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第六章
246 ハロー子猫ちゃん
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( リーフ )
10時から始まる筆記の試験会場はぜんぶで3つあって、身分によって分けられている。
今までの経験上、恐らく貴族側から要望があったのだろうと思われるが、中学院はあくまで実力重視主義・・その要望が通るのは多分この試験会場についてのみになると思われる。
王族や高位貴族は【 Aクラス 】
それ以下の貴族が【 Bクラス 】
そして平民とそれ以外の身分が【 Cクラス 】
そのため俺達幼馴染~ズは、筆記テストをバラバラに受けることになる。
俺は一応は公爵家なので【 Aクラス 】
モルトとニールは男爵家なので【 Bクラス 】
レオンはそれ以外に分類される奴隷なので【 Cクラス 】
その為俺達は、教室への道の分岐点にてお互い頑張ろう!と言い合ってお別れしたのだが、当然のごとくレオンは俺の後を黒いカルガモの様についてこようとした。
ここで俺は ” ご主人様命令 ” を発動。
レオンには強制的に独り立ちしてもらおう!
「 さぁ、レオンはCクラスで頑張って満点をとってくるんだよ~。 」
念を百回くらい押して、チラチラこちらを見てくるレオンの背を押し無理やり送り出した。
その後Aクラスの教室についた俺は、ココに来た目的を見失いそうになるほどの広さとキラッキラした椅子とテーブル達を前に、おぉ~と圧倒されながら空いている席を探す。
適当に座ろうかと思ったが、どの席にも名前入りのプレートがドドーンと置かれているため指定席制である事に気づいた。
はは~ん?
さては電車で言うグリーン車的な感じだな~?
思わぬビック待遇にニッコリしながら、自分の名前を探して大人しく席に着いた。
俺の席は後ろのど真ん中。
そこからは前の方の席に座っているソフィアちゃんとアゼリアちゃん、そして斜め前の離れた席に座る我らが同級生、子猫のマリオンの姿がよく見える。
やっぱりマリオンもここを受験するのか。
予想通りの展開に、俺はここ半年くらいの彼の言動を思い出した。
小学院の卒院式まで、チョコチョコとこちらにやってきては、ちまちまちまちま~!!!ーーーと中学院に対する自論を語っていたマリオン。
「 やはり高位貴族ならナンバーワンを目指すべきでしょうね! 」
「 男爵程度は身の程を知って別の中学院を目指すべきでしょう。 」
「 奴隷の分際で小学院まで行けたことに感謝しろ! 」
ーーー等など、耳を覆いたくなる様な暴言の数々にすかさずペンッしていたが、マリオンは懲りない懲りない。
直ぐに復活してはこのような暴言の嵐を浴びせてくるので、ナンバーワン中学院のこのライトノア学院に相当な思い入れがあるんだろうな~とは思っていたが、その予想は大当たり。
再び同級生としての関係は続きそうだ。
そんなマリオンは俺が教室に入ってきた事をいち早く察知した様で、目が合うと直ぐに立ち上がり深くお辞儀をしてくれた。
流石はマリオン、公共での礼儀は絶対欠かさない!
" お互い頑張ろうね~ "
ブンブンと手を振って口パクでそう伝えると、マリオンは言われずとも!と言わんばかりに強く頷き、そのまま前を向いて着席する。
そしてその直後、試験管らしき人が10人ほどゾロゾロと入ってきてとうとう試験が開始した。
◆◆◆
~試験終了後~
12時を告げる ” リンゴ~ン ” という鐘の音が鳴り響き、筆記の試験は終了。
これからランチを経て実技の試験が行われる予定だ。
貴族の歴史とか名前の羅列表のような問題はちょっと自信ないけど、確かな手応えを感じていた俺は、筆記用具を片付けながら、心の中でグッ!と拳を握った。
一応は最終学歴高校、かつ物語を何度も熟読していたため、大抵の知識は元からあったため楽に解ける。
しかし、元日本人としてはカタカナちっくな名前が覚えにくいのに加え、俺の記憶力は還暦をとうに過ぎたシルバー世代・・。
花子とか太郎のような割と有名な名前じゃないとまず名前自体が出てこない。
ハハっ!
