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第四章

139 ドノバンの卒業テスト

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( リーフ )



長剣より短く短剣より長い中剣、それを右手と左手それぞれに持ち構えた。




中剣の二刀流。



それが今まで必死に試行錯誤して考え抜いた自分の一番使いやすい武器の型だ。

現在、それを構えた視線の先には大剣を持ったドノバンがいる。




この四年間家庭教師をしてくれた座学のマリアンヌさんと実技全般を受け持ってくれたドノバンは中学院入学までの契約であったため今日が最後の授業だ。



先程、マリアンヌさんには授業後に今までのお礼を言いお別れしてきたのだが、彼女は最後の最後までレオンに対しあまり良くない視線を向けていた。


物語の中に登場する彼女がリーフに対し尊敬の念が強かったのは、彼女自身が身分を重んじる価値観を持っていたから。


そしてその傾向はそのまま現在のマリアンヌさんにも当てはまっていたので、そんな彼女にとってレオンという存在は耐え難いものだったのだろう。


ちなみにそれは彼女のお眼鏡に敵わなかった平凡リーフの俺も同様であった。



レオンと共にチックンチックン剣山のような目線と嫌味のお祭りわっしょいをされ続けたが、残念ながら俺は繊細な意地悪が気になっちゃう年頃の少年ではなく、マリアンヌさんより遥か年上のおじさん。

あんなもの犬の尻尾でふさふさ叩かれたくらいのダメージしかない。



それにーー

” 嫌いでも仕事はきっちりこなす ” 


それが大人としてのマナーだとしても、意地悪してもちゃんと教えてくれた彼女にはとても感謝している。

心の中でありがとうともう一度お礼を言い、とりあえず今後の彼女の人生に幸あれと願っておいた。




そしてその後のドノバンの最後の授業。



今日は一対一でドノバンと対戦する卒業試験だそうで、いつもの広場に着いた途端、イヤリング型の仮想幻石レベル1を渡され「 全力で戦え!以上。 」という物凄く分かりやすい説明をされた。


そして今、こうしてお互い武器を構えて対峙しているというわけだ。




ドノバンとの一本勝負。


彼はゆる~く大剣を担ぎまるで挑発する様に隙をコレでもかと見せてくる。


いける!と思って、ただ闇雲に突っ込めば・・・

一瞬で地面にチュッチュをする羽目になるのは今までの経験上よく知っているため、ジリジリと距離をとった。



ドノバンはそれを見てニマニマ~と揶揄う様に笑う。



「 おー警戒してんな~?結構結構。

相手が油断していると思って自分が油断すれば、それが ” 隙 ” になる。


常に警戒は怠るな。


ちゃんと覚えててえらいーー・・ぞっ! 」




あんなに重い大剣なのにドノバンは物凄い速さで俺の前に移動し、軽々と剣を横に振る。



ドノバンの資質は〈 魔法剣士 〉



俺同様、剣と魔法を駆使して戦うが、どちらかといえばパワータイプで圧倒的な火力でぐいぐい攻撃してくるタイプ。



力比べではまず勝てない。



対して俺の〈 魔術騎士 〉は、どちらかと言えばテクニックタイプ。


回避や特殊な攻撃方法で敵を倒す。



俺はドノバンの攻撃を両手の中剣でパワーを逸らしながら弾くと、彼は「 おっ! 」と嬉しそうな顔をする。


その勢いのまま相手の懐へと飛び込むと、ドノバンは直ぐに大剣をひき俺の攻撃を防ぎ、そのまま剣のラッシュが続く。



「 動きは良し!ーーそれじゃあ次いくぜ~! 」



ゾワッとした感覚を覚え直ぐに後方へ大きく下がると、大剣にボッ!!と赤い炎が宿る。


ドノバンのスキルが発動したのだ。





<魔法剣士の資質>  ( 先天スキル )


< 魔法剣 >



自身の持つ武器に魔法を付与し属性を付けることが出来る。

攻撃力、魔力が高いほど強力な魔法を付与できる。






どうやら自身の持つ大剣に火の属性を付与したようだ。



更にドノバンは身体強化の魔法を掛けて、ギュンッ!!と全く見えないほどのスピードで俺の目の前まで来ると、そのまま炎の剣を振り下ろす。


あわやというところで俺の身体強化が間一髪間に合い、それを正面から両手で受け止めるも、このままでは押し切られる!


剣を必死に受け止める俺が、うぐぅ~っ!!と呻くもドノバンは涼しい顔。


くっそーっと心の中で叫びながら、俺はフッしゃがみ込むように姿勢をあえて低くして大剣の根本から剣先に向かって攻撃をいなすと、ドノバンの胴体めがけてキックを繰り出したがそれは読まれていたようでスッと後ろに体を引くことで回避されてしまう。


更にはすかさず足払いを繰り出して来たため軽くジャンプし攻撃を回避したが、そのままドノバンの猛攻撃が始まった。



「 ほらほら、受けてるだけじゃ~永遠に勝負つかないぜ~?


どうすんだ~? 」



「 うぐぐぐ~!! 」



ドノバンの連続攻撃を全ていなしながら弾いてくと、トドメだと言わんばかりにドノバンはニヤッと笑い、ひときわ大きく炎を燃え上がらせたがーーー・・・


突如、炎がふっと消えた。



「 ーーーは? 」



その不可解な現象に、ドノバンが呆けた声を上げたのでチャンス!とばかりに俺は彼の顎を狙って蹴り上げた。


しかし流石はドノバン、軽く片手でガード。


しかもすぐに反撃しようと剣を振ろうとしてくる。





ーーーだが・・




視覚が一瞬遮られた今が最大のチャンス!





俺は両手に持つ中剣をドノバンの目の前に放り投げ、一瞬で彼の股の下をくぐり抜ける。



「 おぉっ!? 」


ドノバンが慌てて振り向こうとしたその瞬間、俺は彼の大剣を持つ方の手を掴み、「 うおおおおーーー!!! 」と叫びながら一本背負いーーー!!




ーーっ勝った!!





そう確信した・・その時ーーーー





ドノバンはニヤリと笑いながら自ら前に飛び、その反動で逆に俺を軽くポーンと宙に投げ飛ばした。



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