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ハンバーグで変態な私
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会社から二人で帰ってくるのが当たり前になり、今日は金曜日。玄関のドアを開けるとムワンと蒸し暑い。リビングの窓をガラッと開けるのひんやりと涼しい夕風がカーテンをふわりと舞わせ、部屋の中に誘い込まれるように風が流れ入る。
「じゃあ夜ご飯の準備するから美桜はお風呂の準備お願いな」
「了解でっす」
夜ご飯の準備は基本隆ちゃんになった。何故かって? 火曜日の夜に大事件が起こったからだ。
料理アプリと睨めっこしながら作った豚バラ肉と厚揚げの炒め物。カリカリで黒く焦げる寸前の豚バラ肉、(いや、焦げてたけど)醤油を入れすぎたらしくかなりしょっぱい味付けになった。そして大問題は大根と油揚げの味噌汁だ。うちにはまだ計量スプーンが無かったため適量の味噌の量が分からない! 出汁の量も分からない! 仕方なくこれくらいかな? くらいで入れてみたら味の濃すぎる身体に悪そうな味噌汁が完成した。ちなみに大根もよく煮えてなくて歯応えが凄かった。ボリボリ音を鳴らしながら噛んだ。この日に私の料理センスが壊滅的なことがバレたのだ。多分ハンバーグとか作ったらタワシみたいな物体が出来そうなのが我ながら目に浮かぶ。
それでも美味しいよと隆ちゃんは言ってくれたし、これから上手になっていくよ、と労いの言葉をかけてくれた。けれど一日終わりのご飯は美味しいものが食べたい(自分が)ので、朝ご飯と土日のお昼ご飯は私が作るので、夜ご飯は隆ちゃんにお願いしますと頼んだ。(なんて図々しい嫁だ……)
夜。二日ぶりに彼に身体を隈なく愛された。
(新婚だからって毎日ヤルわけじゃないんです)
ベットでエッチをした時は二人でぐったりと横たわり余韻を楽しむ。よく漫画ではエッチした後に一服とかいって煙草を吸う男性もいるけれど、隆ちゃんは煙草を吸わない。腕枕をしてくれ、汗ばんだ肌をピッタリとくっつける。隆ちゃんの胸に頬を寄せるとドクドクと早い心臓の鼓動を感じられ、子守唄のように安心感からか眠気を誘う。
「……いや、無理だから、っておい、ちょっと」
ぼんやりとした意識の中隆ちゃんの焦っているような声が聞こえた。
ベットからむくりと顔を起こし声の先に視線をうつすと、ドアの近くで少しイラついている雰囲気を漂わせている隆ちゃん。眉間に皺を寄せ、顔が引き攣っている。初めて彼のイラついている表情を見た。
「あ、ごめん。起こしちゃったね」
「ううん、大丈夫だよ。電話大丈夫?」
「あー、それなんだけどさ……」
頭をかきながらバツが悪そうな顔で私を見つめる。何があったのだろうか、分からない、胸がざわつく。
ゆっくりと口が開き、低く重々しい声で「ごめん、明日どうしても行かないと行けない用事が出来ちゃって、指輪買うの来週でもいい?」と、ごめん、と両手を合わせて私に謝る隆ちゃん。
あぁ、そんな事か、と安堵し、特に追求はしなかった。詳しく話さないという事はあまり言いたくないのかな? と思ったから。もしかして浮気? なんて事は特に思わなかった。多分私は少女漫画が好きなくせに乙女心が少し乏しいのか、彼の交友関係とかには特に興味はなくかなりアッサリとした性格だと自分でも自負している。
「別にいいよ、私はいつでも大丈夫だから」
「ごめんな、来週必ず買いに行こう」
隆ちゃんは慰めるように私の頭を優しく撫でる。長くて綺麗な指がスルリと髪をすき、毛繕いされている子猫になったような気分だ。彼の厚い胸にスリスリと頬を寄せたくなる。気持ちが良い。別に約束をドタキャンされたからといって落ち込んでいるわけではないのに、こうして優しくされると心が落ち着く。
