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第四章
150 レオンの衝撃
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☆ そろそろストーカータグが入るかもしれません・・少し注意
( レオン )
今日はリーフ様とお出かけする日!
俺はドキドキする胸を押さえながら、まだ朝日が昇る前の今現在、リーフ様が眠る部屋の方角に視線を向けたまま絨毯の上に体を横たえている。
俺の体はこの四年間眠るということを必要としなくなり、それに対し何ら変化はみられない。
眠る事ができないわけではない様なので、寝ようと思えば寝れるが・・
それならリーフ様の気配を感じていたほうが良いかと俺の五感全てをリーフ様に " 張り付けて " それを存分に味わって過ごすことにした。
視覚はリーフ様の目がまだ閉じられているため暗いが、息遣いや心臓の音、サラサラ流れる血液の音に温かな体温、匂い、
その全ての感覚が " 張り付けた " 俺の感覚器を通して伝わってくると、じんわりとした幸せを感じることができる。
奴隷になってからは物理的な距離も近づき、俺の毎日はまた新たな幸せで満ち溢れている。
この幸せで満たされた世界に二人きりでいられたら・・
ーーそう願っても中々上手くはいかないらしい。
リーフ様はこれから中学院という学び場に通うことをご所望だ。
そこにはとても沢山の人間達がいるそうで、それはつまりまた新たにリーフ様の側に湧く邪魔な存在達が有象無象に出現する可能性があるということ。
それにより心をかき乱される日々になりそうだと思わずため息を漏らした後、それに続くリーフ様の言葉を思い出す。
” 中学院に通う間、俺たちは寮生活をすることになるから、早めに荷物整理をしておこうね。 ”
なるほど・・?
それにとりあえず納得した俺は言われたとおり直ぐに私物をまとめ始めた。
リーフ様に貰った絨毯。
ほのかに香るリーフ様の匂い付き、大事な物なので勿論持っていく。
金色のお皿。
リーフ様の横によくいる太い方に貰った。
リーフ様に何かを捧げる時に使うため、できるだけ良いものをよこせと言ったらこれをくれた。
これも必要だ、持っていく。
リーフ様に貰った砂ねずみの人形。
リーフ様に似ている。
その時点で無碍には出来ないし、何よりリーフ様からの贈り物。
現在はこの部屋で一番豪勢な場所にとベッドの上にソッと乗せ、毎日花をお供えしている。
勿論これも持っていく。
それに服を数着ーーと、荷物整理を直ぐに終えた俺を見て、リーフ様は奴隷になった記念を買いに行こうと誘ってくれたのだ。
” 嬉しい ” が心を満たす。
その時の気持ちを思い出しながら上機嫌で長い夜を過ごし、やっとお出かけする瞬間を迎えた俺は、ドキドキしながら街へと向かうリーフ様の後をついていった。
” リーフ様と一緒に歩く ”
それだけで俺は十分幸せで、欲しいものはないかという問いに対しそのまま素直に ” 一緒に歩くだけで充分幸せだ ” と答える。
すると、リーフ様は考え込む様子を見せてから ” とりあえず服屋に行こう ” と言って俺を連れてそこへと向かった。
服屋・・と向かっている先の事を考えてから、フッと丈が短くなってきた袖に視線を落とす。
俺の成長は周りの者たちに比べて早く、服の消費がとても早かった。
特にリーフ様の背を越えた頃からは全て新品を買わなくてはならず、俺は別に麻袋などで十分だと言ったが、リーフ様曰くーーー
” 下僕の服をきちんとしなければ主人が恥をかく ”
ーーなのだそうで、自分の洋服はそっちのけでせっせと俺の服を買っては着せてくれる。
これ以上大きくなれば迷惑が・・と思ったが、大きくなる度に嬉しそうに笑うリーフ様をみると俺も嬉しくて・・
