【完結】昔セフレ扱いして捨てた元恋人がドン底だったから拾ってやりました、けど……??

バナナ男さん

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14 久しぶりの顔

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( 晴矢 )

流石にハイっ!と言うのは言いつけているみたいで嫌だったので、曖昧にぼやかして答えたのだが……千川さんは、なんだか俺を蔑む様な目で見てきた。


「 ────あぁ、そういう ” いかにも ” みたいな態度は止めてくれないかな?

そんな遠回しな言い方で期待されても、俺は何もするつもりはない。

今助けたのだって気まぐれってヤツで、冬司が珍しく長く付き合っているなと思って興味があっただけだから。 」

「 は、はぁ……。 」


なんだか怒らせてしまった様だが、全く意味が分からずとりあえず無難な返事を返す。

しかし、どうやらそれすらも気に入らなかったみたいで、千川さんは完全に興味を失った様な顔でため息をついた。


「 曖昧な態度で察してもらいたいヤツは、あまり好きではないんだ。

嫌がらせをされるのが、本当は嫌なんだろう?

冬司は、もう別の女に目が移っているみたいだし、そろそろ欲をかくのを止めて離れたらどうだ? 」


心底面倒くさそうな態度から、多分この人は俺の事が嫌いなんだと理解し、同時に冬司の事が大切なのかもしれないと気づく。

……なるほど。

やっとこの人が言いたい事が分かって、ちゃんと俺なりの答えを今度はハッキリ伝えた。


「 俺はさっきの人達に言われた事やされた事を、そこまで嫌だと思わない。

ああやって自分の感情を表に出すのは凄い事だと思うし……欲しいものの為に行動を起こす事自体は、別に不快じゃないんだ。」


「 ……はぁ??? 」


千川さんは、なんだか随分と驚いた様で、目と口を大きく開けてポカンとしてしまう。

そんな変な事言ってないと思うが……。

千川さんの反応に疑問を持ったが、とりあえず話は続けた。


「 何でも貪欲に手を伸ばして、欲しいものを手に入れるために進み続ける人は、カッコいいと個人的に思う。

だから冬司もカッコいいと思ったんだ。

人より優れたモノをもう持っているのに進み続けるって、凄い事だと思わないか? 」


「 お……お前は、何を言っているんだ?? 」


千川さんは信じられないモノを見るかの様な目で俺を見てきたが、首を傾げる俺を直ぐに睨みつける。


「 あ、あぁ……バカなだけか……?

さっきも言ったが、冬司の心はもうお前にはない。

それでも好きでいられるのか?……本当は悔しいんだろう?

そもそも、真剣にお前の事が好きで付き合ったわけじゃないのに、ご愁傷さま。

結局ただ弄ばれただけで、お前には何も残らないな。 」


フッ……と鼻で笑う千川さんだったが、俺にはその必死さが良いなと思った。

この人も多分冬司と同じで ” 持っている人 ” だ。

それでいて、もっともっと高みを目指せる人というのは、何となく漂ってくる高潔な雰囲気で分かったので、俺ははぐらかさずにしっかりと自分の意見を伝えた。


「 お付き合いってモンは、その期間中に貰った ” 想い ” に感謝するモノだと思ってる。

俺は幸せだと思った。

そして、そんな幸せをくれるために努力してくれた事に感謝しかない。

例えこの後振られても、この嬉しい想いだけ持って先に進むよ。

それを繰り返して生きていくのが、人生ってもんだと思ってるし……。 」


「 ……は……はぁ……???? 」


また先程の様にポカンとしてしまった千川さんは、ブツブツと呟き始め、最後は「 お前歪んでいるな……。 」と悪口を言ってきた。


ゆ、歪んでるって失礼な……。

思わずムッ!とした顔をすると、千川さんは勢いを失くした様に小声で話し出す。


「 ありえない……嘘をつくなよ、白々しい。

金も地位も……普通の人間ならそれが魅力的に見えるだろう?

それを全部持っている相手を……お前も同じ様に手放したくないって思うに決まってる。 」


「 金と地位?

まぁ、あった方がいいと思うけど……それが手に入って頑張らなくなった人間を見るのは悲しいな。

そうなるくらいなら、なにもなくて頑張り続ける人生の方が生きてるって感じがするよ。

でも、お金は確かに大事だ。

それも身にしみて知ってるよ。 」


なんといっても母一人子一人で、アホな父のせいでお金の苦労は嫌と言うほど知っていたから。

曖昧な言い方が嫌だと言われたのでキッチリ答えると、千川さんはバツが悪そうな顔をして「 もういい。 」とだけ言い残して去っていった。


変わった人だったな?


俺の千川さんのイメージはまさにコレだったのだが……まさかもう一度会う事になるとは思いもよらなかった。


◇◇

「 お久しぶりです。 」

「 あ……あれ?もしかして千川さん……ですか? 」


約10年ぶりに再会した千川さんは、昔より大人びていたが、あの時感じた高潔さは失われておらず美しいままだった。

冬司の家の中、客室に用意されているテーブルに向かい合って座る俺と千川さん。

千川さんは俺にニコッと笑いかけた後、何かの書類を数枚テーブルの上に置く。

それを目で追うと、そこには見たこともない金額が書かれた領収書と、難しい言葉で書かれている契約内容の様なモノが書かれていた。


「 ……これは……。 」

「 あぁ、一応は雇用契約書の様なモノですよ。

さっさと読んでサインして下さい。 」


スッ……と差し出されたペンを受け取り、俺は無言でそれを読み進めていく。


気がつけば退職届けが出されていた俺は、結局冬司の住んでいる豪邸に身を置いていて、何かしようとしてもスーツを着た人たちに止められほとほと困り果てていた。

とりあえず仕事を……と頼もうとしても、冬司は基本俺の言葉は聞かず、言葉を奪われる様にセックスへと持ち込まれてしまう。

それが終わってどうにか望みを口にしても「 なんで? 」「 え、いやだけど? 」と言うばかり。

しかもその理由は────……。


「 俺がしたい時にいないとできないじゃん。

あぁ、仕事場でのセックスが希望?

ハハッ、それも楽しそう!

大勢が見ている前で……とか、もしかして新たな性癖に目覚めるかも~。 」


笑いながらとんでもない事を言い放った冬司の目は本気。

これは絶対にやる!

それは経験上分かっていたので「 ……やっぱり仕事やめる。 」と言うしかなかった。


しかし、どうやら冬司はその時の事をちゃんと覚えていて、問題解決をしようとしてくれたらしい。

だからこんなモノを用意したのだろう。

したんだけど────……。


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