彼の温もりに包まれながら、心臓の鼓動を子守唄にゆっくりと目を閉じた。
「じゃあ夜ご飯の準備するから美桜はお風呂の準備お願いな」
「了解でっす」
夜ご飯の準備は基本隆ちゃんになった。何故かって? 火曜日の夜に大事件が起こったからだ。
料理アプリと睨めっこしながら作った豚バラ肉と厚揚げの炒め物。カリカリで黒く焦げる寸前の豚バラ肉、(いや、焦げてたけど)醤油を入れすぎたらしくかなりしょっぱい味付けになった。そして大問題は大根と油揚げの味噌汁だ。うちにはまだ計量スプーンが無かったため適量の味噌の量が分からない! 出汁の量も分からない! 仕方なくこれくらいかな? くらいで入れてみたら味の濃すぎる身体に悪そうな味噌汁が完成した。ちなみに大根もよく煮えてなくて歯応えが凄かった。ボリボリ音を鳴らしながら噛んだ。この日に私の料理センスが壊滅的なことがバレたのだ。多分ハンバーグとか作ったらタワシみたいな物体が出来そうなのが我ながら目に浮かぶ。
それでも美味しいよと隆ちゃんは言ってくれたし、これから上手になっていくよ、と労いの言葉をかけてくれた。けれど一日終わりのご飯は美味しいものが食べたい(自分が)ので、朝ご飯と土日のお昼ご飯は私が作るので、夜ご飯は隆ちゃんにお願いしますと頼んだ。(なんて図々しい嫁だ……)
夜。二日ぶりに彼に身体を隈なく愛された。
(新婚だからって毎日ヤルわけじゃないんです)
ベットでエッチをした時は二人でぐったりと横たわり余韻を楽しむ。よく漫画ではエッチした後に一服とかいって煙草を吸う男性もいるけれど、隆ちゃんは煙草を吸わない。腕枕をしてくれ、汗ばんだ肌をピッタリとくっつける。隆ちゃんの胸に頬を寄せるとドクドクと早い心臓の鼓動を感じられ、子守唄のように安心感からか眠気を誘う。
「……いや、無理だから、っておい、ちょっと」
ぼんやりとした意識の中隆ちゃんの焦っているような声が聞こえた。
ベットからむくりと顔を起こし声の先に視線をうつすと、ドアの近くで少しイラついている雰囲気を漂わせている隆ちゃん。眉間に皺を寄せ、顔が引き攣っている。初めて彼のイラついている表情を見た。
「あ、ごめん。起こしちゃったね」
「ううん、大丈夫だよ。電話大丈夫?」
「あー、それなんだけどさ……」
頭をかきながらバツが悪そうな顔で私を見つめる。何があったのだろうか、分からない、胸がざわつく。
ゆっくりと口が開き、低く重々しい声で「ごめん、明日どうしても行かないと行けない用事が出来ちゃって、指輪買うの来週でもいい?」と、ごめん、と両手を合わせて私に謝る隆ちゃん。
あぁ、そんな事か、と安堵し、特に追求はしなかった。詳しく話さないという事はあまり言いたくないのかな? と思ったから。もしかして浮気? なんて事は特に思わなかった。多分私は少女漫画が好きなくせに乙女心が少し乏しいのか、彼の交友関係とかには特に興味はなくかなりアッサリとした性格だと自分でも自負している。
「別にいいよ、私はいつでも大丈夫だから」
「ごめんな、来週必ず買いに行こう」
隆ちゃんは慰めるように私の頭を優しく撫でる。長くて綺麗な指がスルリと髪をすき、毛繕いされている子猫になったような気分だ。彼の厚い胸にスリスリと頬を寄せたくなる。気持ちが良い。別に約束をドタキャンされたからといって落ち込んでいるわけではないのに、こうして優しくされると心が落ち着く。
彼の温もりに包まれながら、心臓の鼓動を子守唄にゆっくりと目を閉じた。
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