リーフ様が喜んでくれるなら、俺はこの体に生まれてよかったと心からそう思えた。
そうしてまた1つ、俺は俺のことを受け入れる事ができる。
自然と緩む口元、それにも愉快を感じながら歩いているとリーフ様は一軒の服屋に入った。
店内は様々な種類の洋服が並べられており、リーフ様は俺に ” 好きな服を選んでおいで ” とだけ伝え、簡素な服をパッパッと迷うこと無く選んでいく。
リーフ様が選ぶ服をぼんやりと見つめた後、彼が言う通りにしなければと俺は ” 好きな服 ” を見つけるべく並べられている服達に視線を走らせていった。
目に映る服たちは簡素なものが多いようだが、フリル付きの服やきめ細やかな刺繍などが施されているものもそれなりに置いてある様だ。
俺は袖にフリルがついた白いシャツを一枚持ち上げ、繁々と見つめた。
貴族という身分の者達は総じて豪華な洋服を好む傾向がある。
しかしリーフ様は貴族であるにも関わらずそういった洋服は好まず簡素な洋服ばかりを着ているので、俺はこの様な洋服を着たリーフ様を見たことがなかった。
手に持ったフリルつきのシャツをソッ・・と簡素なシャツの横に置き、今度は並んだ洋服をジッと見つめる。
シンプルな服のリーフ様は ” 可愛い ”
でもきっと装飾された服を着ても ” 可愛い ” に違いない。
今度は更に隣のエリアにある洋服の棚へと移動し、貴族が一般的に着るような胸元と袖にフリルがついたシャツを手に取って見る。
そしてまた隣に移動しては見て・・といつもと違う感じの洋服を着たリーフ様を想像しながら店を見て回っていると、視線の先に一着の服が目に入った。
淡いエメラルド色をした生地に、フリルとリボンをこれでもかとふんだんに使ったカラーのドレス。
動くという観点から見れば何ひとつメリットがない服だ。
普段ならばそんなものは気にも止めないのだが、リーフ様が着るという前提で服を見ていた俺にとって、それは正体不明の衝撃を感じさせるものであった。
彼の瞳とおそろいの色のドレス、それをリーフ様が着る・・
無邪気に笑うリーフ様の身を飾るドレスは、きっとその美しさをより高みへと押し上げてくれる・・ような気がして、それを着たリーフ様をふっと想像しようとした・・その時ーーー
「 おやおや、随分可愛らしいドレスだね。
着れたら凄く可愛いんじゃないかな?
とりあえず買ってみるかい? 」
突然のリーフ様からの掛け声に驚き、焦りながらその妄想を瞬時に散らした後、” 男のリーフ様に対し俺はなんてものを想像しようとしたのか! ” という申し訳無さと恥ずかしさとで顔に熱が集まるのを感じた。
俺は直ぐに謝罪の言葉を口にしたが、なんとリーフ様から帰ってきたのは予想だにしない言葉であった。
” 洋服はなんでもいい ”
” 可愛いと着たくなるのはむしろ当然 ”
そう言い切ったのだ。
俺がリーフ様のドレス姿を見たいと思うことは極一般的な事、更にはリーフ様も喜んでそれを着たいと思っていると・・?
先ほど消したはずの妄想が、あっという間に頭の中のセンターに躍り出る。
ドレスを身にまとい、笑顔で俺の名を呼ぶリーフ様は・・・
ーーこの世のものとは思えぬほど美しかった。
・・・なるほど、確かにこれがおかしいものなわけがない。
ホッと安堵し、それを買おうというリーフ様に喜んで従おうと思ったがーー俺はその気持ちをぐっと堪えドレスを手放した。
リーフ様の美しさを引き出すのに、彼自身がそれを買うのは嫌だと思ったからと、自分の力で手に入れたものが彼の身を包み込む・・その事になぜかたまらない魅力を感じたからだ。
いつか自分の手で贈りたい。
そして可愛い笑顔を見せて欲しいとそんな不思議な気持ちを抱きながら、それをリーフ様に伝えると「 分かった 」と俺の気持ちを受け入れてくれた!
