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第二章

63 下僕デビューでイメチェン?

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( リーフ )



あれ?なんかレオン、雰囲気変わった?


昨日はオドオドと目線もあまり合わなかったのだが、今はビシビシと音が出るくらいの勢いで見つめられているし、何よりこう・・態度が堂々としているような・・?


本当に俺に視線合ってる?とスイ~スイ~と左右に体を動かしてもぴったりついてくる視線に、んんん??と首をかしげたが脳裏に突如浮かんだ言葉に、はっとした。




「 高校デビュー 」


前世で孤児院にいた女の子達が、流行りの漫画を片手にキャーキャーしているので話を聞くと、何やら流行っている少女漫画の話で盛り上がっていたらしく、

その出てくる男性キャラが、もさい外見から高校入学とともに光り輝くようなイケメンになって登場。

そしてもさい時に優しくしてくれた主人公の女の子に交際を申し込むというーー

いわば逆シンデレラ的なストーリーで盛り上がっていたらしい。



その時に聞いた言葉がこの「 高校デビュー 」だ。

女の子達いわく誰しもが挑戦したがる行為なんだそうで ” 私達も高校デビューした~い ” とまたキャイキャイ騒いでいた。



レオンは流行りに乗っている。


さしずめこれは彼の「 下僕デビュー 」


心の成長を感じさせるこの行動に俺は心の中でガッツポーズをとった。



「 ふははははーおはよう!我が下僕のレオンよ!

これから君と遊んであげようと思ってね! 


さあ、俺についてくるんだ! 」



「 ・・っはい! 」



こんなこれから意地悪しようと企む悪い大人にホイホイついてくるとは・・レオンが素直過ぎて俺はとても心配だ。



これはおいおい知らない人にむやみについて行ってはいけないと教えなければ・・

今後の教育方針について考えていると、スッとイザベルが剣を構えたまま俺の前に立つ。


しかもよく見れば体がわずかに震えているため、俺はすぐに、「 大丈夫かい? 」と尋ねると、彼女はレオンから目線をそらさず俺に言った。



「 ・・や・・やはり私には無理ですっ・・・

このような者を認めるなど・・っ


それに・・・ヤツの様子が・・なにかおかしいです。

昨日はあんなに堂々としていなかった。


この違和感・・

やはり奴はイシュル神にあだ名す大罪人・・いえ・・邪神の類かと・・ 」



息も絶え絶えにそう言い放つイザベルに、俺は思った。


まず、彼女はカルパスとともにイシュル神をとても尊敬している。

そのためレオンの外見は彼女にとって耐え難いものなのだろう。


そして次に、彼女は働きすぎだ。

なんといっても日中は俺の護衛、更には屋敷の警護まで・・

夜はカルパスと交代で見張っていてくれているらしいが、それにしてもまだ二十歳にもなっていないお嬢さんがすべき仕事量ではない。



そして最後に、イザベルは「 高校デビュー 」の存在を知らない。


そんな彼女が今のレオンの突如変わった雰囲気を見れば驚くに決まっている。

以上三つを考慮して、俺は今の状況に最適とも言える解決法を考えた。


お飾りに近い鳥さん頭で必死に思考を巡らせとても良い考えを思いつくと、早速彼女の耳にこしょこしょと内緒話をするように囁いた。



「 イザベル。レオンの雰囲気についていってはいけないよ。

今、彼は必死でなりたい自分を演じているんだ。


年上の俺たちはそんな子供の成長を見届けるべきだよ。

分かったかい? 」



「 はぁ??えっ・・・年上?成長??一体何を・・・ 」


「 それと前から思っていたんだけど、君は働きすぎだ。


俺はそれにすごく感謝しているけど、このままでは親のカルパスは心配で胸がビリビリに張り裂けてしまうよ。


だからレオンが来ている間、君は休憩するんだ。

これは命令だよ。分かったかい? 」


彼女にもこれまでの人生の中で芽生えた考え方があり、それを曲げさせてまでレオンの側にいろというのはお互いのためにもよくない。


俺は、これからもレオンを下僕としてそばに置いて虐めるつもりなので、今の時点で3人にとって最良の方法は、ずばり一度距離を置くことだ。



イザベルなりにそこまで気にならなくなったら、そろ~っと近づいて来るだろうし駄目なら駄目でそれも良し。

人には相性というモノもあるし、ある程度は仕方がない。

なによりブラック企業もびっくりな働きをしようとする真面目な彼女に、レオンがいる間お休みも与えることもできるし、これぞまさに名案の王様と言っていいほど良い解決法だ。


「 ちょっ・・・」 

「 リ・リーフ様?? 」


オタオタと慌てる彼女に大丈夫大丈夫!と目配せすると、レオンに手招きし俺は裏の広場の方へと一緒に向かった。



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