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43 納得した
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( 大樹 )
沢山の家や見上げる様な高いビルが並んでいる中、歩く人々を見ながら俺は驚きで立ち尽くした。
何も武器を持たずにたらんたらんとだるそうに歩く人々の姿。
それに俺はポカ──ン……としてしまう。
行き交う人、行き交う人全員がそんな感じで、俺の頭はハテナマークで一杯だった。
街の中にいてもクリーチャーは瞬間移動して襲ってくる場合もあり、新型人類でない人々はそもそもこんな無闇に外に出ない。
ましてや装備を何一つ持たずに歩き回るなど、自殺願望があるとしか思えないのだが……?
「 せめて小型銃か電動ナイフくらいは持ってるもんじゃねぇの?? 」
超視覚で確認しても誰も持っている者がいない。
凄い数の人間がいるのに……。
それに────……
人を追っていた目線を、次は周りを囲む様に立っている建物達へ移す。
高いビルは、土地が少ない元の世界でもありふれたモノだったが、まず作りが柔らか過ぎるというか……耐久性にかなり難アリのようだった。
クリーチャーの鼻息でバラバラだな、これじゃあ……。
ジロジロ~とその建物の壁を見ながら、汗を掻いていると、続けて驚いたのは二階建てや三階建ての家の多さ。
どんなに功績が高く優遇されていた新型人類だって、土地自体が貴重であったため、こんな贅沢な一個分の建物など貰えない。
人類の住むところは縦長のタワーの一室一択。
おおおお~……。
思わず感動してジ──ッ……とその建物の壁を睨みつけながらそんな事を思っていると、フッと、周りの人達の視線が自分に集中している事に気づく。
更には通信機の様な平べったい四角い機械に向かって「 不審者…… 」「 変な格好した…… 」などという声まで聞こえ始め、ヤバい!と気づき、全力疾走でその場から逃げ出した。
「 ……誰もついてきてないな? 」
建物の間にある暗い路地裏から、チラッと明るい方を覗いたが、どうやら誰も追跡しては来ない様でホッと胸を撫で下ろす。
まぁ心配しなくても、あんなに弱々しい人間に捕まるわけはないが……。
「 やっぱり別の世界なのかね?
クリーチャーどころかモンスターもいなさそうだ……。
つーか、こんなにのんびりしている世界初めてみたぞ。
……まさか天国だったり~? 」
本気でそれを疑い始めたが、自分の心音や血液の流れる音はバッチリ聞こえているし……少なくとも死んではなさそうだ。
俺は暗い路地の中で、晴れ渡る青い空を見上げ途方に暮れる。
「 ……一体ココは何処なんだ……? 」
そう呟いた、その時────
「 あれれぇ~?変なおっさんが俺等の縄張りにいるんですけどぉ~? 」
「 うっわ!何だよ、その格好、コスプレかよ?
おっさんちょっと痛すぎだろww 」
「 中世の王子様ww 」
笑いながら近づいてきたのは、10代~20代前半くらい?の年齢の変わった格好と髪型をした若者3人。
髪の毛は赤や金髪と色とりどりで、格好は兵士の格好ではなく布が一枚にジャラジャラ銀色のアクセサリーをつけている。
ザイラスを思い出すな……。
金細工のアクセサリーにキラキラ光る宝石をこれでもかとジャラジャラつけていたザイラス。
そんなファッションをしていては走ることも難しいのでは?と思うのだが、果たして……?
思わずジロジロとその若者たちを不躾に見てしまったが、そこでピンッ!ときた。
そうか!
街でジロジロ見られてしまったのは、この格好だからか!!
今更ながら自分の格好が、所謂前時代的な格好である事を思い出し、納得してしまった。
レオンハルトがオーダーメイドで作らせた最高級の洋服。
ヒラッとしたフリルが着いた白いシャツに黒のベストというシンプルなものだが、肌質が滑らかで、あからさまなギラギラした格好が好きではない俺の為に作ってくれたものであった。
あちゃ~……。
こりゃ確かに不審者に間違われるのは仕方ないか……。
大きくため息をつくと、3人の男たちはニヤニヤしながらポケットから虫くらいしか殺せなさそうな小さなペラペラナイフ??の様なモノを出す。
「 ほらほら、おっさん。
そんな格好してるくらいだから金、結構持ってんだろぉ? 」
「 どうか下々の我々にお恵みを~♡ 」
「 王子様~どうか~♡ 」
茶化す様に俺に近づいてくる三人の男に視線を向け、その格好をもう一度よ~く見た。
真ん中の男は黒い大きめのジャケット、そして後ろの二人はダボッとしたトレーナー。
それを確認した俺はニヤァ~と笑った。
◇◇◇◇
「 お~!これなら服が上手く隠れるな!
