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第四章
142 ありがとう、そして・・
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( リーフ )
「 確か来週あたりに全国で一斉に入学院テストがあるだろ?
どこ受けるんだ? 」
「 〈 グリモア 〉にある【 ライトノア学院 】だよ。
目指すはナンバーワン!
夢は大きければ大きい程良いからね。 」
ドノバンの質問に答えながら、エッヘンと胸を張る。
中学院は小学院より数は少ないが、国中にありその中でも毎年ランキングのような物がある。
その中で毎年決まってダントツ一位が俺達が受験しようとしている「 ライトノア学院 」で、それはここレガーノと王都の大体中間あたりにある〈 グリモア 〉という巨大な街に設立されている。
「 ほぉ~頂点を狙うか!
流石は俺の弟子だぞ~。
あの街はダンジョンがめちゃくちゃ多くていい修行場にもなるもんな。
だが、遠いから三年間は寮生活になっちまうな。 」
「 そうなんだよ!
でも俺寂しいから、沢山帰ってくるつもりなんだ! 」
「 お前、ホント家が好きだよなぁ・・。
若いうちは、帰る場所の有り難みなんざ分からねぇ奴の方が多いのによ。
・・あー・・リーフ、あのな・・ 」
ドノバンはウォッホンとわざとらしい咳をしてからまた表情を引き締めて俺を見た。
「 お前は努力家で真っ直ぐで、俺が持っていないような強さも持つすげぇ奴だ。
俺はお前の師匠になれて良かったと心の底から思っている。
ーーー人間はよ、残念ながら生まれ落ちる場所は選べねぇ。
それに囚われるなよ。
お前の価値を見誤るな。
これから頑張れよ。 」
そうしてドノバンは最後に俺の肩をポンポンと軽く叩いた。
すると叩かれた場所がポカポカと暖かくなっていく様な気がして、思わずジ~ン・・としてしまう。
俺はドノバンが俺を想って贈ってくれた言葉が凄く嬉しかった。
そしてそれと同時にーーー
それを言ったドノバンの気持ちも良く分かって懐かしい気持ちも蘇ってきた。
思い浮かぶのは懐かしい前世での思い出の数々。
親御さんに捨てられてしまった子供の中には、全員ではないがどうしても自分に価値を見い出せない子達もいた。
それに囚われてしまうとどんなに周りから見て凄い事でも、例え一番をとっても自分を認めてあげられない。
周りの人達が凄いって言ってくれる
一番になれた
私は皆に認められる凄い人間なんだ
ーーーでも捨てられてしまった
これをずっと無限ループ。
親から与えられる無償で絶対的な愛は、自分を認めてくれるとても価値あるモノなんだと俺は思う。
だから自分より努力してない人達が、何の苦労もせずにそれを持っている姿を見ると様々な感情が吹き荒れる。
これはきっと俺がアルバード英雄記のレオンハルトに出会わなかったらずっと抱えてたであろう想いだ。
俺はレオンハルトによって救われた。
だから皆もそういう存在にいつか出会えますようにと願いを込めてそう伝えてきた。
救いになるものは人それぞれ。
こればっかりはいつ何処で出会えるかは分からない。
俺は救われた事で、救ってもらった自分には価値があるんだと思える様になった。
そしてそんな自分の価値を今度はゆっくり探していって、いつも一番は取れない平凡代名詞の俺が最終的に行き着いた答えはーー
" 自分がこれでいいと思うならそれが一番。
そしてそれをいいと思える俺にはとっても価値がある! "
ーーーだ。
平凡万歳!
俺は平凡で1番になれない自分が大好きだ!
「 ありがとう!ドノバン!!
俺、輝かしい未来のために頑張るよ!
あ、ドノバンはこれから王都に戻るの? 」
ゴォッと燃える様に気合い十分な俺に、ドノバンは多少引き気味になりながら、「 お・・おぅ・・」と返事をした後、続けて言った。
「 仕事の関係上、当分は王都とここの往復だろうな~。
まぁ、いい女がいたら分かんねぇけどな!
