を追って上を見上げると────レオンのジッと俺を見つめる視線とぶつかる。

しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

悪役令息の死ぬ前に

やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

『悪役令息』セシル・アクロイドは幼馴染と恋がしたい

佐倉海斗
BL
侯爵家の三男、セシル・アクロイドは『悪役令息』らしい。それを知ったのはセシルが10歳の時だった。父親同士の約束により婚約をすることになった友人、ルシアン・ハヴィランドの秘密と共に知ってしまったことだった。しかし、セシルは気にしなかった。『悪役令息』という存在がよくわからなかったからである。 セシルは、幼馴染で友人のルシアンがお気に入りだった。 だからこそ、ルシアンの語る秘密のことはあまり興味がなかった。 恋に恋をするようなお年頃のセシルは、ルシアンと恋がしたい。 「執着系幼馴染になった転生者の元脇役(ルシアン)」×「考えるのが苦手な悪役令息(セシル)」による健全な恋はBLゲームの世界を覆す。(……かもしれない)

処理中です...