歳はとりたくな~い。
そんな誰もが一度は言うであろうセリフを頭の中で呟いていると、マリオンが意気揚々と俺の方へと早歩きでやってきた。
「 お久しぶりです、リーフ様。
本日はゾロゾロとくっついてまわる不快な黒虫とひっつき虫達はいないようで安心いたしました!
テストの出来はいかがでしたか? 」
いつも通りのマリオンの物騒な言い方に「 こ~らっ。 」と叱りつけ、鼻をキュムっと摘んでやったがマリオンはやはり全くめげる事なく話を続ける。
「 私は算術学が多少自信がありませんが、後は概ね大丈夫だと自負しております。
特にリーフ様が不得意な貴族の歴史については恐らく満点でしょうね!
別に大したことはないですが! 」
そう言ってドヤッとするマリオンは、今日も子猫ちゃんアクセル全開だ。
「 そっか~。そりゃ凄いや。 」
素直に凄いと思って褒めると、もっと褒めて!もっと褒めて!と言わんばかりにニャンニャン話しだす。
こうして見ると年相応の子どもにしか見えないマリオン。
こんな子が例え< リーフ >という悪のカリスマに影響を受けたとはいえ将来マッド・サイエンティストの大量殺人者になるとはとても思えない。
一体何がマリオンにとっての分岐点だったのだろう??
物語の中にそのへんの詳しいストーリーはなく、既に高学院入学時には完全なる悪役サイドで固まっていたので、恐らくは中学院時代に何かあったのではないか思うが・・
マリオンの話を聞きながら、心の中で首を傾げた。
とりあえず分かっているのは、物語のマリオンはリーフと共に王都近くにある中学院に三年間通っていた事くらい。
そしてそれはリーフによって進路変更を命じられたからだと思われるがーーー
やはりなぜナンバーワン中学院であるこのライトノア学院をリーフは受けなかったのか?という疑問は残る。
物語を振り返ってリーフという人間を思い出せば出すほど違和感しか残らないのだ。
一番!に異常にこだわる性格のリーフ。
英雄という立場に拘っていた理由の一つでもあり、同じ様な理由で優秀な同級達を没落させたりも平気でやっていたくらいなので相当こだわりはあったと思われる。
白熱してきたマリオンの話にうんうんと頷きながら、モワモワ~と自分が学生であった頃を思い出す。
明らかにもっと上の高校を目指せる子がやたら遠くて下の方のランクの高校を受ける。
何でだろうと思って聞いた理由はーーー
” 制服が可愛いから~ ”
” やっぱり都心!帰りに遊んで帰りた~い! ”
・・だったので、リーフももしかしたら、学力で一番ではなく王都の立地というモノに魅力を感じたのかもしれない。
王都でおしゃれな学生生活した~いーーーとか?
女子高生の様な格好をして都会にめちゃくちゃ馴染む物語のリーフ。
そしてその足元でわっさわっさと揺れる猫じゃらしにニャーニャーとじゃれついている猫マリオン。
そんな二人で頭の中がわちゃわちゃと賑やかになってきたその時ーーー
突然教室の中がザワッとしたので、何だ何だ?とその騒ぎの中心へ視線を動かす。
するとそこにはソフィアちゃんと、その前には真っ赤でゴージャスなドレスを着た美少女が立っているのが見えた。
少女は黄色味が強い金色の髪をしていて、髪は長く腰辺りまであるが先端の方を巻いているためやや短く見える。
そしてそんな髪をドレスの色とお揃いの真っ赤なバラがついたお高そうなバレッタで止めていて、更に顔全体の全てのパーツがくっきりパッチリ!
その全てがミックスして見事な存在感を作り出す。
キラキラ光り輝くその少女が眩しくて、思わず目をゴシゴシ擦った。
何だか正反対のイメージをもつ二人だな……。
そんな事を思いながら、その少女について知らない俺はマリオンに質問した。
「 ねぇねぇ、あのソフィアちゃんの前に立っている可愛らしいお嬢さんは誰かな?