そういやよー隣町の宿屋の女将がえらく美人な未亡人らしくてな、今日はそのムチムチボディーをウォッチしに・・
あっ、ウッソー!俺何にも言ってねぇ~し~! 」
ぴくりと指を動かしたレオンに慌てて言い訳するドノバン。
そんなに汗をびゃーびゃーかくほど怖がるなら言わなきゃいいのに・・
ドノバンは汗を拭った後、また軽薄さを引っ込めてレオンに目を向けた。
「 レオン、お前も一応俺の弟子だが、ぶっちゃけ強さ的な事で言える事は一つもねぇ。
・・ただおっさんのお節介アドバイスとしては、とりあえず色々なものを見てみろ。
世界は広いから色んな奴がいる。
俺みてぇなビビりな奴ばっかりじゃねぇから、その中から大事なものを沢山作っていけばいいさ。
人じゃなくて物でもいいと思うぜ。
・・・一つのものにこだわり過ぎると失くした時のダメージがでかいからな。 」
最後の言葉は妙に真剣で、俺は首を傾げたが、確かにレオンはやたらこだわりが強いところがあるのでそれを心配しているのだろう。
分かる分かる!
レオンは頑固!
でもそれは個性だし、長所でもあるからな~
教育って難しい!としみじみ思っている横で、レオンは聞いてるのか聞いてないのか、普段通りの無表情。
それを見てドノバンはぷーっと笑い、最後は「 じゃあ、またな! 」と言って去っていった。
世界は広い。
本当にその通り。
心が壊れてないレオンなら、きっとこれから沢山の大事なものができるはず。
俺はそんな未来が楽しみだ。
俺の頭の中では、ニコニコ心の底から笑うレオンが。
そして今現在最も好ましいとレオンが言っていた沢山のおじさん達が彼を囲い込み、かごめかごめの歌を汗を飛び散らしながら大熱唱しているイメージが浮かび上がる。
そのあまりに濃いインパクトに、レオンに今後おじさん以外にも好ましいと感じるものが出来るといいなと強く思った。
「 確か来週あたりに全国で一斉に入学院テストがあるだろ?
どこ受けるんだ? 」
「 〈 グリモア 〉にある【 ライトノア学院 】だよ。
目指すはナンバーワン!
夢は大きければ大きい程良いからね。 」
ドノバンの質問に答えながら、エッヘンと胸を張る。
中学院は小学院より数は少ないが、国中にありその中でも毎年ランキングのような物がある。
その中で毎年決まってダントツ一位が俺達が受験しようとしている「 ライトノア学院 」で、それはここレガーノと王都の大体中間あたりにある〈 グリモア 〉という巨大な街に設立されている。
「 ほぉ~頂点を狙うか!
流石は俺の弟子だぞ~。
あの街はダンジョンがめちゃくちゃ多くていい修行場にもなるもんな。
だが、遠いから三年間は寮生活になっちまうな。 」
「 そうなんだよ!
