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第五章
203 地上の楽園
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( リーフ )
どうやら俺が考え事をしている間にレオンが本日泊まる宿屋まで運んでくれたらしく、いつの間にやら俺の目の前には木のぬくもりをふんだんに使った巨大な建造物がそびえ建っていた。
「 う、うわぁ~・・! 」
その圧巻な光景に思わず感動の声が漏れる。
丸太を豪快に使った作りのその宿屋は、秘密基地大好き!な男の子なら不動のNo. 1に輝くであろう野性味あふれる外観で、正面にはまるでゲームのボス部屋にありそうな巨大で頑丈そうな鉄の扉がドーンとついている。
おお~~!!!
冒険心をこちょこちょされながらその宿屋を見上げていると、レオンはすっかり上機嫌になっていて俺を見てニコッと笑った。
おおお?機嫌が直っている!
ーーーあ、お仕事してるからか。
俺を運ぶお仕事をしてご機嫌なレオンに、一応「 運んでくれてありがとう。 」と告げた後、この慣れた浮遊感とごつごつ胸の感触に素直に身を委ねる。
最初はこれでも人並みの羞恥心はあった。
還暦越えのおじさんが12歳の子供に担がれるのはちょっと・・ねぇ?
結構心にズドンとくるものがあったのだが、結局人間って慣れる生き物なんだとレオンによって嫌というほど学ぶ。
今ではこの安定感ある乗り心地と、柔らかくないゴツっとした感触に安らぎすら感じる様になってしまった
こうして慣れていくのだろうな、介護って。
しみじみそう思いながらモソモソとレオンの腕の中、収まりがいいところを探していた、その時ーー
バターーーーンッ!!!!
大きな音とともにボス部屋の様な扉が開かれ、中から出てきた人物を見て俺とモルトとニールはビシーーッ!!!と固まった。
2mは軽く越えそうな高身長に筋肉隆々な体格。
パーマ掛かった髪を上でお団子にしている事と、胸部位の豊満な膨らみによりその人物が女性であることが伺える。
更にそれを決定づけるかの様に、格好は可愛い花柄のフリフリワンピースを着ているが、そんな可愛さなど軽く打ち消すほどの鋭い眼光、そして圧倒的な威圧感がメガ盛りの女性であった。
恐る恐るその女性を上から下まで見つめた後、フッと手元に注目すれば、その両手には血まみれの酒瓶が……
平然としているレオン以外の俺たちは全員ガタガタと震えながら彼女の手に持つ酒瓶に釘づけ!
そんな俺たちの様子をじーーっと見た彼女は突如、鋭い眼光と威圧感を引っ込め、ニコッと穏やかな笑顔を見せた。
「 まぁ!オホホホホ~!
盗賊の残党がまた襲ってきたのかと思っちゃいましたわ~。
大変失礼いたしました!
