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第五章

181 冒険者

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( リーフ )




「 こらっ!レイラ!勝手に飛び出すなよ!

ゴブリンキングが急に出てきたらどうすんだーー・・って、なんじゃこりゃーー!!! 」



茶色い短髪に前衛職っぽい逞しい体格、鉄製の胸当てとロングソードを腰に装備しているが、ほんわかとした優しそうな雰囲気をもつ青年がこちらに広がる景色を目にし大声で叫んだ。


年はやはり先ほどのお嬢さんくらいのお年頃だろう、まだ顔に幼さが残っている。


他の2人も恐らく同じくらいのお年頃の様だから4人でお友達的関係かな?と予想する。



「 ごめんごめん。

なんか大量のゴブリンの気配を察知したから誰かが襲われてたらと思って焦っちゃった。

それより、見てよ!

ほら、ゴブリン・キング!もう誰かが討伐してくれたみたいなの。

それでこの子達が発見してくれたみたい。 」



少女がそこで俺達を指差すと、茶色の短髪の男性がホッとした様子で俺たちに話しかける。



「 そうだったのか。君達大丈夫だった?

あれはとっても凶暴なモンスターだから死体でも怖かっただろう。


俺は【 ジン 】、資質は〈 岩戦士 〉


土属性に特化した前衛職のDランク冒険者で、一応ここにいる4人のパーティーのリーダーをしているんだ。 」



「 は~い!私は【 レイラ 】!

資質は〈 忍び人 〉で斥候、諜報、罠解除、何でもお任せ!

同じくDランク冒険者だよ。 」



ピンクの髪の少女、レイラさんがパチンとウィンクしながら軽~い感じの自己紹介をすると、そんなレイラさんの頭をコツンっと軽く叩き、お調子者~と言って嗜めた少女が俺たちの方へ視線を向ける。



白い聖衣に緑色の長いポニーテール、イメージ的にはキャリアウーマン的なシャキッとした雰囲気のスレンダー少女が俺達に向かってペコリと軽く頭を下げる。



「 初めまして。

私は【 シュリ 】、資質は〈 介助師 〉で回復やサポートがメインの後衛職よ。

本当に無事でよかったわ。 


ーーーで、あそこに隠れている怪しい男が【 ヘリオ 】。

資質は〈 魔法士 〉


一応魔法担当で、性格はモンスターマニアの極度の人見知り男。


ちなみに私とヘリオもDランク冒険者よ。 

よろしくね。 」



シュリさんの指差す先には割と大きな岩があってそこからジトっとした目でこちらを覗いている怪しい男が確かにいる。


細っそりした体型に赤く長い髪。

体型にあまり合っていないブカブカのスタンダード魔道士の黒いローブを羽織り、背中には長めの杖が装備されている。


「 ・・どうも~・・」


彼はオドオドしながらコチラへゆっくりと近づいて来たのだが、途中でジンさんにガシッと肩を掴まれ、そのままザッザッと大股で連れられペコリと頭を下げさせられた。


丁寧な自己紹介にコチラもと俺は4人に向かって口を開いた。



「 初めまして。色々教えてくれてありがとう。

俺はリーフ、こっちは下ぼ・・じゃなくて従者のレオンと幼馴染のモルトとニールで、こちらは馬を引いてくれる御者さんだよ。

俺達これから【 ライトノア学院 】の試験を受けに、まずはその最寄りの【 ウォッカ 】って街を目指している最中なんだ。 」



「 えぇ!護衛もつけずに子供達だけでここまで来たのかい?

それは危険だ!

良かったら俺達もウォッカに帰る途中だから街まで護衛するよ。 」



ジンさんは仲間の三人に視線を向けると、三人ともコクリと頷き了承を伝える。



な、なんて心優しい若者達なんだ!

おじさんはとても感動した!


じ~んと感動に打ちひしがれていると、シュリさんがフッと俺達の乗ってきた馬車へと目線を送ると、そのままザッ!!と青ざめた。


そしてニコニコしているジンさんへ物凄い勢いの肘打ちを腹部に打ち込む。

「 ーーーがっ!!!!? 」

悲鳴を上げたジンさんの頭を鷲掴み、そのまま耳にこしょこしょと内緒話をすると、ジンさんもザッ!!と一瞬でドス黒い青色へと顔色を変えた。


そしてその後は、にっこにっこしているレイラさんと、すぃ~とモンスターの死骸に近づこうとするヘリオさんの頭を鷲掴み、ガガっ!!!と地面に叩きつけると、そのまま揃っての土下座を披露。


更に隣ではいつのまにかシュリさんまで土下座をしていて、急展開すぎてポカンとする俺とモルト、ニールを前にし、

「 す、すみませんでしたーーー!!!! 」

ーーと大声で叫ぶ。



レオンを除いた俺達はその気迫と大声にビクビクー!!!と体を震わせ、慌てて ” どうしたの? ” と尋ねる前に、ジンさんが続けて言った。



「 まさかお貴族様とは知らず失礼な態度をとって申し訳ありませんでしたー!!!

この責任はこのパーティーのリーダーである俺の責任です!

どうか罰するなら俺だけにして下さいーー!! 」



えええーー?!


い、一体どこに失礼な態度があったんだい??



本気で訳が分からず、とりあえず頭を上げて欲しいと頼み込むと、ゴブリンの血でべっちょりと汚れた彼らの顔とご対面。


ヒェッ!!と驚き言葉の出ない俺達( レオンを除く )を前に、かくなる上はーー!とばかりに剣を首に当てるジンさんをモルト、ニールの2人と共に必死に止める。


そして、ひゃぁぁぁー!!と錯乱気味のジンさんにクラン特製の匂い袋を嗅がせ落ち着かせ、” 俺たちは全く失礼だと思っていない事 ” ” とにかく普通にして欲しい事 ” を切に訴えた。


すると匂い袋の影響か、ややトロンとした表情のジンさんがうんうんと頷き、他の三人もややぎこちないが元通りに接してくれるのに納得してくれたが、つくづく身分制度の恐ろしさというものをとても身近で感じる出来事であった・・・。

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