でも俺寂しいから、沢山帰ってくるつもりなんだ! 」
「 お前、ホント家が好きだよなぁ・・。
若いうちは、帰る場所の有り難みなんざ分からねぇ奴の方が多いのによ。
・・あー・・リーフ、あのな・・ 」
ドノバンはウォッホンとわざとらしい咳をしてからまた表情を引き締めて俺を見た。
「 お前は努力家で真っ直ぐで、俺が持っていないような強さも持つすげぇ奴だ。
俺はお前の師匠になれて良かったと心の底から思っている。
ーーー人間はよ、残念ながら生まれ落ちる場所は選べねぇ。
それに囚われるなよ。
お前の価値を見誤るな。
これから頑張れよ。 」
そうしてドノバンは最後に俺の肩をポンポンと軽く叩いた。
すると叩かれた場所がポカポカと暖かくなっていく様な気がして、思わずジ~ン・・としてしまう。
俺はドノバンが俺を想って贈ってくれた言葉が凄く嬉しかった。
そしてそれと同時にーーー
それを言ったドノバンの気持ちも良く分かって懐かしい気持ちも蘇ってきた。
思い浮かぶのは懐かしい前世での思い出の数々。
親御さんに捨てられてしまった子供の中には、全員ではないがどうしても自分に価値を見い出せない子達もいた。
それに囚われてしまうとどんなに周りから見て凄い事でも、例え一番をとっても自分を認めてあげられない。
周りの人達が凄いって言ってくれる
一番になれた
私は皆に認められる凄い人間なんだ
ーーーでも捨てられてしまった
これをずっと無限ループ。
親から与えられる無償で絶対的な愛は、自分を認めてくれるとても価値あるモノなんだと俺は思う。
だから自分より努力してない人達が、何の苦労もせずにそれを持っている姿を見ると様々な感情が吹き荒れる。
これはきっと俺がアルバード英雄記のレオンハルトに出会わなかったらずっと抱えてたであろう想いだ。
俺はレオンハルトによって救われた。
だから皆もそういう存在にいつか出会えますようにと願いを込めてそう伝えてきた。
救いになるものは人それぞれ。
こればっかりはいつ何処で出会えるかは分からない。
俺は救われた事で、救ってもらった自分には価値があるんだと思える様になった。
そしてそんな自分の価値を今度はゆっくり探していって、いつも一番は取れない平凡代名詞の俺が最終的に行き着いた答えはーー
" 自分がこれでいいと思うならそれが一番。
そしてそれをいいと思える俺にはとっても価値がある! "
ーーーだ。
平凡万歳!
俺は平凡で1番になれない自分が大好きだ!
「 ありがとう!ドノバン!!
俺、輝かしい未来のために頑張るよ!
あ、ドノバンはこれから王都に戻るの? 」
ゴォッと燃える様に気合い十分な俺に、ドノバンは多少引き気味になりながら、「 お・・おぅ・・」と返事をした後、続けて言った。
「 仕事の関係上、当分は王都とここの往復だろうな~。
まぁ、いい女がいたら分かんねぇけどな!
そういやよー隣町の宿屋の女将がえらく美人な未亡人らしくてな、今日はそのムチムチボディーをウォッチしに・・
あっ、ウッソー!俺何にも言ってねぇ~し~! 」
ぴくりと指を動かしたレオンに慌てて言い訳するドノバン。
そんなに汗をびゃーびゃーかくほど怖がるなら言わなきゃいいのに・・
ドノバンは汗を拭った後、また軽薄さを引っ込めてレオンに目を向けた。
「 レオン、お前も一応俺の弟子だが、ぶっちゃけ強さ的な事で言える事は一つもねぇ。
・・ただおっさんのお節介アドバイスとしては、とりあえず色々なものを見てみろ。
世界は広いから色んな奴がいる。
俺みてぇなビビりな奴ばっかりじゃねぇから、その中から大事なものを沢山作っていけばいいさ。
人じゃなくて物でもいいと思うぜ。
・・・一つのものにこだわり過ぎると失くした時のダメージがでかいからな。 」
最後の言葉は妙に真剣で、俺は首を傾げたが、確かにレオンはやたらこだわりが強いところがあるのでそれを心配しているのだろう。
分かる分かる!
レオンは頑固!
でもそれは個性だし、長所でもあるからな~
教育って難しい!としみじみ思っている横で、レオンは聞いてるのか聞いてないのか、普段通りの無表情。
それを見てドノバンはぷーっと笑い、最後は「 じゃあ、またな! 」と言って去っていった。
世界は広い。
本当にその通り。
心が壊れてないレオンなら、きっとこれから沢山の大事なものができるはず。
俺はそんな未来が楽しみだ。
俺の頭の中では、ニコニコ心の底から笑うレオンが。
そして今現在最も好ましいとレオンが言っていた沢山のおじさん達が彼を囲い込み、かごめかごめの歌を汗を飛び散らしながら大熱唱しているイメージが浮かび上がる。
そのあまりに濃いインパクトに、レオンに今後おじさん以外にも好ましいと感じるものが出来るといいなと強く思った。
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