ラッキーラッキー♬ 」
足元には顔がパンパンになって気絶している3人の若者が倒れていて、その中の一人、黒いジャケットを着た男のその服を脱がすと、それを今の服の上から羽織った。
大きめのサイズであったため、問題なく上の服を隠してくれる。
恐らくはパッと見れば、多分歩いている分には不審者扱いはされないレベルだろう。
本当は今の服を脱いで、完全に服を変えた方がいいのだろうが……それは嫌だった。
首元からやや飛び出ている白シャツの襟元の匂いを嗅いで、その僅かに残る痕跡を消したくないと思ってしまったからだ。
バカだなぁ……。
自分で自分を笑い飛ばし、そのままその薄暗い路地裏から明るい場所へと出ていった。
そして街中をキョロキョロしながら歩いていると、思った通り先程とは違い道行く人は誰も見てこない……いや、寧ろ何か目を逸らしてくる??
とりあえず先程の様に騒ぎになってない事にホッとしつつ、多少違和感を感じながら、自分が今来ている黒いジャケットを見下ろした。
胸元に何故か人間の頭蓋骨??の絵がポツッと小さく描かれていて、更に背中の方にはやたらおどろおどろしい骸骨の絵がデカデカと描かれていた事も思い出す。
……何で服に絵を書いちゃったんだろう??
" 服に書く " という斬新なアイディアは確かに驚いちゃったよな~と、思いながらハハッ~と笑っていると────
「 大樹? 」
酷く懐かしい声が聞こえてその声がした方を振り返るとそこにいたのは……
「 杏花……? 」
死んだはずの杏花がキョトンとした顔で俺を見ていた。
沢山の家や見上げる様な高いビルが並んでいる中、歩く人々を見ながら俺は驚きで立ち尽くした。
何も武器を持たずにたらんたらんとだるそうに歩く人々の姿。
それに俺はポカ──ン……としてしまう。
行き交う人、行き交う人全員がそんな感じで、俺の頭はハテナマークで一杯だった。
街の中にいてもクリーチャーは瞬間移動して襲ってくる場合もあり、新型人類でない人々はそもそもこんな無闇に外に出ない。
ましてや装備を何一つ持たずに歩き回るなど、自殺願望があるとしか思えないのだが……?
「 せめて小型銃か電動ナイフくらいは持ってるもんじゃねぇの?? 」
超視覚で確認しても誰も持っている者がいない。
凄い数の人間がいるのに……。
それに────……
人を追っていた目線を、次は周りを囲む様に立っている建物達へ移す。
高いビルは、土地が少ない元の世界でもありふれたモノだったが、まず作りが柔らか過ぎるというか……耐久性にかなり難アリのようだった。
クリーチャーの鼻息でバラバラだな、これじゃあ……。
ジロジロ~とその建物の壁を見ながら、汗を掻いていると、続けて驚いたのは二階建てや三階建ての家の多さ。
どんなに功績が高く優遇されていた新型人類だって、土地自体が貴重であったため、こんな贅沢な一個分の建物など貰えない。
人類の住むところは縦長のタワーの一室一択。
おおおお~……。
思わず感動してジ──ッ……とその建物の壁を睨みつけながらそんな事を思っていると、フッと、周りの人達の視線が自分に集中している事に気づく。
更には通信機の様な平べったい四角い機械に向かって「 不審者…… 」「 変な格好した…… 」などという声まで聞こえ始め、ヤバい!と気づき、全力疾走でその場から逃げ出した。
「 ……誰もついてきてないな? 」
建物の間にある暗い路地裏から、チラッと明るい方を覗いたが、どうやら誰も追跡しては来ない様でホッと胸を撫で下ろす。
まぁ心配しなくても、あんなに弱々しい人間に捕まるわけはないが……。
「 やっぱり別の世界なのかね?
