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第四章
171 VS ザイール
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( ザイール )
「 ・・なんでてめぇがここにいやがるんだ。元第二騎士団団長のドノバン様よー。」
俺が内心の焦りを隠しながらそう言うと、奴はドノバンは人を茶化すような腹が立つ顔でニタアァァと笑う。
それにイラッとしながらも慎重に後ろに控えている仲間たちに視線を送る。
元第二騎士団団長の実力の程は知らねえが、このまま全員でバカ正直に正面からぶつかっても良いことなんざない事は確実なため、とりあえず俺が時間を稼いでいる間に屋敷の非戦闘員の誰かを人質として確保する。
そうすりゃー第二騎士団なんつー偽善の騎士様は手も足も出すことは出来なくなるだろう。
それを察した仲間たちは直ぐに散り散りに散り、闇夜に溶け込む。
仲間たちは俺のスキル : < 闇のベール > を発動している為、如何にドノバンが強かろうとそう簡単に気配を察知できないはず。
<切断士の資質> (ノーマルスキル)
< 闇のベール >
人の持つ物理的気配と魔力的気配の両方を薄めることのできる気配遮断系スキル
術者の魔力操作によりその精度は上がり、魔力量により継続時間が決定する
(発現条件) 一定以上の魔力、魔力操作を持つこと
一定回数異常気配を遮断し生き物の生を奪うとこ
一定以上の残忍、冷徹を持つこと
予想通りドノバンは横をすり抜けていった仲間に気づかずボケっとした間抜け面であくびまでしている。
流石に一人くらいは気づいてやられるかと思ったがーーーもしかしてこいつ噂に尾ひれがついただけの無能野郎か?
「 あ~眠ぃな~、くっそ~。
おいおいこんな夜中に襲撃してくんなよな~。
もう年だから夜遅いと朝きついんだわ。
俺が夜通し起きて付き合うのは女だけって決めてるんで~。
なのによ~ーー 」
「 ・・へ~、俺たち気が合うな。
俺もあんた相手じゃ気分がのらねぇからこのまま帰ってもらってもいいんだぜ? 」
ブツブツ文句を言うドノバンに警戒を緩めず軽口をたたくと、奴はう~ん?と小指で耳をほじくりそのあとその指にフッと息を吐く。
「 そうしてぇのは山々なんだが大人にゃ~やむを得ない事情ってぇやつがあるからな~。
子供の快適な安眠を見守るのも大人の役目ってやつよ。
・・・まぁ、一匹はバッチリ起きてこちらを静観しているけどな。 」
こわぁ~とドノバンは二の腕をさすりブルブルと大げさに震える。
奴の資質は確か < 魔法剣士 > 圧倒的とも言えるパワーに更に最悪な事に魔法まで駆使して来る。
上級資質の奴らなんざほとんど反則だろうも言いたくなるような厄介な能力者ばかりーー
しかも目の前のドノバンに至っては、他国との小競り合いの中、赤い炎の大剣を振り回しいくつもの戦況を変えてきたとされる伝説の男であると・・恐らく正面からぶつかれば俺の負け。
しかしー・・・
「 てめぇ、ホントは大した事ねぇんじゃねえの?
実はよくいる噂だけやたら回っちまった無能野郎だろう。
俺の仲間達の存在にもちっとも気づかねぇしーー・・ 」
「 あー、今入ってった10人か? 」
正確な人数を当てられギクリとする。
気づいていやがったのかっ!
俺は慎重にドノバンとの距離を読みながら最適とも言える距離までジリジリと下がっていく。
「 ・・くそっ、とんだ貧乏くじを引いちまった。
こんなことなら別の奴を担当すりゃー良かったぜ。 」
俺が舌打ちをしながらそう吐き捨てると、ドノバンは青ざめブルブルっと震えた。
「 いや、お前が一番運がいいからな?!
