俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

文字の大きさ
上 下
30 / 88

しおりを挟む
 自動ドアが開き中から冷気が出てくる。暑さにやられていた身体にはちょうどいいひんやり加減でまさに、生き返るぅ~って言葉がピッタリだ。
 カートにカゴを乗せ、まずは野菜コーナーから。前回来た時は隆ちゃんに任せっぱなしで金魚のフンみたいについて行くだけだったので、今日は自分で考えながら買わないといけない。
 歩きながらメモ帳アプリに書いてきた食材をカゴに入れていく。人参、ジャガイモ、玉ねぎは冷蔵庫に入っているのは確認済み。ハンバーグの付け合わせにブロッコリー、合い挽き肉、パン粉、牛乳、腐らせないように保冷剤も購入した。エコバッグに詰めてマンションまでの十五分の道のりをまた歩く。なかなか重い。人参ジャガイモ玉ねぎの御三家が重く、右手で持ち直し、左手で持ち直しを繰り返しながら歩く。
 美味しく作れるかなぁ、何度も袋を持っていない反対の手でレシピを見ながら歩いていたらあっという間に着いた。


 買ってきた食材を冷蔵庫入れて、コップにコポコポと麦茶を注ぐ。ゴクンと一口、冷たい麦茶が身体の中心をスゥーっと通る。冷たくて気持ちがいい。


「よし! とりあえず漫画よもーっと」


 午前中に読んだBL漫画はそっと折れないように段ボールに戻し、また違うBL漫画を五冊ほど取り出す。今から読めば六時までには読み終わる。そこから夜ご飯の準備をすれば間に合うだろうと考え、両手で大事にBL漫画を抱えてリビングに戻る。


「はぁ……良き」


 深く息を吸い艶めいた溜息が出てしまう。つい漫画に集中すると息をするのも忘れてしまうくらい夢中になってしまう。
 明らかに性格がツンとしている男が受けパターンとかもう最高でしかない。だって普段はクールなくせにエッチする時はトロンと甘えて受けとか尊すぎて……思わずため息が出る。
 

「って、もう六時!? やばいぃぃいい」


 今から準備して八時までに作り終わるか!? 急いで部屋にBL漫画をそっと段ボールにしまう。(急いでいても絶対雑に扱わないのだ!)


「よし! やるぞーっ」


 スマホに昼間検索したハンバーグのレシピを出しエプロンをつけ、手を洗う。準備は万端。


「えぇと、まずは玉ねぎをみじん切り……」


 玉ねぎの皮を剥く。茶色い皮の次に白い部分が見えてくる。でもまだちょっと頭の上部分が緑色だ。もう少し剥いたほうがいいのかな? もう一枚剥いてみる。まだすこーしだけ緑。もう一枚。
 

「な、なんてこった……」


 あろう事か元の玉ねぎの大きさから半分くらいの小ささになってしまった。ギャグ漫画じゃないんだから! って自分にツッコミたくなった。


「ま、まぁ玉ねぎは少なくてもい、いいよね! うん、お肉たっぷりハンバーグだ!」
「うぅ……目ぇ……死んだぁ……」


 玉ねぎのみじん切りの洗礼にやられた。泣きながらちょっと大きめのみじん切りをボウルに移し合い挽き肉と生卵、牛乳を大さじ二杯、パン粉を二十グラム(この前の料理事件の後に計り機や計量スプーンを隆ちゃんがネットでポチってくれた)塩胡椒を少々……少々……


「また、少々って……なんなのよーっ!」


 入れすぎてもしょっぱくなりそうだし、少なすぎても味がしないかもしれないし……


「調べればいいんだ!!!」


 スマホに【塩胡椒 少々 どのくらい】と打ち込み検索する。


「えっと、少々は大体0.3グラムから0.5グラム……」


 また計り機で計るのが難しすぎる量だ。心が折れそうになったけれど、美味しいハンバーグを隆ちゃんに食べて欲しい、よし! と気合いを入れ直して慎重に計り機で計る。


(デジタル計り機で良かったぁ~)


 捏ねて捏ねて捏ねて、ネチョネチョと粘り気のある音になってきた。


「はぁ……もう私って変態なのかも……」


 お肉を捏ねてるだけなのにネチョネチョ音がした途端にドクンと心臓が高鳴り隆ちゃんとのエッチを思い出してしまうなんて……もう変態確定だよ……
 はぁ、と溜息をつきながらパンパンとレシピ通りハンバーグの空気を抜く。
 

「はぁ……ハンバーグ作ってるだけで妄想膨らむとか変態すぎるよね」


 フライパンに油を大さじ二杯いれ火をかける。ゆっくりとハンバーグをフライパンに入れるとジュウと音が鳴る。焼かれているって感じだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...