クリーチャーどころかモンスターもいなさそうだ……。
つーか、こんなにのんびりしている世界初めてみたぞ。
……まさか天国だったり~? 」
本気でそれを疑い始めたが、自分の心音や血液の流れる音はバッチリ聞こえているし……少なくとも死んではなさそうだ。
俺は暗い路地の中で、晴れ渡る青い空を見上げ途方に暮れる。
「 ……一体ココは何処なんだ……? 」
そう呟いた、その時────
「 あれれぇ~?変なおっさんが俺等の縄張りにいるんですけどぉ~? 」
「 うっわ!何だよ、その格好、コスプレかよ?
おっさんちょっと痛すぎだろww 」
「 中世の王子様ww 」
笑いながら近づいてきたのは、10代~20代前半くらい?の年齢の変わった格好と髪型をした若者3人。
髪の毛は赤や金髪と色とりどりで、格好は兵士の格好ではなく布が一枚にジャラジャラ銀色のアクセサリーをつけている。
ザイラスを思い出すな……。
金細工のアクセサリーにキラキラ光る宝石をこれでもかとジャラジャラつけていたザイラス。
そんなファッションをしていては走ることも難しいのでは?と思うのだが、果たして……?
思わずジロジロとその若者たちを不躾に見てしまったが、そこでピンッ!ときた。
そうか!
街でジロジロ見られてしまったのは、この格好だからか!!
今更ながら自分の格好が、所謂前時代的な格好である事を思い出し、納得してしまった。
レオンハルトがオーダーメイドで作らせた最高級の洋服。
ヒラッとしたフリルが着いた白いシャツに黒のベストというシンプルなものだが、肌質が滑らかで、あからさまなギラギラした格好が好きではない俺の為に作ってくれたものであった。
あちゃ~……。
こりゃ確かに不審者に間違われるのは仕方ないか……。
大きくため息をつくと、3人の男たちはニヤニヤしながらポケットから虫くらいしか殺せなさそうな小さなペラペラナイフ??の様なモノを出す。
「 ほらほら、おっさん。
そんな格好してるくらいだから金、結構持ってんだろぉ? 」
「 どうか下々の我々にお恵みを~♡ 」
「 王子様~どうか~♡ 」
茶化す様に俺に近づいてくる三人の男に視線を向け、その格好をもう一度よ~く見た。
真ん中の男は黒い大きめのジャケット、そして後ろの二人はダボッとしたトレーナー。
それを確認した俺はニヤァ~と笑った。
◇◇◇◇
「 お~!これなら服が上手く隠れるな!
ラッキーラッキー♬ 」
足元には顔がパンパンになって気絶している3人の若者が倒れていて、その中の一人、黒いジャケットを着た男のその服を脱がすと、それを今の服の上から羽織った。
大きめのサイズであったため、問題なく上の服を隠してくれる。
恐らくはパッと見れば、多分歩いている分には不審者扱いはされないレベルだろう。
本当は今の服を脱いで、完全に服を変えた方がいいのだろうが……それは嫌だった。
首元からやや飛び出ている白シャツの襟元の匂いを嗅いで、その僅かに残る痕跡を消したくないと思ってしまったからだ。
バカだなぁ……。
自分で自分を笑い飛ばし、そのままその薄暗い路地裏から明るい場所へと出ていった。
そして街中をキョロキョロしながら歩いていると、思った通り先程とは違い道行く人は誰も見てこない……いや、寧ろ何か目を逸らしてくる??
とりあえず先程の様に騒ぎになってない事にホッとしつつ、多少違和感を感じながら、自分が今来ている黒いジャケットを見下ろした。
胸元に何故か人間の頭蓋骨??の絵がポツッと小さく描かれていて、更に背中の方にはやたらおどろおどろしい骸骨の絵がデカデカと描かれていた事も思い出す。
……何で服に絵を書いちゃったんだろう??
" 服に書く " という斬新なアイディアは確かに驚いちゃったよな~と、思いながらハハッ~と笑っていると────
「 大樹? 」
酷く懐かしい声が聞こえてその声がした方を振り返るとそこにいたのは……
「 杏花……? 」
死んだはずの杏花がキョトンとした顔で俺を見ていた。
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