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第三章
109 レオンの中身
しおりを挟む( リーフ )
初めて会った日から日に日に表情が豊かになっていくレオン。
偽りの世界の中、彼は現在幸せに暮らしている。
己を虐げ拒絶する世界こそが幸せーー
そんな新たな概念を、傷ついた彼の心は作り出してしまった。
そんな彼の精神状態ははたしてどうなっているのだろうか・・・
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
レオンは現在めちゃくちゃ強い。
流石は英雄、デタラメな強さをもっていると思う。
最初の頃はそれこそ先天的にその強さを持っていたのだと思っていたが、今後彼が発現する予定のスキルを改めて考えた時、ふっと思ったのだ。
ーーもしかして現在の彼の強さは、つらい経験や体験から発現したものなのではないか?とーー
思えばスキル〈 叡智 〉も母親に暴力的に言われた言葉がきっかけだし、そうなると俺の下僕宣言やその他の残虐非道の行いのせいであの強さが引き出されたのでは?と疑いはじめた。
そうなると虐めまくったこの三年間で、彼はどの程度の辛い体験をし心を壊してしまったのか・・それがこの〈 鑑定( 改 )〉で覗けば分かるかもしれない。
それが分かれば、これ以上精神に何か支障をきたす出来事を避けることも出来るかもしれないし、今後の強くなるための方針も決めやすい。
いくらレオンが強いとはいえ、物語のレオンハルトに匹敵する強さはまだないはずだし、今後も引き続きの努力は必須。
しかしそれでこれ以上精神を病んでしまえば、俺のーー
” レオンの心を壊す出来事を防ぐ ”
ーーという目的は崩れ去り、まさしく本末転倒となってしまうのだ。
〈 鑑定( 改 )〉を使ってみるべきだ。
しかしーーー
なんだか人様の日記を盗み見しているようで気が引けるんだよなぁ~
ハァ~と大きくため息をついた後、俺はレオンを気遣う様におずおずと話しかけた。
「 レオン・・その・・嫌だったら無理にとは言わないんだけど・・君の(ステータスの)中身をみてもいいかな? 」
「 ・・えっ・・? 」
レオンは驚いたように眼を見開く。
まぁ、確かに突然そんなこと言われても・・だよねぇ・・?
レオンの心情としては、急に全ての個人情報を " み~せ~て~ " なんて言われても・・ってところだろう。
レオンは、見開いた眼を徐々に普段通りに戻すと、じわっと耳を赤らめこう言った。
「 それは・・先に進む為・・ですか? 」
おぉ??なんだかレオンがやたら前向きな発言をしてきた。
先に進む・・そうそう。人生は常に流れ動き、その上に乗って歩いている俺たちは、それに合わせて常に先へと進まねばならない。
あの最強無気力少年のレオンがそんなポジティブな発言をするとは・・!
おじさんは感激した。
「 その通り!!
俺たちは常に先に進まなければならない!
もちろんゆっくりでいい。
俺たちは俺たちのペースで先に進もうね。
ーーじゃあ見させてもらってもいいかな? 」
「・・!!ーーっはい!わかりました!
リーフ様にならば、俺はなんであれお見せしましょう!! 」
レオンは、パァァァ~!と光り輝く瞳にピンク色に染まった顔を俺に向け、ココ最近で一番の喜びに満ちた顔で見てくる。
見られる事にそんなに喜びを感じるとは・・
前世で露出することで興奮するんだと相談してきた友達を思い出したが、まぁなんにせよ見せてくれるというなら遠慮なく・・と俺はレオンに対し< 鑑定( 改 )>を発動した。
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