あいつらの恐ろしさを知らねぇからそんな事言えるんだ。
・・まぁ、でもーーこんな化け物屋敷に来ちまった時点で全員運がねぇか 」
しみじみといった様子でわけの分からぬ事を言うドノバンを横に俺は必死に考える。
ドノバンを相手するには少なくともボブやランド、他の精鋭員達の力が必要、ならば俺は時間を稼ぎつつ奴の体力を少しでも削っておく。
ドノバンが団長を退いたのは、自身の息子に無様に負けて追い出されたからだと聞いている。
つまりは、奴は現役の時より確実に衰えているということ。
体力なら若い俺に武がある!
俺は後ろのホルダーに手を伸ばし丸い黄色い玉を取り出すと、瞬時に魔力を流し奴に投げつけた。
ドノバンが、「 おっ? 」と間抜けな声を上げた瞬間ーーー
カッ!!!と強い光がそこから炸裂した。
〈 閃光玉 〉
光属性の魔力を封じた魔導具
魔力を流すと強い光が発し目眩ましになる。
俺は間髪入れずにスキル < 闇のベール >を発動、来た道の方へ全力で駆け出す。
俺はスピードだけならAクラス傭兵にも引けはとらねぇ。
このまま魔導具とトラップを駆使してドノバンの野郎の体力を少しづつ削ってやる!
そうしてトラップを仕掛けるのにちょうど良さそうな場所を探しながら全力疾走しているとーーー・・
「 おーい、まだ鬼ごっこを続けるつもりか? 」
ーーというドノバンののんびりとした声が耳元で聞こえた。
ぎょっ!!として声のした方へ視線を向ければ直ぐに目の前に、俺と並行して走っている余裕そうな顔のヤツの姿が。
「 ・・!!? 」
直ぐに奴から大きく間合いをとって止まると、心臓はドッドッドッと大きく跳ね、額からは汗がいくつも伝っていった。
そんな俺に構うことなく、ドノバンはのんびりと止まった後、大剣に魔力を流すと、瞬く間にそれは炎に包まれ赤く染まり辺りはまるで熱砂のような風が吹き荒れる。
「 さぁ、そろそろ遊ぶのはお終いにしようぜ。
祈る時間はいらねえだろ?
俺は騎士、お前は傭兵、お互い何時でも死ぬ覚悟はとっくにできてる。
ーーなぁ、そうだろう? 」
「 ・・なんでてめぇがここにいやがるんだ。元第二騎士団団長のドノバン様よー。」
俺が内心の焦りを隠しながらそう言うと、奴はドノバンは人を茶化すような腹が立つ顔でニタアァァと笑う。
それにイラッとしながらも慎重に後ろに控えている仲間たちに視線を送る。
元第二騎士団団長の実力の程は知らねえが、このまま全員でバカ正直に正面からぶつかっても良いことなんざない事は確実なため、とりあえず俺が時間を稼いでいる間に屋敷の非戦闘員の誰かを人質として確保する。
そうすりゃー第二騎士団なんつー偽善の騎士様は手も足も出すことは出来なくなるだろう。
それを察した仲間たちは直ぐに散り散りに散り、闇夜に溶け込む。
仲間たちは俺のスキル : < 闇のベール > を発動している為、如何にドノバンが強かろうとそう簡単に気配を察知できないはず。
<切断士の資質> (ノーマルスキル)
< 闇のベール >
人の持つ物理的気配と魔力的気配の両方を薄めることのできる気配遮断系スキル
術者の魔力操作によりその精度は上がり、魔力量により継続時間が決定する
(発現条件) 一定以上の魔力、魔力操作を持つこと
一定回数異常気配を遮断し生き物の生を奪うとこ
一定以上の残忍、冷徹を持つこと
予想通りドノバンは横をすり抜けていった仲間に気づかずボケっとした間抜け面であくびまでしている。
流石に一人くらいは気づいてやられるかと思ったがーーーもしかしてこいつ噂に尾ひれがついただけの無能野郎か?