それに喜びを噛み締めながら、そのまま買い物を続けるリーフ様の後を喜んでついていった。
( レオン )
今日はリーフ様とお出かけする日!
俺はドキドキする胸を押さえながら、まだ朝日が昇る前の今現在、リーフ様が眠る部屋の方角に視線を向けたまま絨毯の上に体を横たえている。
俺の体はこの四年間眠るということを必要としなくなり、それに対し何ら変化はみられない。
眠る事ができないわけではない様なので、寝ようと思えば寝れるが・・
それならリーフ様の気配を感じていたほうが良いかと俺の五感全てをリーフ様に " 張り付けて " それを存分に味わって過ごすことにした。
視覚はリーフ様の目がまだ閉じられているため暗いが、息遣いや心臓の音、サラサラ流れる血液の音に温かな体温、匂い、
その全ての感覚が " 張り付けた " 俺の感覚器を通して伝わってくると、じんわりとした幸せを感じることができる。
奴隷になってからは物理的な距離も近づき、俺の毎日はまた新たな幸せで満ち溢れている。
この幸せで満たされた世界に二人きりでいられたら・・
ーーそう願っても中々上手くはいかないらしい。
リーフ様はこれから中学院という学び場に通うことをご所望だ。
そこにはとても沢山の人間達がいるそうで、それはつまりまた新たにリーフ様の側に湧く邪魔な存在達が有象無象に出現する可能性があるということ。
それにより心をかき乱される日々になりそうだと思わずため息を漏らした後、それに続くリーフ様の言葉を思い出す。
” 中学院に通う間、俺たちは寮生活をすることになるから、早めに荷物整理をしておこうね。 ”
なるほど・・?
それにとりあえず納得した俺は言われたとおり直ぐに私物をまとめ始めた。
リーフ様に貰った絨毯。
ほのかに香るリーフ様の匂い付き、大事な物なので勿論持っていく。
金色のお皿。
リーフ様の横によくいる太い方に貰った。
リーフ様に何かを捧げる時に使うため、できるだけ良いものをよこせと言ったらこれをくれた。
これも必要だ、持っていく。
リーフ様に貰った砂ねずみの人形。
リーフ様に似ている。
その時点で無碍には出来ないし、何よりリーフ様からの贈り物。
現在はこの部屋で一番豪勢な場所にとベッドの上にソッと乗せ、毎日花をお供えしている。
勿論これも持っていく。
それに服を数着ーーと、荷物整理を直ぐに終えた俺を見て、リーフ様は奴隷になった記念を買いに行こうと誘ってくれたのだ。
” 嬉しい ” が心を満たす。
その時の気持ちを思い出しながら上機嫌で長い夜を過ごし、やっとお出かけする瞬間を迎えた俺は、ドキドキしながら街へと向かうリーフ様の後をついていった。
” リーフ様と一緒に歩く ”
それだけで俺は十分幸せで、欲しいものはないかという問いに対しそのまま素直に ” 一緒に歩くだけで充分幸せだ ” と答える。
すると、リーフ様は考え込む様子を見せてから ” とりあえず服屋に行こう ” と言って俺を連れてそこへと向かった。
服屋・・と向かっている先の事を考えてから、フッと丈が短くなってきた袖に視線を落とす。
俺の成長は周りの者たちに比べて早く、服の消費がとても早かった。
特にリーフ様の背を越えた頃からは全て新品を買わなくてはならず、俺は別に麻袋などで十分だと言ったが、リーフ様曰くーーー
” 下僕の服をきちんとしなければ主人が恥をかく ”
ーーなのだそうで、自分の洋服はそっちのけでせっせと俺の服を買っては着せてくれる。
これ以上大きくなれば迷惑が・・と思ったが、大きくなる度に嬉しそうに笑うリーフ様をみると俺も嬉しくて・・
リーフ様が喜んでくれるなら、俺はこの体に生まれてよかったと心からそう思えた。
そうしてまた1つ、俺は俺のことを受け入れる事ができる。
自然と緩む口元、それにも愉快を感じながら歩いているとリーフ様は一軒の服屋に入った。
