俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

文字の大きさ
上 下
47 / 88

しおりを挟む
「ち、ちなみにどんな絡みされられたの? すっごい気になる!」


「言うわけないだろ! それがバレたく無くて美桜に言わなかったんだから!」


「えぇ~いいじゃんよっ! 教えて!」


「絶対に教えない」


「ちょっとでいいからっ」


「ちょっとも、少しも教えないからな?」


「ちぇっ、じゃあ玄関で抱き寄せられてたのもお姉さんの指示だったのかな?」


「そうだよ、あれには驚いた。アパートの外はやめてくれって叫びたくなったよ」


 あの驚いた表情はそう言う事だったのか! と納得できた。


「……でも、この一週間美桜の事全然構ってやれなくてごめんな。寂しい思いさせてたよな」


 私の頭を撫でる温かな掌。この掌が大好きだ。


「ううん、そりゃ大切なお姉さんの頼みだもん。断れる訳がないよ。でもやっぱり嘘つかないで教えて欲しかったな、っても私も最初から嘘ついてたんだけどね」
「今回はおあいこって事で!」


 いつもの優しい表情に戻った隆ちゃんは私をギュッと抱き寄せて少し苦しいくらいに抱きしめた。


「これからはもっとお互い素直に言い合おう。それがちょっと言いづらい事とかだったらメールとかでもいい。言わないで隠すと今回みたいなすれ違いが起きるかもしれないから……俺は美桜が腐女子だろうが何だろうが、美桜は美桜で好きなのに変わりはないよ。それに美桜にまた悲しい思いなんてさせたくないからさ。本当にごめんな。これからは俺の目の前でも堂々とBLでもなんでも読んで良いからな」


 涙ってのは流しても流してもなかなか枯れる事がないのか、今度は悲しい涙ではなく、嬉しい涙が頬をつたる。彼はいつだって私を大切にしてくれ、私の欲しい言葉をくれる。それなのに少しでも不安に思った自分を懲らしめてやりたい。


「うぅ……好き。隆ちゃん好き。大好き。」


「俺も、どんな美桜も好きだよ。BLが好きな腐女子の美桜も、鈍臭い美桜も、小動物みたいな美桜も、エロい美桜も全部好き」


「ちょっと待って? 鈍臭いのは確かに認めるけど、え、エロいって何っ!」


「だって美桜エロいだろ、俺いつも耐えるのに必死だよ」


「んなっ……」



 涙が引っ込み、そのかわり恥ずかしさで顔がみるみる赤くなるのが分かる。え、エロいって……無意識無自覚恐ろしい。


「美桜、好きだよ」


 私の大好きな低くて優しい声。お互い疲れ切ってボロボロの顔を見合わせ、吸い寄せられるように軽いキスをした。


 その日は興奮状態で、ベットに入ってもBLについての語りと、私の推しの高森亜也先生(隆ちゃんのお姉さん)の漫画の素敵なシーンについての喋りが止まらない私の話を「うんうん」と相槌を打ちながら彼はいつの間にか穏やかな顔で眠りについていた。


 次の日から私の部屋の棚には綺麗にBL漫画が並んだ事は言うまでも無い。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...