俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

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「高林様、ディナーをお持ちいたしました」


「お、お願いします」


 次から次へとテーブルに並べられる料理はそれはもう色鮮やかで美味しそうな匂いを漂わせるフランス料理の数々。シャンパンクーラーの中でキンキンに冷えているだろうシャンパン。事後の渇いた喉が早く飲みたいと欲している。美桜も目をキラキラと輝かせて「わぁ~」「美味しそう~」と連呼しながら運ばれてくる料理を目で追っている。


(可愛すぎてやばいな――……)


 キュポンッとコルクの抜ける良い音。ゆっくりとグラスに注がれシャンパンの小さな泡がシュワシュワと弾ける。「食べ終わりましたらお電話ください。片付けに参ります。ではごゆっくり当ホテル自慢の料理をお楽しみください」全ての料理が並びホテルスタッフの人が部屋を出た。


「やっと今日から美桜は正式に俺の奥さんになったんだな。これからも仲良く夫婦生活を楽しんでいこうな」


「こ、こちらこそ宜しくお願いしますっ!」


 カチンとグラスの音が重なりこの広い部屋に響き渡る。爽やかな甘さ、口の中で小さな泡が溶けるようになくなり香りが鼻から抜けていく。
 婚姻届があんなにあっけらかんと終わるなんて思ってなかった。
 今日の朝ご飯もすっごく美味しかった。
 ドレスにびっくりした。
 スイートルームを予約してたなんて知らなかった。
 指輪の刻印が同じで運命かと思った。
 今日朝からずっとサプライズ続きだ、幸せだ、と美桜は今日の嬉しかった事を事細かく俺に教えてくれ、話すぎててどのタイミングで食事を口に入れているのか謎なくらいなのに美桜の目の前にあったご馳走は殆ど残っていない。


「食後のデザートにフルーツタルトがあるんだけど美桜はまだ食べれそう?」


「ケーキッ! 勿論デザートは別腹でしょ」


「だな」


 冷蔵庫の中にしまっておいてもらったケーキを取り出し美桜の前に置く。シャインマスカットがふんだんに使われているフルーツタルトは艶めいていて食べるのが勿体無いくらい見た目だけでも魅了され幸せな気分になる。


「な、なんて贅沢な……シャインマスカットがこんなにのってるなんて食べるのが勿体無い」
「で、でも。食べちゃうもんね!」


 一口、目をまん丸に見開いて「美味しい」と顔で表現してくる。また一口、「美味しい」と俺を見てまた一口、そんなに美味しいのか懲りずにそれを何回も繰り返して一瞬でフルーツタルトは美桜の胃袋の中に落ちていった。


 食べ終わりホテルスタッフに電話をするとすぐに片付けに来てくれ、他にもお風呂の準備までしていってくれた。(まぁそのお風呂の準備もしてくれるプランにしたからな)


「あ~食べ過ぎてお腹ぽっこりで出ちゃったよ」


「それは確認しないといけないな」
「お風呂に入ろう」


 頑なに拒む美桜をひょいと肩に乗せ(いや、担ぐと言った方が正しいか)バスルームまで運ぶ。美桜は小柄だから楽に肩に乗せられる。「やだー」「恥ずかしい!」とジタバタしていたが、そういえば初めて一緒にお風呂に入る時もこうやってジタバタ拒んでいたなぁと思い出して思わずプッと笑ってしまった。
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