俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

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 チンっとグリルの中のお肉と野菜が焼き終わり香ばしい匂いが更に強くなる。適当お味噌汁も完成した。私達はお米の存在をすっかり忘れていたので今日はスーパーで非常用に買っておいたレトルトのご飯早速チンする。明日の仕事帰りに隆ちゃんがお米を買ってきてくれることになったので一安心だ。
 出来た料理をダイニングテーブルに運び向かい合って手を合わせた。


「「頂きます」」


 自分の作った味噌汁には怖くて手をつけられず、まず最初にグリルで焼いた鶏肉と夏野菜。味付けは塩と胡椒だけらしいが、茄子、ズッキーニ、トウモロコシも塩だけなのにしっかりと味が出ていて、それでもって鶏肉も柔らかく、焼き目はこんがりしていて美味しい。「おいしぃ~」とむしゃむしゃ頬張っていたら反対側からの優しい視線にハッと気づき、チラリと見るとまるで母が沢山食べる我が子を微笑ましい表情で見ているような顔をして隆ちゃんは私を見ていた。


「りゅ、隆ちゃん?」


「ん?」


「いや、なんか見られてるような気がして……」


 自意識過剰だったらどうしよう!? と言った後に後悔した。


「はは、見てたよ。だって美桜が凄く美味しそうにたくさん食べてくれるから」


 ふにゃっと笑い味噌汁に手を伸ばす隆ちゃんを私はゴクリと息を呑んでどんな反応をするか恐る恐る彼を見ていた。
 野菜を一口……表情は特に変化なし。そしてお汁を一口……表情に変化は……なしぃぃぃいい!!! 心の中で私は良かったぁ、とガッツポーズを繰り返した。


「味噌汁も美味しくできたな」


 まるで私が味に不安がっていた事がバレていたかのように美味しいと言葉に出して言ってくれた。どうしてこうも彼は私の欲しい言葉ばかりくれるのだろう。私ももっと隆ちゃんの事を知って、彼がその時に欲しがっている言葉を見逃さずに、言葉にしていきたい、そう思った。


 食べ終わった食器類をシンクに二人で並んで洗っていると新婚感が凄くてなんだか照れてしまう。
 隆ちゃんの身体にたまにぶつかる肘は常にドキドキしっぱなしだ。洗っているお皿を落とさないよう気をつけながらも私の身体はずっと高鳴りを止めなかった。



 新居の初めて入るお風呂。ホワイトを基調とした壁は一面だけグレーの石柄、シャワーや洗濯物をかける為のパイプ、タオルかけでさせメタルなのできらびやかで高級感がある。このお風呂は物件を決める時に二人とも凄く気に入った所でもある。
 お風呂の準備もいつの間にかされていて、湯船にたっぷりのお湯がはられていた。シャンプーやリンス、ボディーソープなどは隆ちゃんがあらかじめ用意しておいてくれたものを使う。


(本当何から何まで準備してもらっちゃってる気がする……気がするんじゃなくて、してもらっちゃってるよね)


 シャンプーの香りは隆ちゃんからほんわか香ってくる匂いと一緒で、鼻からも幸せが舞い込んでくる。隆ちゃんと同じ匂い……なんだか少女漫画みたいだなぁ、なんて感動してしまった。
 鏡に映る自分の身体はもう処女じゃなくなったのか、としみじみ眺めてみるが特に見た目は何も変わらない。念入りに身体を洗い、肩までお湯に浸かる。ホッとひと息つくと隆ちゃんとの朝の濃厚な時間を思い出してドクンと心臓が痛くなる。


 愛用している白のワンピースタイプのパジャマを身につけリビングに戻るとソファーでうたた寝をしている隆ちゃんが目に入り、静かに近づき隣に腰を下ろした。
 私に気づき隆ちゃんは優しく目を細める。


「ちゃんと湯船に浸かってきた?」


「うん、次隆ちゃんもどうぞ」


 もそっとソファーから立ち上がり、お風呂に向かっていく。その隙に私は自室に入った。開けた瞬間に香る本の匂いに癒され、とりあえず一冊手に取る。


「はぁ、良き~」


 どんなジャンルも好きだけどやっぱり溺愛系が一番好き。甘い言葉を囁かれてエッチするとか、恋する女性が夢見るシーンと言っても過言ではない。


(こんなイケメンのスパダリに甘々にされたら蕩けちゃうよ~、いや、でも隆ちゃんもイケメンだし、今のところ料理もできてスパダリな気配、いやでも社長とか御曹司ではないし、ぷちスパダリ? かな)
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