俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

文字の大きさ
上 下
35 / 88

しおりを挟む
(……やっぱり今日は断ろう)


 昨日一緒に過ごせなかった分、今日はとびきり美桜を甘やかして、美桜の好きなご馳走をいっぱい作ってお酒を飲みながらのんびりしよう。俺が一緒に美桜とイチャイチャして過ごしたいだけだが。


 スマホを開き【姫咲】に電話をかける。


(……頼むから出てくれ)


 姫咲は自分の電話は出るまでかけ続けてくるくせに自分はなかなか電話に出ない。何度かけても気付かないことが多い。本当に連絡が取れない時は広志さんに電話して中を繋いでもらう事が多いくらいだ。
 ププルル、プルル、と電話の着信音が耳に残る。やはりなかなか出ない。三度目の電話でやっと出た。


『朝早くになに? もう来るの?』


 いつもより少しトーンの低く、イラッとした声質の姫咲に少し怖気吐きそうになる。


「いや、今日は行けない。昨日は姫咲を優先して予定をドタキャンしたから今日は彼女と一緒に過ごしたい」


『……あんたそれ本気で言ってるの?』


「本気以外の何もないけど」


『ふーん。じゃあ今日は来なくていいけど明日から仕事終わったら来なさい、いいわね?』


「明日からって毎日か!?」


『じゃあそれで決定ってことで、明日はスーツ着て来なさいね』


 ツーツーっと電話の切れた音。ブチっと要件だけ言われて切られた。いや、いつもの事だけど、明日から毎日!? それは勘弁してほしい。けれど今日は一日フリーになった。明日からの事は一旦忘れよう。気分はすっかり晴れてルンルンで鮭と卵焼きを美桜の朝ごはん用に焼く。 


「んん~隆ちゃんおはよぉ」


 目を擦りながら寝室から顔を出す美桜。ちょっと乱れた髪の毛とパジャマがエロくて朝からムラッとしてしまう。持っていた菜箸を置き美桜の元に近づく。「どうしたの?」と俺を覗き込むように見つめてくる仕草が可愛すぎて、彼女の腰に手を回しグイッと引き寄せた。


「隆ちゃん?」


「昨日ハンバーグ作って待っててくれたんだな、さっき冷蔵庫で見つけて食べた。凄い美味しかったよ、美桜急に料理の腕上がった?」


 嬉しそうな顔。その顔が毎日見たくて結婚したんだ。


「ふふ、二時間かけて作った甲斐があった」


「二時間!? 凄い。また作ってくれるか?」


「勿論だよっ! 次は付け合わせも作れるように頑張るね」


 美桜の髪を梳かしながら、頭を撫でた。普段サラサラの髪の毛が寝起きだから少し絡まる。


「朝ご飯作ったから食べようか、顔洗っておいで」


「え!? 私の担当なのに~、でもありがとう。顔洗ってくるっ」


 スッと俺の腕の中から抜け洗面所に向かう美桜。目の前にいるのに、手の届く場所にいるのに、なんだか少し寂しくなった。


(……俺、重症じゃね?)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...