マリオン、知ってる? 」
するとマリオンは一瞬ものすごく呆れたような顔をしたが直ぐにそれを引っ込め俺の質問に答えてくれた。
「 あのお方は、
< ジェニファー・ドン・レイシェス >様です。
イシュル教会、大司教グレスター卿のご令嬢ですよ。 」
10時から始まる筆記の試験会場はぜんぶで3つあって、身分によって分けられている。
今までの経験上、恐らく貴族側から要望があったのだろうと思われるが、中学院はあくまで実力重視主義・・その要望が通るのは多分この試験会場についてのみになると思われる。
王族や高位貴族は【 Aクラス 】
それ以下の貴族が【 Bクラス 】
そして平民とそれ以外の身分が【 Cクラス 】
そのため俺達幼馴染~ズは、筆記テストをバラバラに受けることになる。
俺は一応は公爵家なので【 Aクラス 】
モルトとニールは男爵家なので【 Bクラス 】
レオンはそれ以外に分類される奴隷なので【 Cクラス 】
その為俺達は、教室への道の分岐点にてお互い頑張ろう!と言い合ってお別れしたのだが、当然のごとくレオンは俺の後を黒いカルガモの様についてこようとした。
ここで俺は ” ご主人様命令 ” を発動。
レオンには強制的に独り立ちしてもらおう!
「 さぁ、レオンはCクラスで頑張って満点をとってくるんだよ~。 」
念を百回くらい押して、チラチラこちらを見てくるレオンの背を押し無理やり送り出した。
その後Aクラスの教室についた俺は、ココに来た目的を見失いそうになるほどの広さとキラッキラした椅子とテーブル達を前に、おぉ~と圧倒されながら空いている席を探す。
適当に座ろうかと思ったが、どの席にも名前入りのプレートがドドーンと置かれているため指定席制である事に気づいた。
はは~ん?
さては電車で言うグリーン車的な感じだな~?
思わぬビック待遇にニッコリしながら、自分の名前を探して大人しく席に着いた。
俺の席は後ろのど真ん中。
そこからは前の方の席に座っているソフィアちゃんとアゼリアちゃん、そして斜め前の離れた席に座る我らが同級生、子猫のマリオンの姿がよく見える。
やっぱりマリオンもここを受験するのか。
予想通りの展開に、俺はここ半年くらいの彼の言動を思い出した。
小学院の卒院式まで、チョコチョコとこちらにやってきては、ちまちまちまちま~!!!ーーーと中学院に対する自論を語っていたマリオン。
「 やはり高位貴族ならナンバーワンを目指すべきでしょうね! 」
「 男爵程度は身の程を知って別の中学院を目指すべきでしょう。 」
「 奴隷の分際で小学院まで行けたことに感謝しろ! 」
ーーー等など、耳を覆いたくなる様な暴言の数々にすかさずペンッしていたが、マリオンは懲りない懲りない。
直ぐに復活してはこのような暴言の嵐を浴びせてくるので、ナンバーワン中学院のこのライトノア学院に相当な思い入れがあるんだろうな~とは思っていたが、その予想は大当たり。
再び同級生としての関係は続きそうだ。
そんなマリオンは俺が教室に入ってきた事をいち早く察知した様で、目が合うと直ぐに立ち上がり深くお辞儀をしてくれた。
流石はマリオン、公共での礼儀は絶対欠かさない!
" お互い頑張ろうね~ "
ブンブンと手を振って口パクでそう伝えると、マリオンは言われずとも!と言わんばかりに強く頷き、そのまま前を向いて着席する。
そしてその直後、試験管らしき人が10人ほどゾロゾロと入ってきてとうとう試験が開始した。
◆◆◆
~試験終了後~
12時を告げる ” リンゴ~ン ” という鐘の音が鳴り響き、筆記の試験は終了。
これからランチを経て実技の試験が行われる予定だ。
貴族の歴史とか名前の羅列表のような問題はちょっと自信ないけど、確かな手応えを感じていた俺は、筆記用具を片付けながら、心の中でグッ!と拳を握った。
一応は最終学歴高校、かつ物語を何度も熟読していたため、大抵の知識は元からあったため楽に解ける。
しかし、元日本人としてはカタカナちっくな名前が覚えにくいのに加え、俺の記憶力は還暦をとうに過ぎたシルバー世代・・。
花子とか太郎のような割と有名な名前じゃないとまず名前自体が出てこない。
ハハっ!
