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第六章

279 レオンは理解した、完璧に

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( リーフ )

やっとうちの子、レオンの出番~!!

ウキウキ♬でレオンの方を見れば、それはそれは……


めちゃくちゃ機嫌が悪い。


しまった~。

多分わたあめが遅すぎちゃったか~。


仲間外れ感が出てしまったせいでレオンが激おこしている。


「 レオン、遅くなってごめんね。

ほ~ら、わたあめちゃんだよ~。美味しいよ~? 」


そう言いながら、ムニッと唇を摘んで開け、口の中にギュギュッとわたあめをこれでもかと詰め込んであげたが、レオンは動かない。

反応がないレオンに俺は、「 ? 」と首を傾げ、こうなったら一旦抱っこして寝かしつけるか……と思った瞬間────


「 ……思い出は一人とだけでは駄目なんですね……? 」


突然レオンが意味不明な事をポツリと呟いた。


何?何??一人の思い出って……。

あ、家に引きこもるとかそういう話??


「 良いと思うけど、俺はお外好きだよ。

レオンもたまにはお外に出たほうがいいと思うな。 」


日光を浴びないと成長期の阻害になるかもしれないし、体内時計狂うし……。


「 ……そうですか……。 」


そうしてブツブツと呟くレオンの表情は、真剣そのもの。


家で遊ぶのが悪いとは言わないけど、壁を見ているだけの思い出はちょっと心配だからせめて粘土とか折り紙とか……。


とりあえず家で一緒に遊べるアイテムをポポポンと頭に思い浮かべていると……レオンは何日もご飯を食べてないような追い詰められた目をして俺の顔を覗き込んだ。


「 俺は全てを理解しました。

そうです。太陽を手にするには多少手を伸ばしたくらいでは届きませんから……。


俺の認識が甘かった。

俺が間違っていました。


……でも、いいんです、俺はそれでもついていくって決めてるので。 」


おおおお????

太陽がなんだって??


またしても全然理解できない言葉が飛び出してきたため、俺は大きく首を傾げた。


この世界の太陽は、前世とほぼ同じ……というか生物が誕生する条件として、きっとその存在は必要不可欠であると思われる。


レオンの頭の中の大きな世界にて太陽という存在がどういう存在かは分からないが、すくなくとも今、この場で手を伸ばしたところで絶対に手が届く代物ではない事は確かだ。


「 そ、そっか~。いつか届くといいね。太陽。 」


とりあえず否定してはレオンが傷つくかも~と思い、そう告げると、レオンはニコッと薄暗い笑顔を浮かべて言った。


「 思い出の中で一番じゃないと、未来に選んで貰えないんですね。

そして他に未来を奪われてしまう可能性もあると……。


じゃあ、俺はずっと一番を取り続けます。

一番の思い出を取り続ければ、望む未来がいつかは手に入る……そういう事ですよね? 」


太陽の話からまたしても異次元に突入してしまったレオンの話……。

しかし、こういう現象は人生の中、多々直面してきた。


孤児院のお隣の老人介護施設にいたおじいちゃん、おばあちゃん達の話も9割はこんな感じだったし……要は話の終着点が先頭に来てしまっただけだと思われる。


そう考えればそこまで難しい話ではない。


俺はジトッとした目を向けてくるレオンの肩を掴み、ウンウンと大きく頷いた。


「 その通りだ。やるからには常に一番を目指すべきだよ。

とりあえず一番をとっておけば間違いない!


きっと未来は明るいから大丈夫だよ。

だからレオン、試験頑張ろう。 」



一番を目指すのは物事の鉄則なり~。


それは万国共通の事実のはずで、要は────

 ” レオンは一番じゃないと嫌! ” 

これだけ理解しておけばOK。


俺は労わるようにモニモニとレオンの肩を揉み込み、一番になれないかも……というレオンの不安を払拭しておいた。


そろそろ行かないと、名前を呼んでくれたフラン学院長や他の教員さん達がオロオロしているので、0点にされてしまう。

そのため俺は、肩を揉み込んでいた手でレオンの体をクルリと台座の方へ向けた。


「 さぁさぁ!レオンの大好きな一番をもぎ取っておいで~。

ファイッオー!ファイッオ~! レ・オ・ン~!! 」


そう言いながら俺は応援団長の如く、手をピッピッと振って応援する。

レオンはそんな俺の方をチラリと振り返ると、まだ不安を感じているのか、薄暗~い目をしながらコクリと頷いた。


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