私、この宿< 地上の楽園 >の女亭主、【 マルタ 】と申します。
もしかして本日宿泊予定の ” リーフ様御一行 ” でしょうか? 」
俺がコクコクと必死に頷くと、マルタさんはピッピッと酒瓶についた血を飛ばして綺麗にしながら続けて言った。
「 お待ちしておりました~。どうぞ中へ。
あっ、ポッポ鳥様は外の鳥舎に従業員がお連れしますわね。 」
マルタさんがパンパンっと両手を叩くと、ドコからともなく筋肉隆々のスキンヘッドにサングラス、そしてビシッとシワひとつないスーツっぽい服を着た2人の男の人達が現れた。
「 クポッ??? 」
そしてその男の人達は、不思議そうな顔をするポッポ鳥君に向かって大きな枝豆のようなものを差し出す。
そしてそれを見せびらかす様に振りながら、フラフラ~とついていくポッポ鳥君を連れ、鳥舎があるであろう場所へと消えていった。
流石は人気宿店。
あんな凶暴な子が大人しくついて行くとは・・
ビクビクしながらモルトとニールと共にパチパチと拍手をしておいた。
この< 地上の楽園 >はこの街で一番大きく、半年先まで予約はびっしりの大人気宿。
しかし実は貴族が泊まるのは俺たちが初めてだったりする。
何故なら基本貴族は貴族専用の部屋が用意されている宿にしか泊まらないのだが、この街< ウォッカ >にはここも含めてそんなものはないから。
それにそもそもの話、この街は貴族が好む優雅さとは対極にあるような街であるため、貴族が立ち寄る事自体ないそうだ。
そのため恐らく受験予定の貴族の中で、この街に泊まってから向かうのは俺たちくらいだろうと思われる。
マルタさんの手元を未だ凝視しながらその逞しさにゴクリと唾を飲み込んでいると、彼女は片手の指で輪っかを作りピューと口笛を吹く。
すると、今度は宿屋の屋根の方からこれまた筋肉隆々のフリル満載のメイド服を着た女性達が2人、シュタッと出現したがーーーその手にはマルタさん同様、可愛さとは掛け離れた血まみれの酒瓶が装備されていた。
ここでブルブル震えていたモルトとニールは、とうとう立っていられなくなってしまいその場で尻もちをつく。
どうやら腰を抜かした模様。
それを見たマルタさんは悲しげに眉を下げた。
「 まぁまぁ!立っていられないほどお疲れでしたのね!
では直ぐにお部屋にお運びいたしますわね~。
あっ、大変申し訳ありませんが本日の騒ぎで少々宿内が汚れていますの~。
お部屋は大丈夫ですのでお気になさらないでくださいね。 」
マルタさんがそう言い終わったタイミングで、メイド服を着た女性達がそれぞれ腰を抜かしたモルトとニールを優しくお姫様抱っこ。
そして同じく腰を抜かした俺はレオンにそのまま運ばれる事になった。
そうして部屋を案内されながら、メイド服のお嬢さん達はこの宿についての説明や歴史などを丁寧にお話してくれるがーーーー
通路に飛び散った血と抉られた壁などが気になって全くその内容は頭に入ってこなかった。
どうやら俺が考え事をしている間にレオンが本日泊まる宿屋まで運んでくれたらしく、いつの間にやら俺の目の前には木のぬくもりをふんだんに使った巨大な建造物がそびえ建っていた。
「 う、うわぁ~・・! 」
その圧巻な光景に思わず感動の声が漏れる。
丸太を豪快に使った作りのその宿屋は、秘密基地大好き!な男の子なら不動のNo. 1に輝くであろう野性味あふれる外観で、正面にはまるでゲームのボス部屋にありそうな巨大で頑丈そうな鉄の扉がドーンとついている。
おお~~!!!
冒険心をこちょこちょされながらその宿屋を見上げていると、レオンはすっかり上機嫌になっていて俺を見てニコッと笑った。
おおお?機嫌が直っている!
ーーーあ、お仕事してるからか。
俺を運ぶお仕事をしてご機嫌なレオンに、一応「 運んでくれてありがとう。 」と告げた後、この慣れた浮遊感とごつごつ胸の感触に素直に身を委ねる。
最初はこれでも人並みの羞恥心はあった。
還暦越えのおじさんが12歳の子供に担がれるのはちょっと・・ねぇ?
結構心にズドンとくるものがあったのだが、結局人間って慣れる生き物なんだとレオンによって嫌というほど学ぶ。
今ではこの安定感ある乗り心地と、柔らかくないゴツっとした感触に安らぎすら感じる様になってしまった
こうして慣れていくのだろうな、介護って。
しみじみそう思いながらモソモソとレオンの腕の中、収まりがいいところを探していた、その時ーー
バターーーーンッ!!!!
