俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

文字の大きさ
上 下
21 / 88

これって運命なんですか!?

しおりを挟む
 ――誰かに呼ばれている気がした。


 重い瞼をうすら開けると明るい光が差し込んでくる。ボーッとした頭でも朝だ、と認識できた。


「美桜、起きな。もう七時になるぞ」


「んん……七時……七時!?」


 ガバッと布団を蹴散らし起き上がると、目の前映し出される神の顔。(神じゃない、隆ちゃんだ)


「あ、そうだった……」


 昨日から一緒に住んでいるんだった。昨日……、ん? 昨日? そういえば夜は隆ちゃんとイチャイチャして、エロエロして……


(き、記憶が途中から消え去っている……)


「隆ちゃん……私昨日……」


「はは、昨日は美桜の気持ち良さそうな寝顔を堪能させてもらったよ、よく眠れた?」


「……ごめんなさい」


「なんで謝るんだよ、俺は嬉しかったけど? 俺の手と舌で気持ち良くなってくれたんだなって。とりあえず朝ご飯出来てるから顔洗っておいで」


 なんの恥じらいもなく言葉にする隆ちゃんに赤面する。


「なっ……まぁそうなんですけど……行ってきます……」


 まるで私は子供だ。朝起こされ、宥められ、言われるがままに顔を洗いに行き、用意されている朝食を食べる。


「隆ちゃん、朝ご飯の準備ありがとうね」


「パン焼いただけだけどな」


 こんがり焼いた食パンにバターがぬられ、ご丁寧に目玉焼きとサラダまで付いている。これのどこがパンを焼いただけなのよ……
 黙々と朝ご飯を頬張り、皿洗いは私がやる! と二人分の食器をささっと洗った。


 その間に隆ちゃんはグレーのスーツに着替えて髪の毛もビシッとヘアワックスでまとめてある。普段はおろしている前髪も出来るサラリーマンみたいに斜めに流していて、眼福。初めて会った時も思ったが隆ちゃんのスーツ姿は本当にそそる。シュルッとネクタイとか緩める所見ちゃったら鼻血出ちゃうかもしれない。


(って、また妄想入っちゃってた……早く準備しなきゃ)


 自室に入り私は水色のブラウスに白のプリーツスカートを合わせた。ドレッサーの前に座り髪の毛をしっかりと梳かす。癖っ毛とかではないのでブラシで梳かすだけでも真っ直ぐな髪の毛には本当に助かっている。けれど巻いてもすぐにストレートに戻ってしまうのはちょっと難点だが。
 日焼け止めをしっかりと塗り薄くファンデーションを塗る。アイメイクはアイラインを睫毛の際にだけ引いてブラウンのシャドウを瞼にのせる。
 眉は黒髪に合わせてダークブラウンの眉マスカラで整え、頬骨にそって薄くチークをのせればナチュラルメイクの完成だ。


「隆ちゃん~、私そろそろ出るけど隆ちゃんは何時に出るの?」


「俺もそろそろ出るよ、今更だけど美桜の会社はどこ? こっから近いのか?」


「うちの会社はこっから歩いて十五分くらいで着くと思うんだけど、ミナモト株式会社って歯科用品店だよ」


「は!? 待って……どこの部署?」


「え、私は経理部だけど、どうかした?」


 目を見開き驚いた顔、かなり焦っているように見える隆ちゃんが、「まじかぁ……」と深い溜息をついた。


「え!? 何!? うちの会社なんかやばいの!?」


「違う違う、俺もミナモトなんだよ、勤めてる会社。っても俺は人事部だけどな」


 ごめんない。本当に驚きました。けれどそれと同時に思ったことがあります。


――こんな漫画みたいな展開リアルにある!?


「えぇ!? ぜんっぜん知らなかった……うちの会社結構大きいから関わらない部署とか結構あるもんね」


 私と隆ちゃんが勤めているミナモト株式会社は歯科用品店の本社だ。関東を中心に各県に営業所が十五カ所ある。
 営業部は歯科医院に医療品や薬剤を納品するのに飛び回るので経費としてよく領収書を持ってくる。なので営業の人達の顔は大体覚えているが、人事部は基本会うことがない。部署の階も経理部は三階、人事部は五階にある。


「人事部っても俺は各県の担当だから本社の人間ってあんまり記憶してないんだよな……まさか知らず知らずに同じ会社の人と結婚するなんて、すげぇとしか言いようがないな」


「だ、だね。じゃあ結婚するって事も上司に一緒に言いに行った方がいいんだよね?」


「社内結婚した人達は皆んなそうしてるしな、籍入れる直前にでも言えばいいんじゃないかな。てかとりあえず家出よう」


 手元の腕時計を見ると八時五分。八時半までに出社しなければならないので、急いでパンプスを履き二人で家を出た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...