67 / 88
、
しおりを挟む
美桜が好きなよく分からないイケメンキャラクターが描かれているクリアファイルに綺麗に入れた婚姻届を持ち車で区役所に向かう。
(このクリアファイルを渡された時ものすごい勢いで眼福がうんたらかんたらって言ってたな……)
今日は土曜日で休日受付になるので時間外窓口に婚姻届を提出すればいいらしい。
小さな事務室のような場所に時間外窓口と記された小さなガラス窓。トントンと軽く叩くと直ぐに警備員らしいお爺さんが出てきた。
「すいません。婚姻届を提出しにきたのですが提出先はこちらで合ってるでしょうか?」
「んぁ、あぁそうですよ。では受け取ります」
小さなガラス窓からスッとお爺さんに手渡すと「はい、受け取りました。書類に問題がなければ後日受理されましたって書類が届くと思いますので」と言うとスッと窓から姿を消した。
「りゅ、隆ちゃん……婚姻届出すのってこんなにも呆気ないものなの!? なんかもっと華やかな感じかと思ってた」
「俺も」
会社の書類提出みたいにあっけらかんと終わってしまった婚姻届を出すという一大イベントはなんだか思っていたのと違う感じであっけらかんと終わってしまった。
(まぁ婚姻届を出すのはちょっとイベント感に欠けたけど今日はまだ始まったばかりだからな!)
そうだ。今日はまだ始まったばかり。結婚記念日になった今日一日をとにかく美桜と最高な日にするべく俺は密かに色んな準備をしてきたのだから。
「指輪を取りに行くのは夕方だし、それまでは家でゆっくり過ごそうか」
車に乗り助手席に乗っている美桜に話しかける。ゆっくりというワードが美桜は大好きだ。漫画がゆっくり読めるからなのはもう分かりきっている。やったーと言いたげで嬉しそうな表情をして俺の顔を覗き込んできた。
「だねぇ。読みたい新刊もたくさん積んでるし、隆ちゃんも一緒に読む?」
(やっぱり漫画読む気満々だな)
「じゃあ美桜のオススメでも読もうかな」
「読むの!?」
「自分で聞いてきたくせになんでそんなに驚くんだよ。もう何回も読んでるじゃん、美桜のエローい漫画」
カァっと一瞬にして頬を真っ赤に染め「わ、私がエロいんじゃないからねっ!」とわたわた手を動かしながら弁解してくるけど、そんな事は一言も言ってない。なのに勘違いして自分の事だと思っているとか可愛すぎてつい顔がニヤけてしまう。
マンションに帰ってきてはすぐに部屋着に着替えぐだぁっと身体から力を抜きソファーに身を任す。脱力してソファーに座る俺の隣にピタッと寄り添いグッと背筋をピンと伸ばして真剣な表情。Tシャツショートパンツとラフな部屋着に着替え、前髪をちょんまげのように縛って、フサフサと子犬の尻尾のようで可愛い。
真剣な表情……でエロい漫画を読んでいる美桜。ついさっきまで恥ずかしがっていたはずなのに、 俺に寄り添い読んでいる漫画をチラッと覗くと男と男がイチャイチャしている……
(び、BLじゃん。ついに堂々と読み出したか。まぁいいんだけどな、凄く嬉しそうな可愛い顔して読むから)
その嬉しそうな顔、漫画の内容で少し苦しそうな顔をする時もあれば、驚いた顔をしたり。でも結局はとろんと蕩けた嬉しそうな顔をすることがほとんどだ。本当漫画を読んでいる時の美桜の表情はコロコロ変わって見ているだけで面白い。そして可愛くてつい触れたくなる。
「美桜」
漫画の世界に入り浸っているのか返答がない。
「みーお」
「ふぇい!?」
目を見開き驚いた顔で俺を見上げるように見てきた美桜の唇にチュッと軽く唇を合わせる。
「何でもないよ。俺も読もっかな~」
美桜が山積みになる程リビングに持ってきた漫画を一冊一冊読めそうなものを見ていくがどれも自分にはハードそうなBLに見えて手が届かない。躊躇していた俺を見兼ねて美桜が「これならハードな絵面もないし、純愛ものだから読めると思うよ」と手渡されたBLを受け取り読んでみることにした。
