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これって運命なんですか!?

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 ――誰かに呼ばれている気がした。


 重い瞼をうすら開けると明るい光が差し込んでくる。ボーッとした頭でも朝だ、と認識できた。


「美桜、起きな。もう七時になるぞ」


「んん……七時……七時!?」


 ガバッと布団を蹴散らし起き上がると、目の前映し出される神の顔。(神じゃない、隆ちゃんだ)


「あ、そうだった……」


 昨日から一緒に住んでいるんだった。昨日……、ん? 昨日? そういえば夜は隆ちゃんとイチャイチャして、エロエロして……


(き、記憶が途中から消え去っている……)


「隆ちゃん……私昨日……」


「はは、昨日は美桜の気持ち良さそうな寝顔を堪能させてもらったよ、よく眠れた?」


「……ごめんなさい」


「なんで謝るんだよ、俺は嬉しかったけど? 俺の手と舌で気持ち良くなってくれたんだなって。とりあえず朝ご飯出来てるから顔洗っておいで」


 なんの恥じらいもなく言葉にする隆ちゃんに赤面する。


「なっ……まぁそうなんですけど……行ってきます……」


 まるで私は子供だ。朝起こされ、宥められ、言われるがままに顔を洗いに行き、用意されている朝食を食べる。


「隆ちゃん、朝ご飯の準備ありがとうね」


「パン焼いただけだけどな」


 こんがり焼いた食パンにバターがぬられ、ご丁寧に目玉焼きとサラダまで付いている。これのどこがパンを焼いただけなのよ……
 黙々と朝ご飯を頬張り、皿洗いは私がやる! と二人分の食器をささっと洗った。


 その間に隆ちゃんはグレーのスーツに着替えて髪の毛もビシッとヘアワックスでまとめてある。普段はおろしている前髪も出来るサラリーマンみたいに斜めに流していて、眼福。初めて会った時も思ったが隆ちゃんのスーツ姿は本当にそそる。シュルッとネクタイとか緩める所見ちゃったら鼻血出ちゃうかもしれない。


(って、また妄想入っちゃってた……早く準備しなきゃ)


 自室に入り私は水色のブラウスに白のプリーツスカートを合わせた。ドレッサーの前に座り髪の毛をしっかりと梳かす。癖っ毛とかではないのでブラシで梳かすだけでも真っ直ぐな髪の毛には本当に助かっている。けれど巻いてもすぐにストレートに戻ってしまうのはちょっと難点だが。
 日焼け止めをしっかりと塗り薄くファンデーションを塗る。アイメイクはアイラインを睫毛の際にだけ引いてブラウンのシャドウを瞼にのせる。
 眉は黒髪に合わせてダークブラウンの眉マスカラで整え、頬骨にそって薄くチークをのせればナチュラルメイクの完成だ。


「隆ちゃん~、私そろそろ出るけど隆ちゃんは何時に出るの?」


「俺もそろそろ出るよ、今更だけど美桜の会社はどこ? こっから近いのか?」


「うちの会社はこっから歩いて十五分くらいで着くと思うんだけど、ミナモト株式会社って歯科用品店だよ」


「は!? 待って……どこの部署?」


「え、私は経理部だけど、どうかした?」


 目を見開き驚いた顔、かなり焦っているように見える隆ちゃんが、「まじかぁ……」と深い溜息をついた。


「え!? 何!? うちの会社なんかやばいの!?」


「違う違う、俺もミナモトなんだよ、勤めてる会社。っても俺は人事部だけどな」


 ごめんない。本当に驚きました。けれどそれと同時に思ったことがあります。


――こんな漫画みたいな展開リアルにある!?


「えぇ!? ぜんっぜん知らなかった……うちの会社結構大きいから関わらない部署とか結構あるもんね」


 私と隆ちゃんが勤めているミナモト株式会社は歯科用品店の本社だ。関東を中心に各県に営業所が十五カ所ある。
 営業部は歯科医院に医療品や薬剤を納品するのに飛び回るので経費としてよく領収書を持ってくる。なので営業の人達の顔は大体覚えているが、人事部は基本会うことがない。部署の階も経理部は三階、人事部は五階にある。


「人事部っても俺は各県の担当だから本社の人間ってあんまり記憶してないんだよな……まさか知らず知らずに同じ会社の人と結婚するなんて、すげぇとしか言いようがないな」


「だ、だね。じゃあ結婚するって事も上司に一緒に言いに行った方がいいんだよね?」


「社内結婚した人達は皆んなそうしてるしな、籍入れる直前にでも言えばいいんじゃないかな。てかとりあえず家出よう」


 手元の腕時計を見ると八時五分。八時半までに出社しなければならないので、急いでパンプスを履き二人で家を出た。
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