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今日は先週発売した新刊を読む。まだ一度も読んでいないのでドキドキしながらページをめくる。ど定番の幼馴染の関係で、お互い素直になれないケンカップルって最高でしかない。つい顔がニヤニヤしてしまう。
「へぇ、お風呂でヤッてんだ。これは確かにもえるな」
耳に生暖かい吐息が当たる。私のドストライクな低く心地の良い声。もちろんこの声の持ち主は隆ちゃんだ。
「……見た?」
胸元に漫画を伏せる。
「別に隠す必要ないだろ。ご飯の準備出来たから食べよう」
「う、うん……」
なんとなく、エッチしてるシーンを男の人に見られるのってちょっと、いや、かなり恥ずかしい。パタンと漫画を閉じソファーの隅に置き、ダイニングテーブルに移動するとタレが煌びやかに照り、美味しそうな豚の生姜焼きに彩綺麗なキャベツの千切りとミニトマト。ゆらりと湯気が立つ豆腐とワカメの味噌汁とふっくら真っ白な白米が用意されていた。
「わぁ、今日の夜ご飯も凄い美味しそう~」
しっかりと手を合わせて頂きますをし、生姜焼きを一口食べると甘辛い味付けにしっかりと生姜の味が染み込んでいて白米が進む。「すっごい美味しい」と言うと隆ちゃんは「良かった」と目を細めて笑った。私はその顔が大好きだ。
今日の会社での出来事を話す。同僚に朝イチで驚かれて、やたら視線を感じた事。社食で会えるかなぁと思ったけど時間が違った事。そしたら隆ちゃんは社食も最後の方に行ってササっと済ませているらしい。
「本当にずっと働いてるのにやっぱり意識してないと会わないもんだな」
「だね、いつ上司に報告する?」
「来週とかでいいんじゃないか? それよりも土曜日に結婚指輪買いに行きたいんだけど、予定何かある?」
私は婚約指輪を貰っていない。最初に要らないと自分から言ったのだ。隆ちゃんは買うって言い張っていたんだけど、お金が勿体ないし、結婚指輪だけで十分と伝えていた。
「予定はないけど、いいの? 指輪って高いイメージがあるけど……」
「独り身だった三十歳の貯金額なめるなよ~、指輪は美桜が気に入ったやつを買おうな、値段とかは気にしなくて良いから」
「うぅ、隆ちゃん大好き」
「はは、俺も美桜が大好きだよ」
夜ご飯を食べながら何いちゃついてるんだよって側から思われそうだが、自宅に二人だけだから気にする事はない。隆ちゃんの作ってくれた美味しいご飯と、甘い時間を堪能した。
後片付けは私がやる、と言って皿を洗い、ダイニングテーブルの上を布巾で拭く。片付けが終わりソファーでテレビを見ている隆ちゃんの横にストンと座るとグイッと肩を抱かれ彼の胸元に引き寄せられた。驚くよりも嬉しくて、猫のように胸元に擦りつく。
「さっき俺が言った頼み事聞いてくれる?」
「うん、もちろん。何?」
手を引かれソファーから立ち上がり、歩き始める。「こっちきて」と手を引かれるがままにたどり着いた先はお風呂場。も、もしや……と勘づいた時には遅く、バサッと着ていたTシャツを子供を脱がせるようなバンザーイの形で脱がされた。
「ちょっ、隆ちゃん!?」
咄嗟に露わになった胸を両手で隠す。下着を着けていても恥ずかしいものは、恥ずかしい。
「今日は一緒に風呂に入ろっか」
「へぇ!? 本気!?」
「美桜が見てる漫画にも一緒に風呂に入ってるシーンあったじゃん」
「いや、そりゃ、あれは二次元であって、私達は三次元と言いますか……」
「はい、ぐだぐだ言わないで脱いで。それとも他も俺が脱がそうか?」
意地悪な笑みを浮かべてジロリと私を見る。隆ちゃんのドSスイッチが押されてしまったみたいだ。
「じ、自分で脱ぐから! あっち向いててっ」
「はは、じゃあ先に入ってるからな」
なんの恥ずかしげも無くTシャツを徐に脱ぎ、ストンと履いていたハーフパンツをパンツと一緒に脱ぎ捨てる。隆ちゃんのキュッと引き締まったお尻が目に入り、目のやりどころに困る……とか思いながらガン見してしまう変態な自分にビンタしたい。
(な、なんて綺麗なお尻なの……)
そのままスタスタと私にキュッと引き締まったお尻を向けて浴室へと入って行った。なんだか知らぬ間に息を止めていたのか、スゥと息をたっぷり吸い、ハァ~と深く息を吐く。意を決意して残りの服を脱ぎ、悪あがきでフェイスタオルで少しでも身体を隠して浴室のドアを開ける。待ってました、と言わんばかりに隆ちゃんは髪を濡らし、前髪を掻き上げた姿で湯船に浸かって私を見ている。もうお風呂で、濡れた髪の毛を掻き上げてるってシチュエーションだけで死ぬほどキュンとするのに、隆ちゃんは少し紅く火照った頬に濡れた瞳で私をジッと見つめているのだから、ドクン、ドクンと心臓が大きく鳴り止まない。多分私の顔は耳まで真っ赤に染まっていると思う。