歳はとりたくな~い。
そんな誰もが一度は言うであろうセリフを頭の中で呟いていると、マリオンが意気揚々と俺の方へと早歩きでやってきた。
「 お久しぶりです、リーフ様。
本日はゾロゾロとくっついてまわる不快な黒虫とひっつき虫達はいないようで安心いたしました!
テストの出来はいかがでしたか? 」
いつも通りのマリオンの物騒な言い方に「 こ~らっ。 」と叱りつけ、鼻をキュムっと摘んでやったがマリオンはやはり全くめげる事なく話を続ける。
「 私は算術学が多少自信がありませんが、後は概ね大丈夫だと自負しております。
特にリーフ様が不得意な貴族の歴史については恐らく満点でしょうね!
別に大したことはないですが! 」
そう言ってドヤッとするマリオンは、今日も子猫ちゃんアクセル全開だ。
「 そっか~。そりゃ凄いや。 」
素直に凄いと思って褒めると、もっと褒めて!もっと褒めて!と言わんばかりにニャンニャン話しだす。
こうして見ると年相応の子どもにしか見えないマリオン。
こんな子が例え< リーフ >という悪のカリスマに影響を受けたとはいえ将来マッド・サイエンティストの大量殺人者になるとはとても思えない。
一体何がマリオンにとっての分岐点だったのだろう??
物語の中にそのへんの詳しいストーリーはなく、既に高学院入学時には完全なる悪役サイドで固まっていたので、恐らくは中学院時代に何かあったのではないか思うが・・
マリオンの話を聞きながら、心の中で首を傾げた。
とりあえず分かっているのは、物語のマリオンはリーフと共に王都近くにある中学院に三年間通っていた事くらい。
そしてそれはリーフによって進路変更を命じられたからだと思われるがーーー
やはりなぜナンバーワン中学院であるこのライトノア学院をリーフは受けなかったのか?という疑問は残る。
物語を振り返ってリーフという人間を思い出せば出すほど違和感しか残らないのだ。
一番!に異常にこだわる性格のリーフ。
英雄という立場に拘っていた理由の一つでもあり、同じ様な理由で優秀な同級達を没落させたりも平気でやっていたくらいなので相当こだわりはあったと思われる。
白熱してきたマリオンの話にうんうんと頷きながら、モワモワ~と自分が学生であった頃を思い出す。
明らかにもっと上の高校を目指せる子がやたら遠くて下の方のランクの高校を受ける。
何でだろうと思って聞いた理由はーーー
” 制服が可愛いから~ ”
” やっぱり都心!帰りに遊んで帰りた~い! ”
・・だったので、リーフももしかしたら、学力で一番ではなく王都の立地というモノに魅力を感じたのかもしれない。
王都でおしゃれな学生生活した~いーーーとか?
女子高生の様な格好をして都会にめちゃくちゃ馴染む物語のリーフ。
そしてその足元でわっさわっさと揺れる猫じゃらしにニャーニャーとじゃれついている猫マリオン。
そんな二人で頭の中がわちゃわちゃと賑やかになってきたその時ーーー
突然教室の中がザワッとしたので、何だ何だ?とその騒ぎの中心へ視線を動かす。
するとそこにはソフィアちゃんと、その前には真っ赤でゴージャスなドレスを着た美少女が立っているのが見えた。
少女は黄色味が強い金色の髪をしていて、髪は長く腰辺りまであるが先端の方を巻いているためやや短く見える。
そしてそんな髪をドレスの色とお揃いの真っ赤なバラがついたお高そうなバレッタで止めていて、更に顔全体の全てのパーツがくっきりパッチリ!
その全てがミックスして見事な存在感を作り出す。
キラキラ光り輝くその少女が眩しくて、思わず目をゴシゴシ擦った。
何だか正反対のイメージをもつ二人だな……。
そんな事を思いながら、その少女について知らない俺はマリオンに質問した。
「 ねぇねぇ、あのソフィアちゃんの前に立っている可愛らしいお嬢さんは誰かな?
マリオン、知ってる? 」
するとマリオンは一瞬ものすごく呆れたような顔をしたが直ぐにそれを引っ込め俺の質問に答えてくれた。
「 あのお方は、
< ジェニファー・ドン・レイシェス >様です。
イシュル教会、大司教グレスター卿のご令嬢ですよ。 」
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