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第五章

182 冒険者事情

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( リーフ )


◆◆◆


「 お恥ずかしいところをお見せしてもうしわけありませんでした。

それで・・よろしければ、あのゴブリン達の< 瘴核 >を私達が回収してお渡しします。

本来< 瘴核 >は討伐した者に所有権があるのですが、その者がその場にいない場合、第一発見者にその所有権が移ります。

つまりこのゴブリンの群れはリーフ様達の物です。

< 瘴核 >はギルドで何時でも買い取ってもらえて、ランクが高いモンスターほど高額買い取りになりますので、是非そこで換金して下さい。

ゴブリン・キングなんてCランクモンスターですので、きっとかなりの高額になりますよ~。 」



「 へぇ~、そうなのかい。 」



レイラさんの説明に、俺、モルト、ニールの三人は感心したように頷き、お言葉に甘えてそれをお願いした。


すると合点承知!とばかりにジンさん、シュリさん、ヘリオさんがザクザクとモンスターを切りその< 瘴核 >なるものを回収し始めると、ずっと馬を至近距離で睨みつけていたレオンがそれに近づきその様をじーーっと見つめる。


どうやら何かしらの興味の琴線に触れたようだ。


良き良き、と微笑ましい目でそれを見つめた後、初めて出会った冒険者というものに興味を惹かれレイラさんに色々な質問を投げかける。


ーーーというのも、実は俺たちの住む街< レガーノ >には冒険者ギルドなるものがないため興味が湧いたからだ。


危険なモンスターがほとんで出ない平和なレガーノでは、討伐依頼などが滅多に出ないため、その結果冒険者は仕事を探しに他の街に移ってしまう。


しかしこれは珍しい事ではなく、他にもめぼしい襲撃情報のない街や村、それに貴族が住んでいない様な貧しい地方では冒険者ギルドや傭兵ギルドはなく、街を守るのは領主様が管轄している守備隊のみ・・という場所がこの世界では数多く存在しているのだ。



俺は、レイラさんの話を聞きながら、フムフムと自身の知っている事と聞いた話を頭の中で整理していった。



まず冒険者になるためには、冒険者ギルドがある街に行っての登録が必要で、登録できるのは12歳から。


貴族だろうが奴隷だろうが誰でも登録はできるが、犯罪歴がある者は予め登録できない仕組みになっているらしい。


更に冒険者はその実力によってランク分けがされていて、上から順にーー


< S、A、B、C、D、E、F、G >


ちなみに出される依頼ランクはこの冒険者ランクより上のものは受けることは出来ない。


入りたての冒険者は全員このGランクスタートで、このランクはいわゆる< 冒険者見習い >とも言われているらしい。



冒険者の事をいまいち分かっていなかった俺たちに対し、レイラさんは丁寧にそう教えてくれたため、一斉にお礼を述べた後、フッと浮かんだ疑問を口に出してみた。


「 ちなみにモンスターを討伐してその< 瘴核 >を取らずに冒険者さんが立ち去る事はそんなにあるのかい? 」


そう尋ねると、彼女はまた丁寧にそれに答えてくれた。



「 はい。冒険者見習いの子達は最初は依頼を上手くこなせず金欠の子たちが多いんです。

冒険者になる人達は裕福な人達のほうが少なくて、12歳になってすぐ致し方なくなる子達が沢山います。

そういった子達のため、高ランクパーティーの冒険者達は下位のモンスターをわざと放置し< 瘴核 >の所有権を譲るんです。


これを『 施し制度 』と言います。


この制度のお陰で新人の子は< 瘴核 >の解体の仕方も学べて、さらにお金も稼げますから、まさに一石二鳥!

私達も新人の時は散々この制度に助けられました。 」


ふんっと鼻息荒く、ピースするレイラさん。


なるほど、なるほど~。

冒険者ギルドは組織的に先輩冒険者による新人教育プログラムがきちんと組まれているらしい。


感心しながら、その事について更に考えてみた。


確かに冒険者になる人達は、大抵は継ぐ家業がなく進学するお金もない貧しい家庭の子供が、小学院卒業後そのまま冒険者に・・というパターンが最も多い。


そんな子達をフォローアップする制度が冒険者ギルドにはいくつか存在していて、この『 施し制度 』もその一つと言う事。


他にもベテラン冒険者が一定期間、新人冒険者達とパーティーを組み手ほどきを行う『 親子制度 』 がメジャーな制度だそうだが、その ” 親 ” 認定冒険者はランクがDランク以上かつ厳しい試験に合格しなければなれないらしく、なかなかその資格を持っている冒険者はいないのだとか。



しかしなんとこのレイラさんをはじめとするジンさん、シュリさん、ヘリオさんの4人全員がその資格をもっているとのこと。

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