「 あ~眠ぃな~、くっそ~。
おいおいこんな夜中に襲撃してくんなよな~。
もう年だから夜遅いと朝きついんだわ。
俺が夜通し起きて付き合うのは女だけって決めてるんで~。
なのによ~ーー 」
「 ・・へ~、俺たち気が合うな。
俺もあんた相手じゃ気分がのらねぇからこのまま帰ってもらってもいいんだぜ? 」
ブツブツ文句を言うドノバンに警戒を緩めず軽口をたたくと、奴はう~ん?と小指で耳をほじくりそのあとその指にフッと息を吐く。
「 そうしてぇのは山々なんだが大人にゃ~やむを得ない事情ってぇやつがあるからな~。
子供の快適な安眠を見守るのも大人の役目ってやつよ。
・・・まぁ、一匹はバッチリ起きてこちらを静観しているけどな。 」
こわぁ~とドノバンは二の腕をさすりブルブルと大げさに震える。
奴の資質は確か < 魔法剣士 > 圧倒的とも言えるパワーに更に最悪な事に魔法まで駆使して来る。
上級資質の奴らなんざほとんど反則だろうも言いたくなるような厄介な能力者ばかりーー
しかも目の前のドノバンに至っては、他国との小競り合いの中、赤い炎の大剣を振り回しいくつもの戦況を変えてきたとされる伝説の男であると・・恐らく正面からぶつかれば俺の負け。
しかしー・・・
「 てめぇ、ホントは大した事ねぇんじゃねえの?
実はよくいる噂だけやたら回っちまった無能野郎だろう。
俺の仲間達の存在にもちっとも気づかねぇしーー・・ 」
「 あー、今入ってった10人か? 」
正確な人数を当てられギクリとする。
気づいていやがったのかっ!
俺は慎重にドノバンとの距離を読みながら最適とも言える距離までジリジリと下がっていく。
「 ・・くそっ、とんだ貧乏くじを引いちまった。
こんなことなら別の奴を担当すりゃー良かったぜ。 」
俺が舌打ちをしながらそう吐き捨てると、ドノバンは青ざめブルブルっと震えた。
「 いや、お前が一番運がいいからな?!
あいつらの恐ろしさを知らねぇからそんな事言えるんだ。
・・まぁ、でもーーこんな化け物屋敷に来ちまった時点で全員運がねぇか 」
しみじみといった様子でわけの分からぬ事を言うドノバンを横に俺は必死に考える。
ドノバンを相手するには少なくともボブやランド、他の精鋭員達の力が必要、ならば俺は時間を稼ぎつつ奴の体力を少しでも削っておく。
ドノバンが団長を退いたのは、自身の息子に無様に負けて追い出されたからだと聞いている。
つまりは、奴は現役の時より確実に衰えているということ。
体力なら若い俺に武がある!
俺は後ろのホルダーに手を伸ばし丸い黄色い玉を取り出すと、瞬時に魔力を流し奴に投げつけた。
ドノバンが、「 おっ? 」と間抜けな声を上げた瞬間ーーー
カッ!!!と強い光がそこから炸裂した。
〈 閃光玉 〉
光属性の魔力を封じた魔導具
魔力を流すと強い光が発し目眩ましになる。
俺は間髪入れずにスキル < 闇のベール >を発動、来た道の方へ全力で駆け出す。
俺はスピードだけならAクラス傭兵にも引けはとらねぇ。
このまま魔導具とトラップを駆使してドノバンの野郎の体力を少しづつ削ってやる!
そうしてトラップを仕掛けるのにちょうど良さそうな場所を探しながら全力疾走しているとーーー・・
「 おーい、まだ鬼ごっこを続けるつもりか? 」
ーーというドノバンののんびりとした声が耳元で聞こえた。
ぎょっ!!として声のした方へ視線を向ければ直ぐに目の前に、俺と並行して走っている余裕そうな顔のヤツの姿が。
「 ・・!!? 」
直ぐに奴から大きく間合いをとって止まると、心臓はドッドッドッと大きく跳ね、額からは汗がいくつも伝っていった。
そんな俺に構うことなく、ドノバンはのんびりと止まった後、大剣に魔力を流すと、瞬く間にそれは炎に包まれ赤く染まり辺りはまるで熱砂のような風が吹き荒れる。
「 さぁ、そろそろ遊ぶのはお終いにしようぜ。
祈る時間はいらねえだろ?
俺は騎士、お前は傭兵、お互い何時でも死ぬ覚悟はとっくにできてる。
ーーなぁ、そうだろう? 」
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