(このクリアファイルを渡された時ものすごい勢いで眼福がうんたらかんたらって言ってたな……)
今日は土曜日で休日受付になるので時間外窓口に婚姻届を提出すればいいらしい。
小さな事務室のような場所に時間外窓口と記された小さなガラス窓。トントンと軽く叩くと直ぐに警備員らしいお爺さんが出てきた。
「すいません。婚姻届を提出しにきたのですが提出先はこちらで合ってるでしょうか?」
「んぁ、あぁそうですよ。では受け取ります」
小さなガラス窓からスッとお爺さんに手渡すと「はい、受け取りました。書類に問題がなければ後日受理されましたって書類が届くと思いますので」と言うとスッと窓から姿を消した。
「りゅ、隆ちゃん……婚姻届出すのってこんなにも呆気ないものなの!? なんかもっと華やかな感じかと思ってた」
「俺も」
会社の書類提出みたいにあっけらかんと終わってしまった婚姻届を出すという一大イベントはなんだか思っていたのと違う感じであっけらかんと終わってしまった。
(まぁ婚姻届を出すのはちょっとイベント感に欠けたけど今日はまだ始まったばかりだからな!)
そうだ。今日はまだ始まったばかり。結婚記念日になった今日一日をとにかく美桜と最高な日にするべく俺は密かに色んな準備をしてきたのだから。
「指輪を取りに行くのは夕方だし、それまでは家でゆっくり過ごそうか」
車に乗り助手席に乗っている美桜に話しかける。ゆっくりというワードが美桜は大好きだ。漫画がゆっくり読めるからなのはもう分かりきっている。やったーと言いたげで嬉しそうな表情をして俺の顔を覗き込んできた。
「だねぇ。読みたい新刊もたくさん積んでるし、隆ちゃんも一緒に読む?」
(やっぱり漫画読む気満々だな)
「じゃあ美桜のオススメでも読もうかな」
「読むの!?」
「自分で聞いてきたくせになんでそんなに驚くんだよ。もう何回も読んでるじゃん、美桜のエローい漫画」
カァっと一瞬にして頬を真っ赤に染め「わ、私がエロいんじゃないからねっ!」とわたわた手を動かしながら弁解してくるけど、そんな事は一言も言ってない。なのに勘違いして自分の事だと思っているとか可愛すぎてつい顔がニヤけてしまう。
マンションに帰ってきてはすぐに部屋着に着替えぐだぁっと身体から力を抜きソファーに身を任す。脱力してソファーに座る俺の隣にピタッと寄り添いグッと背筋をピンと伸ばして真剣な表情。Tシャツショートパンツとラフな部屋着に着替え、前髪をちょんまげのように縛って、フサフサと子犬の尻尾のようで可愛い。
真剣な表情……でエロい漫画を読んでいる美桜。ついさっきまで恥ずかしがっていたはずなのに、 俺に寄り添い読んでいる漫画をチラッと覗くと男と男がイチャイチャしている……
(び、BLじゃん。ついに堂々と読み出したか。まぁいいんだけどな、凄く嬉しそうな可愛い顔して読むから)
その嬉しそうな顔、漫画の内容で少し苦しそうな顔をする時もあれば、驚いた顔をしたり。でも結局はとろんと蕩けた嬉しそうな顔をすることがほとんどだ。本当漫画を読んでいる時の美桜の表情はコロコロ変わって見ているだけで面白い。そして可愛くてつい触れたくなる。
「美桜」
漫画の世界に入り浸っているのか返答がない。
「みーお」
「ふぇい!?」
目を見開き驚いた顔で俺を見上げるように見てきた美桜の唇にチュッと軽く唇を合わせる。
「何でもないよ。俺も読もっかな~」
美桜が山積みになる程リビングに持ってきた漫画を一冊一冊読めそうなものを見ていくがどれも自分にはハードそうなBLに見えて手が届かない。躊躇していた俺を見兼ねて美桜が「これならハードな絵面もないし、純愛ものだから読めると思うよ」と手渡されたBLを受け取り読んでみることにした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる