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第三章

107  レオンの好みは・・

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( リーフ )




ドノバンは最初の印象そのままの ” 女の人大好きおじさん ” だ。



修行の時は真剣だしアドバイスも指導も完璧なのに、休憩タイムに入るとエッチな話ばかりを延々と話しだす。



ちなみに俺はこの手の話が大好き。

しかも彼の恋愛及び性的対象の女性年齢層も好みのタイプも俺と近しい為、実はノリノリで話に乗りたい。


あわよくばそんな女性達がいる楽園の様な場所に俺も連れてって~と言いたい。



しかしーーー


どうもレオンはこういった下ネタ系嫌い男子らしく、ドノバンがその類いの話を振ってくると先ほどの様な物理的行動をしてやめさせようと強硬手段にでる。



そのため俺はレオンの前では出来るだけこういった下ネタまがいの言動や行動に気を付けているのだが、ドノバンは全くというほど懲りない。



そして毎度こうしてレオンに攻撃されては、そのまま剣の打ち合いに発展することもしばしば・・

もう最近ではこれは2人のコミュニケーションなのでは?と思い見守ることにした。



そして今日はドノバンが逃走したバージョンだ。


恐らくこのまま、ほとぼりが冷めるまでの長~いトイレ時間になると予想されるので、今のうちに資質< おじさん >についてもう少し整理してみよう。



俺はヨッコラセとその場であぐらをかき、両腕を組んで考え始めた。



努力の結晶ともいえるスキルは、自身の資質に関するものであることは間違いない。



例えば、剣士などでは "    剣を使った攻撃スキル  "

魔法使いなら  "   魔法を使うためのスキル  "

調理人なら  "   調理に関するスキル   "


ーーなどなど、大体はその資質を生かした能力が開花するはずなので、資質の名称を聞けばある程度のスキル予想は立てることができる。




ただその資質の名が非常に抽象的なものも多くあって、例えば代表的なものとして


< 村人 >や< 一般人 >


などが挙げられるが、様々な視点をもつそれらは予想が立てにくい。



ただ、そういう抽象的な名の資質は現在までに強力なスキルを発現した事はなく、現在判明しているスキルで有名なものとしてはー・・


{ 少し歩く時にスタミナが減りにくい } 

{ 人と話す時少し好感度が上がりやすい }


などなど生活上便利になる非戦闘スキルのみであるため全て下級資質扱いとなっている。



それを考えると俺の資質< おじさん >も確かにこれに類似してそうだ。



そして、そんな< おじさん >も既にいくつかスキルは発現しているらしく、神官長が読めた部分だけ集めれば2つくらいはありそうとの事。


{ 前向きになるスキル }

{ 我慢強くなるスキル }


残念ながら、この2つのスキル以外は不明。



なら他の不明のスキルも恐らくは< おじさん >に関連するスキルのはずだが、俺のおじさんのイメージ・・いや、かつておじさんを経験した俺の感想はずばりコレ。


◯ 朝早く目覚める

◯ 物忘れが激しい

◯ 膝と腰がすぐ悲鳴を上げる

◯ 疲れが取れにくい

◯ ちょっとした段差でつまずく

◯ 近くが見えにくい (老眼)


正直言って悪い感想しか先行して出てこない。



それでも必死に頭をひねって考え続けると・・突如、いや~な可能性に気づいた。



ーーもしかして< おじさん >って・・バットステータス的な効果がある??



そんな馬鹿なっ!!と焦っておじさんの良いところを考えようとしても全く出てこない。


困り果てた俺は隣に座るレオンに聞いてみる事にした。



「 ねぇねぇ、レオンってさー( 世間一般的な )おじさんってどう思う? 」



「 ( リーフ様の資質の )おじさんですか? 」



「 そうそう。

俺あんまり良いなぁって思えなくて・・

レオンにとってそれってどんなイメージがあるかな? 」



客観的なおじさんのイメージを聞いてみたら、レオンは花が咲くが如しのふわっとした笑顔を俺に見せる。



「 ( リーフ様の資質の )おじさんはとても素敵だと思います。


きっと誰もが欲しがる存在で、高潔かつ純粋さが伝わってきますね。


俺はとても好ましいと、そう思っています。 」



「 へっ?? 」



俺はレオンの思わぬ回答に間が抜けた返事を返す。




ん?んんんん~???


ちょっ、ちょっと俺、今すごいこと聞いた気がするんだけど・・・



レオンの方へチラリと視線を向けると、そこには嘘偽りは一つも感じられない真剣な眼差しがあった。



レオンはおじさんが好きなのだそうだ。


つまり年上の男性がとても好ましいと・・そう言う事??



ほほ~ぅ?



俺は納得しながら大きく頷いた。



レオンはおじさんが大好き。


だから本当はそのカテゴリーに入っているドノバンの事も、大好き。


いつものあれは彼なりにチャンスとばかりにじゃれ戯れついているつもりだった??



考えれば考える程、パズルのピースかカチリと嵌まるように理解していく。




一言で言うとアレだ。


"   男の子の初恋は、近所の年上のお姉さんで~す  "

ーーってやつ。



要はそれが ” お姉さん ” から ” おじさん ” に変わっただけ、何も問題はない。


むしろこれがきっかけとなり精神が少しでも修復出来ればいいんじゃない?!



「 そっかそっか~!


それはとっても良い事だと思うよ!

その尊い感情は是非大事にすべきだよ。


ーーしかし!!

それで満足してはいけないよ。

その先にあるもの、常にそれを求めるべきだ。 」



好ましいと思う先ーー


そう、愛だよ愛。大事大事。



「 ・・その先・・ですか・・? 」



不思議そうな顔をするレオン。



レオンはまだ11才・・いくら〈 叡智 〉という最強頭脳系スキルをもっていたとしてもまだまだ子供ーー愛を理解するには早すぎたか。



可愛いもんだとニマニマしながら、レオンが現在好ましいと感じているドノバンについて考えた。



ドノバンは不誠実極まりない男とも言えるが、仕事とプライベートはきっちり分けるし身分が高いのに女性にビンタされても怒ったりしないし、実はとても優しい人であると思う。



そして何より強い!!



あの英雄様と戯れ付くにはかなり強くないと即死する可能性もあるのに、死なずにしかも相手が出来るなんてすごい!と感心している。



そんな強~いドノバンの鑑定結果を一度みてみたいものだ。



ーーーと考えたその瞬間・・・



ブォンッという機械音に近い音が頭の中に響き、目の前にパソコンの画面に似た四角いプレートが突然目の前に出現した。


驚き背を仰け反らす俺を、レオンは増々不思議そうな様子で眺め「 どうされましたか?リーフ様 」と聞いてくる。


突如目の前に現れた謎の四角いプレート


それを見つめたまま俺はそれを恐る恐るそれを指差した。



「 えっ・・ええっとー・・

この四角いのが急に出てきたからびっくりしてさ。


なんだろう?これ・・?? 」



そう答えた俺をレオンは怪訝な顔で見つめる。



「 四角いのとは・・?


一体それは何処にあるのですか? 」


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