一途な淫魔の執着愛 〜俺はお前しか抱かない〜

森本イチカ

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聖なる翼に愛を捧げる

6、ここで抱く

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 見覚えのある高級住宅街。一軒一軒うちが一番綺麗に輝いているわと言わんばかりにイルミネーションが光りを放っている。まるでどこかのデートスポットにでも来たような華やかさだ。
 何に対して怒っているのだろうか? 不機嫌な顔はなかなか直らない。「おかえりなさいませ」とコンシェルジュの人が挨拶しても見向きもしないで日和の腕を離さなずズンズンと進んでいく。
 長いエレベーター。なんだが空気が重く、その重さに耐えられず落ちてしましそうだ。


「ねぇ、何怒ってるの?」


 せっかくのクリスマス、久しぶりに会えるのを楽しみにしてたのに怒っている。やっぱり自分だけが楽しみに今日という日を待っていたのだろうか。


「聞いてる?」


 突然重なる唇に驚いて目が開いたまま、身体が固まってしまった。
 突然なに?


「聞いてる。聞いてるけど俺は聞いてない」


 怒った鋭い目つきは日和を至近距離で見つめる。


「はい?」


 聞いてるけど聞いてないってどういう事? 子供が何か嫌なことがあって駄々をこねてる、そんなかんじか?
 タイミングよく上品な音が鳴りエレベーターを出る。ここまで来ればもう洸夜の部屋に向っていることは分かっている。分かっているらこそ、洸夜が怒っていても日和の心臓はバクバクと鼓動を高鳴らせていた。
 洸夜は乱暴な手付きで玄関の鍵を開け、グイッとドアの中に引き込まれる。


「ちょっ……んっ――」


 背中をドアに押し付けられ、日和の身体は洸夜の四肢に取り押さえられている。完全に包囲され、唇を何度も何度も喰われてしまうかのように甘く噛まれ、舌が乱暴に歯列をなぞってきた。


「はっ、ん……んぅ……」


 離れるのを惜しむようにゆっくりと離れた唇が開いた。


「なんで、なんでそんな格好してんの?」
「格好? あぁ、コレは売上を伸ばすためにって店長が言うから仕方なく」
「悠夜から日和の写真が送られてきて、急いで店に向ってみたらなんだよ、可愛すぎんだろ! 他の男が日和のこんなに可愛い姿を俺より先に見たこともムカつくし、むしろ俺以外の男が見たことがムカつく! 他の男に日和の綺麗な脚も、この鎖骨も見られたのかと思うと嫉妬で頭がどうにかなっちまいそう」


 洸夜はボスンと日和の肩に顔を埋めた。
 機嫌が悪かったのは嫉妬をしていたから? おもわずふふっと笑ってしまった。嬉しくて。


「なに笑ってんだよ」


 顔を上げ不機嫌そうに日和を覗き込んできた。
 怒った瞳も今はとても可愛く見えてしまう。愛されるってこんなにも嬉しいものなんだ。


「なんでもない」


 そう言った声に嬉しさが交じる。


「俺はまだ怒ってるんだからな!」
「分かってるって」
「いーや、分かってないな、俺がどれだけ日和のことを好きなのかお前は全く分かってない」


 真剣なブラウンの瞳に吸い込まれそう。


「もう俺我慢の限界だから、ここで抱く」


 ゾクリと震える低くて芯のある声。洸夜は本気だ。
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