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第二章
70 幸せの場所
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( レオン )
そうして案内された場所は緑が多く開けた場所で、リーフ様はそこで何やらゴソゴソと準備をし始めたので俺はそれを大人しく見守る。
すると、リーフ様は木刀で下に落ちている袋を突つき、中からカユジ虫を追い出すと慎重に剣先にソレを乗せた。
そして、クックックっと胸がほわっと暖かくなる様な綺麗な笑顔を俺に見せ、
これから俺にソレをつけるぞと言いながらカユジ虫が乗っている剣先をクィクィと近づけてくる。
リーフ様が望むのなら一匹と言わず十匹でも百匹でも喜んで付けるが・・
どうしようかと迷っていたが、最後に " 逃げろ " と言ったので、俺は迷わずその命令に従った。
とりあえずは一定距離が開く様に走り、これで正解だろうか?と不安でリーフ様へチラチラと視線を送ると、輝くばかりの笑顔がそこにあった。
それを見るとホワホワっとした暖かいもので心の中が満たされて、また新たな感覚にこの身は翻弄される。
リーフ様が楽しいなら俺の心は暖かくなる。
もっともっと俺は暖かくなりたいと、貪欲にそれを欲する自分の心。
リーフ様によってもたらされる感覚は、一体どれ程俺を強欲にするのだろう?ーーと、それにゾッと恐怖しつつも俺は手にした感覚の数々に夢中だ。
俺の欲しいものを全て与えてくれるリーフ様は神様
しかし今の無邪気に笑う顔はまるで街中で聞いた事のある天使という生き物の様にも見える。
幸せを運んでくる純粋で、可憐で、優しい、高貴なる存在
まさしくリーフ様の事ではないか!
神様で天使・・
ぶつぶつと呟きながら、失礼のない程度にその可憐な姿を目に焼き付ければまた心はポカポカ暖かくなる。
この時間が永遠に続くといいな・・そう思いながら追いかけられ続け、一時間くらい経っただろうか?
リーフ様の様子が明らかに変わってきた。
汗を大量にかき、ゼイゼイと呼吸と心拍数は明らかに乱れている。
大丈夫だろうか・・・
心配で仕方なかったがこうした場合の対処法がわからずどうするべきか迷っていると、リーフ様は、あっ!っと短く叫び前方に倒れていく。
このままだと転倒してしまうと、直ぐに俺は彼の横に瞬時に移動してそのまま腕を身体に巻き付け転ばぬ様にしようとしたのだが・・
それでは彼を抱きしめてしまう事になる。
流石に触れれば嫌がられるかも・・と自身の醜い左手を見下ろし首を振ると、右手を彼の腹部に軽く添え、彼の体を持ち上げた。
するとリーフ様の暖かなお腹の感触が右手から脳へと伝わり、心臓はドキドキと早鳴りを始める。
・・柔らかい、暖かい。
人の体はこんなにも胸がドキドキするものなのだと、これもリーフ様が昨日教えてくれた事だ。
彼はキョトンと目をパチクリさせた後、俺にありがとうと伝えてきたのだが、それにより更に鼓動は速くなり自然と頬に赤が散る。
その後、ぶつぶつと何かを呟き出すリーフ様、ドキドキしながら普段は見えないリーフ様の頭の旋毛を見つめる俺
そのまましばしの時間が過ぎ次のリーフ様の行動を待っていたのだがーーー
「 リーフ様から離れろ!この化け物めっ!! 」
そんな言葉が少し離れた場所からして、リーフ様の意識はそちらに向く。
それにモヤっと嫌な感覚を感じたため、その原因を探るべく渋々そちらへ視線を向けると・・そこには剣を構える女がいた。
その何処かで見た事あるような女に対し、さして興味も無かった俺はリーフさまへ視線を戻したのだが、突如その女が剣で俺に切り掛かってきたのだ。
その為、俺は足元の木刀を蹴り上げキャッチすると向かってきた剣の力の方向を、自身の木刀でするりと変えてやった。
すると流されてしまった剣の勢いに驚いた女は、慌てて後ろに飛んで距離をとるが、その動きは既に予測済み。
女の攻撃パターン、癖、予測される動きが物凄い速さで頭の中を巡り、その全てに対応できる様、反撃の型をその一つ一つに結びつけていった。
” どの未来が来ても俺の勝ち ”
それだけの量の情報を俺は一瞬で計算し、その全てを理解する。
この女はもう何をしても俺に勝てない、これ以上邪魔をするなら・・
女の方へ足を踏み出そうとした、その時ーー・・
女の頭の上に白い何かがポーンと落ちてきてそのまま着地ーー
女は悲鳴をあげた。
暴れながら頭を掻きむしる女をとりあえず黙って見ていると、リーフ様はアタフタと慌てふためきながらも女に声をかけたが全く聞こうともしない。
とうとう最後は、
