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第六章

278 ゼロの歴史

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( リーフ )

リリアちゃんの言葉にソフィアちゃんは僅かに目を見開いた。


「 まさか知っている方がいるなんて……。

その通りです。

はっきりは分かっていませんが、そのいずれかの期間に描かれたのではと言われている絵画の1つです。 」


「 確かその ” 幸福の白い木 ” は、そのシリーズの中では一番最後に描かれたと言われているものでしたよね?

他の作品と比べてガラッと作風が変わったと聞いております。 」


「 ────!凄いですね!!そこまでお詳しいとは……。 」


周りを置いてきぼりにし、キャイキャイと凄い勢いで意気投合する二人をキョトンとして見つめていると、それに気づいたソフィアちゃんが詳しく説明し始めた。


「 ” 過去人が残した遺産 ” の中で、作者が分かっていない、とある絵が数枚見つかっているのですが、その絵画シリーズの1つなんです。


現在はそれが実は全て繋がっている物語なんじゃないか?とも言われてます。


そのシリーズの最後の絵とされているのが、その ” 幸福の白い木 ” なんです。


絵には白銀の髪を持つイシュル神らしき女神と地上に生えた白い木が描かれているのですが、どうも大きさから考えて、その木は ” イシュルの聖大樹 ” ではなさそうなんですよ。 」


「 しかも奇妙な事にその周りには沢山の人々の姿と、手にはその白い木の葉が握られていて、その全員が幸せそうな顔をしている事から、” 幸せの白い木 ” という名前がついたそうです。


更に空に向かって光る道が描かれている事から、天から神がこの世に降臨した姿を描いているのでは?と言われているそうですね。 」


リリアちゃんの追加の説明の後、二人は顔を見合わせ嬉しそうに笑い合う。


” 過去人が残した遺産 ” 


"   作者不明の絵画シリーズ  "


"   幸福の白い木  " ……。


何だか不思議な話だが、実はこれも俺がこの世界に実際に転生し初めて知った事実なのだが、この世界の歴史は、約3000年分しか分かっていない。


なぜならその3000年前のある日を堺に、プッツリと歴史が無くなっているから。


しかもジワジワ消える……ではなく、本当にバッサリ、裁断機にでもかけちゃった?と言いたくなるくらい綺麗サッパリと────


そのため、” 人 ” が生まれたのがその3000年前なのでは?とされている傍らで、正体不明の過去の産物が極稀に見つかる事があり、それがどうもその3000年より前の物のようなのだ。


その事から、恐らくはその前にも ” 人 ” が存在していたと思われているのだが、何故歴史が消えてしまったのかは一切分かっていない。



一体過去に何があったのだろう?



そんな疑問が浮かんだ、その時────

「 つ……次……レ、レオン殿……。 」

フラン学院長のカミカミの声が聞こえ、その話は全員の頭の中から吹き飛んだ。

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