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第五章

200 い〜れ〜て!

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( リーフ )

モルトとニールがあんなに目の色を変えるほどの珍しい品があったのはそういった理由からだったのか~。


再確認しながら頷いていると、レイラさんは俺のゴトッと置かれているトロフィーにも視線を向けた。


「 リーフ様は何の大会で優勝したんですか? 」

質問された俺は、自身のバックから先ほど貰ったスケスケエッチな踊り子の衣装を取り出し、レイラさん達に広げて見せた。

目が点になる面々を前に、俺はドヤッとした顔を見せる。


「 俺、< ダンス大会 >で優勝しちゃったんだー!

これ、優勝賞品! 」


誇らしげにその衣装を高々と上げ、更にそれを見せびらかすと、何故か微妙に視線をそらす冒険者の4人。


「 へ・・へぇ~、す、すごいですね・・。

その・・人は見かけによらないというか・・・


ーーあっ!!嫌味とかじゃないですからね!?

本当に良い意味で!ですからね!? 」


手をブンブン振って焦ったようにそういうレイラさんに続き、ジンさんも同様の様子で俺に話かける。


「 まっまぁ、・・ほらっ!あれですよね?!

地味な女の子の方が夜は凄い的なやっ・・・ 」



ーーーーードゴッっ!!!



物凄い音を立ててシュリさんがジンさんの脇腹に肘打ちをし、悲鳴もなくジンさんが地面に崩れ落ちた。


「 ーーえっ!?ジ、ジンさん大丈夫?! 」


言葉なく震えているジンさんに焦りながらそう聞くと、シュリさんはニコリと笑って「 大丈夫です。 」ときっぱり言い放つ。

そしてそれを見てレイラさんは青ざめて口を両手で押さえたが、その中で唯一ヘリオさんだけが、じーっとスケスケエッチ衣装を見つめ、ほぅほぅと感心した様に唸った。


「 コレはエルフの国、レイティア産の最高級の布と糸が使われていますね。

それだけでもかなりのお値打ち品ですよ。

コレを着て踊れば注目間違いなしです。 」



「 いやいや着ないよ~。

だってこれ女性が着る服だしね。

こんなに布面積が少ないのにそんな高い服だったんだ。 」


改めてマジマジと見ても、制作コストを極限まで減らした様にしか見えない衣装だ。

パンツの部分なんてほぼ紐なもんだから、俺の慎みやかなお象さんですら大人しくその場で待機できないぞ~?

訝しげにそのスケスケ衣装をジロジロと眺めていると、レオンも気にはなっているのかチラッチラっと僅かに視線を感じた。


「 ??えっ?着ないんですか??でもダンス大会にーー・・」


何か言いかけたヘリオさんの口をレイラさんが塞ぐ。


「 売ればかなり高額になるので、良かったらお薦めのお店案内しますよ~? 」


レイラさんの提案を聞き、俺はどうすべきか考えだす。


売れば高額か~・・

手元にあるスケスケ衣装をジッと見た後、そうだ!と良いことを思いついた俺は、お腹を抑えて座り込んでるジンさんにそれを差し出した。

不思議そうに差し出されたスケスケ衣装を見るジンさん。

俺はそんなジンさん「 あげるよー。 」と言って無理やり衣装を握らせる。


「 なんかポッポ鳥を買い取ってお金無くなっちゃったって言ってたから、これを売るといいよ。

俺、どうせこの服着ないからちょうどいいや。 」


するとジンさん達は慌てて首を横に振った。


「 ダメですよ!これ一着でポッポ鳥10匹は買えますよ!

流石に貰えませんよ! 」

ブンブンと首を大きく振りながらソレを返そうとしてくるジンさんだったが、俺はそれを頑なに拒む。


俺も本当にいらない。

だって下着未満だし・・


押し問答している内にレオンがあり得ないほど凹んでいるのに気づき、どうしたんだろう?と不思議に思った、その時ーー俺は、はっ!と気づいた。


もしかしてレオン、着たかったんじゃない?コレ。


以前ドレスを着たがっていたレオン、可愛いものが大好きレオン。

でも好きなのはキュートだけではなく、セクシーもだと・・そういうこと??

探る様にジッとレオンを見つめると、やはりショックを受けている様でジトッとした目でコチラを見てくる!

これはちょ~っと配慮が足りなかったかな~?

多少の申し訳なさを感じたが、これをレオンが着たら・・?と思い浮かべ、フルフルと首を横に振る。

多分下半身が、隠すものという概念を失くす。

そうおじさんは思っちゃたわけで、やっぱりこれは今は手放すべきだと思うわけだよ。


こういうのは成人後から!

ちょっとマニアックな性的趣向はその時パートナーと楽しもう!


そうしてわいのわいの~!と騒いでいる内に、突如あの凶暴なポッポ鳥が大きな音をたてて俺の背後に着地した。


「 ぎゃーー!!! 」


ジンさんはまたしても叫び声を上げ、スケスケ服をその場に落として後ろに後ずさる。

するとポッポ鳥はその落とした衣装をクチバシで拾い上げジンさんの顔にペーン!!とたたきつけた。

そして更に足元に付いていた飼い主の名前が書かれた足輪をふんっ!と引きちぎり、それもジンさんに投げつける。

「 クッピャピャピャッ! 」

キョトンとした顔でへたり込むジンさんに向かい、まるで笑い声の様な声を上げると、また俺とレオンの周りをグルグルと回り始めたポッポ鳥君。

「 クピョロロロロ~♬ 」

更に今度はまるで歌う様に鳴き、お尻をフリフリと振る。


何だ何だ??

またしても謎行動をするポッポ鳥君に首を傾げる俺達。

その中でヘリオさんだけは驚いた顔をして話し始めた。


「 この動き・・コレは群れをなくしてしまった個体が他の群れに入れて欲しい時にする動きですね。

ポッポ鳥達は群れに対する思い入れが強く、自ら群れを抜ける事はしませんが・・

稀に天災に巻き込まれたり、天敵に襲われたりで群れが全滅してしまう事があります。

その場合は他の群に入れてもらうのですが、その時この動きで必死にアピールするんですよ。

"  仲間に入れてー  "   "  寂しいよー  "  って。

このことからコレは〈 ポッポ鳥の友達ダンス 〉とも呼ばれています。 

・・でも、人間相手にコレをする事は無いはずなんですが・・ 」


ペラペラと説明を終えたヘリオさんは、うう~んと疑う様な眼差しで踊るポッポ鳥を睨みつけている。


ほぅほぅ、なるほど、なるほど。

つまり、アレだ。


このポッポ鳥くんは、俺とレオンを一つの群れだと思っていて、それに、「 い~れ~て! 」をしているということか。


やっとこの謎行動の意味が判明し、スッキリした。


いいよ、いいよー!

もしかしたら背中の乗せ心地的に何か通じるものがあったのかもしれないね。レオンと。


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