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第六章

232 名前をつけよう

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( リーフ )

ーーーーあれ?そういえば俺、馬車に乗ろうとしたのに?

グリモアを出発後しばらくして、やっと我に帰った俺。

しかし結局、ビュンビュンと風に乗っている様なポッポ鳥の最高の乗り心地にイヤッホ~!!と歓喜の雄叫びを上げて、その事はすっかりすっぽ抜ける。


やっぱりこの乗り心地すごいぞ!


イメージ的には前世のバイクに似てはいるが、フワフワだし柔らかいし暖かいしで、乗り心地は全然違う。

もう俺は今後、ポッポ鳥以外乗~らない!ーーと言いたくなるくらい乗り心地は最高。

楽しいし、とっても気持ちいい!

そんな気持ち良~い風を顔に感じながら、物凄い速さで移りゆく景色をご機嫌で堪能する。


レオンと二人で乗っても全然へっちゃらな安定感も凄いところで、これならあと10人くらい乗っても大丈夫そう。

"   移動するならポッポ鳥  "   

そう巷で言われているが、一度こうしてポッポ鳥に乗ってしまえばよ~く分かる。

ちなみに商人さんの様に沢山の荷物や荷台車を引いて行きたい場合は、ポッポ鳥ではなく、< ドンドンとかげ >というGランクモンスターに乗る事が多いらしい。


〈 ドンドンとかげ 〉

体長5mほどのとかげ型Gランクモンスター

大きく逞しい体格を持ち何トンもの荷物も平気で運べるパワーを持つが、草食で非常に大人しい性格をしている

そのため商人が乗るモンスターとしては不動の一位を誇る乗り物共存モンスター

ただしスピードはイマイチなため、短距離の移動時にはポッポ鳥が推奨される



そもそもこの世界のモンスターに付けられているモンスターランクは、その強さではなく人型種への脅威度によって分類されている。

ポッポ鳥もドンドンとかげも大抵人間の姿を見ればスタコラサッサと逃げていくため、人型種に対しての脅威度は低い。

そのため最低ランクのGランクが付けられているのだが、別にそれはそのモンスターが上のランクのモンスターより弱いーーと言うわけではないのだ。


俺は自分を乗せてくれているポッポ鳥くんに向かい、スキル:< 鑑定( 改 ) >を発動し、出現したステータスボードをジッと見つめた。


すると、やはり昨日見たとおりこのポッポ鳥くんには攻撃スキルが存在していて、軽く盗賊を倒してしまったことも考えるとかなりの強さを持っていると思われる。


強さだけで言えば果たしてモンスターレベルはどれくらいなんだろう・・


う~む・・?

考え込みながらステータスボードを睨みつけていると、ズラリと並ぶ文字の中、ポッポ鳥くんの名前の欄が< 該当なし >になっていることに気づいた。


ーーーあれ?このポッポ鳥くん、名前ないのか・・


今更ながらそれに気づき、ポリポリと頭を掻く。

モンスター社会にて名前というものが果たして必要なのかは分からないが・・感覚系にすぐれているモンスターにとってそれは人型種ほど重要ではないように思える。


多分大抵のモンスターにはその概念すらないかもしれない。

もちろん断定はできないが・・


ただ人とモンスターという異種族間でのコミュニケーション時にはあったほうが良いかもしれないと俺は思った。  

なぜなら俺を含めた大抵の人型種はモンスター達のように匂いや気配でその存在を認識する事は難しいからだ。


クンクンと鼻を鳴らしても普通の草の匂い??しかしないポッポ鳥君を見下ろし、とりあえず本人に直接聞いてみる事にした。


「 ねぇねぇ、ポッポ鳥くん。君に名前をつけてもいいだろうか?

勿論嫌だったら無理につけたりしないよ。 」


ポッポ鳥くんは最初、名前??と不思議そうな顔をしたが、まるでよく分からないけどイイよ!!と言わんばかりに「 クピャッ!! 」と鳴いた。

どうやらあまり名前についてこだわりはない様子。


なら俺たちで名前をつけてもいっか!

俺はご機嫌で後ろに座るレオンに声を掛ける。


「 レオン、このポッポ鳥くんの名前を決めようと思うんだけどどんなのが良いかな?

なんか良い名前ある? 」


レオンはそれに少し考える素振りをみせ、やがて口を開いた。


「 ・・・鳥 」


「 う~ん・・生物名だね・・ 」


奇しくも同じことを真っ先に考えてしまった俺は、自分に対するツッコミも兼ねてそう返すと、レオンは再度考え込んだ後、また口を開く。


「 ・・・黄色 」


「 あ~・・羽の色だねぇ・・ 」


またしても丸かぶりになった名前候補。

しかもそれ以後黙ってしまったレオンはこれでネタ切れ、そしてそれは俺も同様で・・


うん、知ってた。

今までも同様のことが多々あったので納得しながら頷く。


まぁ、俺もレオンもちょっとこういったセンスはイマイチなので、ちょっと他の人の意見を聞いてみよ~。


気持ちを切り替えた俺は、ポッポ鳥くんに頼んで馬車の横についてもらった。


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