「 意地悪するから・・」
ーーと呆れた様子で言ってため息を吐いていた。
そうして案内された場所は緑が多く開けた場所で、リーフ様はそこで何やらゴソゴソと準備をし始めたので俺はそれを大人しく見守る。
すると、リーフ様は木刀で下に落ちている袋を突つき、中からカユジ虫を追い出すと慎重に剣先にソレを乗せた。
そして、クックックっと胸がほわっと暖かくなる様な綺麗な笑顔を俺に見せ、
これから俺にソレをつけるぞと言いながらカユジ虫が乗っている剣先をクィクィと近づけてくる。
リーフ様が望むのなら一匹と言わず十匹でも百匹でも喜んで付けるが・・
どうしようかと迷っていたが、最後に " 逃げろ " と言ったので、俺は迷わずその命令に従った。
とりあえずは一定距離が開く様に走り、これで正解だろうか?と不安でリーフ様へチラチラと視線を送ると、輝くばかりの笑顔がそこにあった。
それを見るとホワホワっとした暖かいもので心の中が満たされて、また新たな感覚にこの身は翻弄される。
リーフ様が楽しいなら俺の心は暖かくなる。
もっともっと俺は暖かくなりたいと、貪欲にそれを欲する自分の心。
リーフ様によってもたらされる感覚は、一体どれ程俺を強欲にするのだろう?ーーと、それにゾッと恐怖しつつも俺は手にした感覚の数々に夢中だ。
俺の欲しいものを全て与えてくれるリーフ様は神様
しかし今の無邪気に笑う顔はまるで街中で聞いた事のある天使という生き物の様にも見える。
幸せを運んでくる純粋で、可憐で、優しい、高貴なる存在
まさしくリーフ様の事ではないか!
神様で天使・・
ぶつぶつと呟きながら、失礼のない程度にその可憐な姿を目に焼き付ければまた心はポカポカ暖かくなる。
この時間が永遠に続くといいな・・そう思いながら追いかけられ続け、一時間くらい経っただろうか?
リーフ様の様子が明らかに変わってきた。
汗を大量にかき、ゼイゼイと呼吸と心拍数は明らかに乱れている。
大丈夫だろうか・・・
心配で仕方なかったがこうした場合の対処法がわからずどうするべきか迷っていると、リーフ様は、あっ!っと短く叫び前方に倒れていく。
このままだと転倒してしまうと、直ぐに俺は彼の横に瞬時に移動してそのまま腕を身体に巻き付け転ばぬ様にしようとしたのだが・・
それでは彼を抱きしめてしまう事になる。
流石に触れれば嫌がられるかも・・と自身の醜い左手を見下ろし首を振ると、右手を彼の腹部に軽く添え、彼の体を持ち上げた。
するとリーフ様の暖かなお腹の感触が右手から脳へと伝わり、心臓はドキドキと早鳴りを始める。
・・柔らかい、暖かい。
人の体はこんなにも胸がドキドキするものなのだと、これもリーフ様が昨日教えてくれた事だ。
彼はキョトンと目をパチクリさせた後、俺にありがとうと伝えてきたのだが、それにより更に鼓動は速くなり自然と頬に赤が散る。
その後、ぶつぶつと何かを呟き出すリーフ様、ドキドキしながら普段は見えないリーフ様の頭の旋毛を見つめる俺
そのまましばしの時間が過ぎ次のリーフ様の行動を待っていたのだがーーー
「 リーフ様から離れろ!この化け物めっ!! 」
そんな言葉が少し離れた場所からして、リーフ様の意識はそちらに向く。
それにモヤっと嫌な感覚を感じたため、その原因を探るべく渋々そちらへ視線を向けると・・そこには剣を構える女がいた。
その何処かで見た事あるような女に対し、さして興味も無かった俺はリーフさまへ視線を戻したのだが、突如その女が剣で俺に切り掛かってきたのだ。
その為、俺は足元の木刀を蹴り上げキャッチすると向かってきた剣の力の方向を、自身の木刀でするりと変えてやった。
すると流されてしまった剣の勢いに驚いた女は、慌てて後ろに飛んで距離をとるが、その動きは既に予測済み。
女の攻撃パターン、癖、予測される動きが物凄い速さで頭の中を巡り、その全てに対応できる様、反撃の型をその一つ一つに結びつけていった。
” どの未来が来ても俺の勝ち ”
それだけの量の情報を俺は一瞬で計算し、その全てを理解する。
この女はもう何をしても俺に勝てない、これ以上邪魔をするなら・・
女の方へ足を踏み出そうとした、その時ーー・・
女の頭の上に白い何かがポーンと落ちてきてそのまま着地ーー
女は悲鳴をあげた。
暴れながら頭を掻きむしる女をとりあえず黙って見ていると、リーフ様はアタフタと慌てふためきながらも女に声をかけたが全く聞こうともしない。
とうとう最後は、
「 意地悪するから・・」
ーーと呆れた様子で言ってため息を吐いていた。
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