「へぇ、お風呂でヤッてんだ。これは確かにもえるな」
耳に生暖かい吐息が当たる。私のドストライクな低く心地の良い声。もちろんこの声の持ち主は隆ちゃんだ。
「……見た?」
胸元に漫画を伏せる。
「別に隠す必要ないだろ。ご飯の準備出来たから食べよう」
「う、うん……」
なんとなく、エッチしてるシーンを男の人に見られるのってちょっと、いや、かなり恥ずかしい。パタンと漫画を閉じソファーの隅に置き、ダイニングテーブルに移動するとタレが煌びやかに照り、美味しそうな豚の生姜焼きに彩綺麗なキャベツの千切りとミニトマト。ゆらりと湯気が立つ豆腐とワカメの味噌汁とふっくら真っ白な白米が用意されていた。
「わぁ、今日の夜ご飯も凄い美味しそう~」
しっかりと手を合わせて頂きますをし、生姜焼きを一口食べると甘辛い味付けにしっかりと生姜の味が染み込んでいて白米が進む。「すっごい美味しい」と言うと隆ちゃんは「良かった」と目を細めて笑った。私はその顔が大好きだ。
今日の会社での出来事を話す。同僚に朝イチで驚かれて、やたら視線を感じた事。社食で会えるかなぁと思ったけど時間が違った事。そしたら隆ちゃんは社食も最後の方に行ってササっと済ませているらしい。
「本当にずっと働いてるのにやっぱり意識してないと会わないもんだな」
「だね、いつ上司に報告する?」
「来週とかでいいんじゃないか? それよりも土曜日に結婚指輪買いに行きたいんだけど、予定何かある?」
私は婚約指輪を貰っていない。最初に要らないと自分から言ったのだ。隆ちゃんは買うって言い張っていたんだけど、お金が勿体ないし、結婚指輪だけで十分と伝えていた。
「予定はないけど、いいの? 指輪って高いイメージがあるけど……」
「独り身だった三十歳の貯金額なめるなよ~、指輪は美桜が気に入ったやつを買おうな、値段とかは気にしなくて良いから」
「うぅ、隆ちゃん大好き」
「はは、俺も美桜が大好きだよ」
夜ご飯を食べながら何いちゃついてるんだよって側から思われそうだが、自宅に二人だけだから気にする事はない。隆ちゃんの作ってくれた美味しいご飯と、甘い時間を堪能した。
後片付けは私がやる、と言って皿を洗い、ダイニングテーブルの上を布巾で拭く。片付けが終わりソファーでテレビを見ている隆ちゃんの横にストンと座るとグイッと肩を抱かれ彼の胸元に引き寄せられた。驚くよりも嬉しくて、猫のように胸元に擦りつく。
「さっき俺が言った頼み事聞いてくれる?」
「うん、もちろん。何?」
手を引かれソファーから立ち上がり、歩き始める。「こっちきて」と手を引かれるがままにたどり着いた先はお風呂場。も、もしや……と勘づいた時には遅く、バサッと着ていたTシャツを子供を脱がせるようなバンザーイの形で脱がされた。
「ちょっ、隆ちゃん!?」
咄嗟に露わになった胸を両手で隠す。下着を着けていても恥ずかしいものは、恥ずかしい。
「今日は一緒に風呂に入ろっか」
「へぇ!? 本気!?」
「美桜が見てる漫画にも一緒に風呂に入ってるシーンあったじゃん」
「いや、そりゃ、あれは二次元であって、私達は三次元と言いますか……」
「はい、ぐだぐだ言わないで脱いで。それとも他も俺が脱がそうか?」
意地悪な笑みを浮かべてジロリと私を見る。隆ちゃんのドSスイッチが押されてしまったみたいだ。
「じ、自分で脱ぐから! あっち向いててっ」
「はは、じゃあ先に入ってるからな」
なんの恥ずかしげも無くTシャツを徐に脱ぎ、ストンと履いていたハーフパンツをパンツと一緒に脱ぎ捨てる。隆ちゃんのキュッと引き締まったお尻が目に入り、目のやりどころに困る……とか思いながらガン見してしまう変態な自分にビンタしたい。
(な、なんて綺麗なお尻なの……)
そのままスタスタと私にキュッと引き締まったお尻を向けて浴室へと入って行った。なんだか知らぬ間に息を止めていたのか、スゥと息をたっぷり吸い、ハァ~と深く息を吐く。意を決意して残りの服を脱ぎ、悪あがきでフェイスタオルで少しでも身体を隠して浴室のドアを開ける。待ってました、と言わんばかりに隆ちゃんは髪を濡らし、前髪を掻き上げた姿で湯船に浸かって私を見ている。もうお風呂で、濡れた髪の毛を掻き上げてるってシチュエーションだけで死ぬほどキュンとするのに、隆ちゃんは少し紅く火照った頬に濡れた瞳で私をジッと見つめているのだから、ドクン、ドクンと心臓が大きく鳴り止まない。多分私の顔は耳まで真っ赤に染まっていると思う。
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