大きな音とともにボス部屋の様な扉が開かれ、中から出てきた人物を見て俺とモルトとニールはビシーーッ!!!と固まった。
2mは軽く越えそうな高身長に筋肉隆々な体格。
パーマ掛かった髪を上でお団子にしている事と、胸部位の豊満な膨らみによりその人物が女性であることが伺える。
更にそれを決定づけるかの様に、格好は可愛い花柄のフリフリワンピースを着ているが、そんな可愛さなど軽く打ち消すほどの鋭い眼光、そして圧倒的な威圧感がメガ盛りの女性であった。
恐る恐るその女性を上から下まで見つめた後、フッと手元に注目すれば、その両手には血まみれの酒瓶が……
平然としているレオン以外の俺たちは全員ガタガタと震えながら彼女の手に持つ酒瓶に釘づけ!
そんな俺たちの様子をじーーっと見た彼女は突如、鋭い眼光と威圧感を引っ込め、ニコッと穏やかな笑顔を見せた。
「 まぁ!オホホホホ~!
盗賊の残党がまた襲ってきたのかと思っちゃいましたわ~。
大変失礼いたしました!
私、この宿< 地上の楽園 >の女亭主、【 マルタ 】と申します。
もしかして本日宿泊予定の ” リーフ様御一行 ” でしょうか? 」
俺がコクコクと必死に頷くと、マルタさんはピッピッと酒瓶についた血を飛ばして綺麗にしながら続けて言った。
「 お待ちしておりました~。どうぞ中へ。
あっ、ポッポ鳥様は外の鳥舎に従業員がお連れしますわね。 」
マルタさんがパンパンっと両手を叩くと、ドコからともなく筋肉隆々のスキンヘッドにサングラス、そしてビシッとシワひとつないスーツっぽい服を着た2人の男の人達が現れた。
「 クポッ??? 」
そしてその男の人達は、不思議そうな顔をするポッポ鳥君に向かって大きな枝豆のようなものを差し出す。
そしてそれを見せびらかす様に振りながら、フラフラ~とついていくポッポ鳥君を連れ、鳥舎があるであろう場所へと消えていった。
流石は人気宿店。
あんな凶暴な子が大人しくついて行くとは・・
ビクビクしながらモルトとニールと共にパチパチと拍手をしておいた。
この< 地上の楽園 >はこの街で一番大きく、半年先まで予約はびっしりの大人気宿。
しかし実は貴族が泊まるのは俺たちが初めてだったりする。
何故なら基本貴族は貴族専用の部屋が用意されている宿にしか泊まらないのだが、この街< ウォッカ >にはここも含めてそんなものはないから。
それにそもそもの話、この街は貴族が好む優雅さとは対極にあるような街であるため、貴族が立ち寄る事自体ないそうだ。
そのため恐らく受験予定の貴族の中で、この街に泊まってから向かうのは俺たちくらいだろうと思われる。
マルタさんの手元を未だ凝視しながらその逞しさにゴクリと唾を飲み込んでいると、彼女は片手の指で輪っかを作りピューと口笛を吹く。
すると、今度は宿屋の屋根の方からこれまた筋肉隆々のフリル満載のメイド服を着た女性達が2人、シュタッと出現したがーーーその手にはマルタさん同様、可愛さとは掛け離れた血まみれの酒瓶が装備されていた。
ここでブルブル震えていたモルトとニールは、とうとう立っていられなくなってしまいその場で尻もちをつく。
どうやら腰を抜かした模様。
それを見たマルタさんは悲しげに眉を下げた。
「 まぁまぁ!立っていられないほどお疲れでしたのね!
では直ぐにお部屋にお運びいたしますわね~。
あっ、大変申し訳ありませんが本日の騒ぎで少々宿内が汚れていますの~。
お部屋は大丈夫ですのでお気になさらないでくださいね。 」
マルタさんがそう言い終わったタイミングで、メイド服を着た女性達がそれぞれ腰を抜かしたモルトとニールを優しくお姫様抱っこ。
そして同じく腰を抜かした俺はレオンにそのまま運ばれる事になった。
そうして部屋を案内されながら、メイド服のお嬢さん達はこの宿についての説明や歴史などを丁寧にお話してくれるがーーーー
通路に飛び散った血と抉られた壁などが気になって全くその内容は頭に入ってこなかった。
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