店内は様々な種類の洋服が並べられており、リーフ様は俺に ” 好きな服を選んでおいで ” とだけ伝え、簡素な服をパッパッと迷うこと無く選んでいく。
リーフ様が選ぶ服をぼんやりと見つめた後、彼が言う通りにしなければと俺は ” 好きな服 ” を見つけるべく並べられている服達に視線を走らせていった。
目に映る服たちは簡素なものが多いようだが、フリル付きの服やきめ細やかな刺繍などが施されているものもそれなりに置いてある様だ。
俺は袖にフリルがついた白いシャツを一枚持ち上げ、繁々と見つめた。
貴族という身分の者達は総じて豪華な洋服を好む傾向がある。
しかしリーフ様は貴族であるにも関わらずそういった洋服は好まず簡素な洋服ばかりを着ているので、俺はこの様な洋服を着たリーフ様を見たことがなかった。
手に持ったフリルつきのシャツをソッ・・と簡素なシャツの横に置き、今度は並んだ洋服をジッと見つめる。
シンプルな服のリーフ様は ” 可愛い ”
でもきっと装飾された服を着ても ” 可愛い ” に違いない。
今度は更に隣のエリアにある洋服の棚へと移動し、貴族が一般的に着るような胸元と袖にフリルがついたシャツを手に取って見る。
そしてまた隣に移動しては見て・・といつもと違う感じの洋服を着たリーフ様を想像しながら店を見て回っていると、視線の先に一着の服が目に入った。
淡いエメラルド色をした生地に、フリルとリボンをこれでもかとふんだんに使ったカラーのドレス。
動くという観点から見れば何ひとつメリットがない服だ。
普段ならばそんなものは気にも止めないのだが、リーフ様が着るという前提で服を見ていた俺にとって、それは正体不明の衝撃を感じさせるものであった。
彼の瞳とおそろいの色のドレス、それをリーフ様が着る・・
無邪気に笑うリーフ様の身を飾るドレスは、きっとその美しさをより高みへと押し上げてくれる・・ような気がして、それを着たリーフ様をふっと想像しようとした・・その時ーーー
「 おやおや、随分可愛らしいドレスだね。
着れたら凄く可愛いんじゃないかな?
とりあえず買ってみるかい? 」
突然のリーフ様からの掛け声に驚き、焦りながらその妄想を瞬時に散らした後、” 男のリーフ様に対し俺はなんてものを想像しようとしたのか! ” という申し訳無さと恥ずかしさとで顔に熱が集まるのを感じた。
俺は直ぐに謝罪の言葉を口にしたが、なんとリーフ様から帰ってきたのは予想だにしない言葉であった。
” 洋服はなんでもいい ”
” 可愛いと着たくなるのはむしろ当然 ”
そう言い切ったのだ。
俺がリーフ様のドレス姿を見たいと思うことは極一般的な事、更にはリーフ様も喜んでそれを着たいと思っていると・・?
先ほど消したはずの妄想が、あっという間に頭の中のセンターに躍り出る。
ドレスを身にまとい、笑顔で俺の名を呼ぶリーフ様は・・・
ーーこの世のものとは思えぬほど美しかった。
・・・なるほど、確かにこれがおかしいものなわけがない。
ホッと安堵し、それを買おうというリーフ様に喜んで従おうと思ったがーー俺はその気持ちをぐっと堪えドレスを手放した。
リーフ様の美しさを引き出すのに、彼自身がそれを買うのは嫌だと思ったからと、自分の力で手に入れたものが彼の身を包み込む・・その事になぜかたまらない魅力を感じたからだ。
いつか自分の手で贈りたい。
そして可愛い笑顔を見せて欲しいとそんな不思議な気持ちを抱きながら、それをリーフ様に伝えると「 分かった 」と俺の気持ちを受け入れてくれた!
それに喜びを噛み締めながら、そのまま買い物を続けるリーフ様の後を喜んでついていった。
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