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やっぱりここは会社なので求愛禁止です
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「はぁ……」
これは溜息と言ってもうっとり思い出し溜息だ。
初めて自分から松田を求めぶつかり合うようにぐちゃぐちゃに抱かれたあの日をつい思い出しては熱い溜息が出てしまう。
とは言え今は仕事中。新商品の発売がもう目前と迫っているので日々残業、休日出勤に追われていたのであの日から甘い夜を過ごしていない。だからか尚更思い出してしまうのかもしれない。
新商品の文房具は新学期で文具を買い揃える人や、お年玉をもらい自分で買い物をする子供達をターゲットにお正月に発売をする。
とはいえやっと仕事も落ち着いた。マーケティング部は他の部よりは落ち着いた方で営業部なんて帰る暇もないくらい忙しそうだ。正月発売と聞いた時はゾッとしたが年末年始の休みもちゃんとあると聞いてホッとした。
そして今日は待ちに待ったクリスマスディナーの日。残業なんて絶対に避けなければと気合いが入る。
お店は結局誠がオススメしてくれたお店にそのまま予約してある。
あの日以来まだ忙しくて一度も誠とは会えていないが、きっと松田と誠と私、三人で仲良く過ごせるんじゃないかな、と勝手に思っている。
「おい、眉間に皺が寄ってるぞ」
その声と同時に頭上にズシっと重みを感じ上を見上げると、ウシシと笑いながら橅木が私の頭にミルクティーを乗せていた。
「橅木か、ちょっと考え事してたからかな」
私の頭上に乗せていたミルクティーを「はいよ」と私に差し出してくれた。ちょうど疲れて飲みたいなぁと思っていた所だったので「ありがとう」と受け取ろうとした時、横からシュッと物凄い速さでミルクティーが持ち去られた。犯人は明確だ。隣を見るとグビグビと松田が一気にミルクティーを飲み干した。
「ああっ! 私のミルクティー~」
「俺が買ってあげますよ」
「ったく、ミルクティーにまでヤキモチ妬くなよな~」
橅木のツボに入ったのかお腹を抱えながらケラケラ笑っていた。勿論松田の顔は至って真剣な表情だむた。
「水野さん、買いに行きましょう」
「え、あの、ちょ! えっ!?」
ヒラヒラと手を振りながら橅木が「行ってらっしゃーい」と見送る中、私は松田に手を引かれ休憩室に連れ込まれた。
「ちょっと、手を離しなさいっ!」
松田はスッと手を離すとさっきまでのムスッとした表情はどうしたのか、今は満面の笑みでニコニコしている。本当に松田の幼少期は感情が少なかったのだろうか? と思わせるくらい感情の振り幅が凄い。
「真紀、今日のデート楽しみですねっ」
「ちょっ! 誰かに聞かれたらどうするのよ!」
会社で急に名前を呼ばれドキッと嬉しい面もあるが誰かに聞かれたんじゃないかとハラハラしてしまう。
「でも、まぁ……楽しみよ」
喋る音量が周りを気にしてどんどん小さくなってしまう。
松田の耳が私の口元に近づく。
「ん? 聞こえない」
「なっ、だ、だから楽しみって言ったのっ!」
ハハハと笑う松田。これは絶対聞こえてたやつだ……。
「ったく、早く戻って仕事終わらせないとヤバいわよ!」
「はーい、ちゃちゃっと終わらせてラブラブデートしましょうね」
「今言わない!!!」
今日はクリスマスイブ、他の社員も予定がある人が多いのか部内はいつもより殺気立っていて、ゆっくり歩く人はほぼ居ない。殆どの社員が小走りまではいかない速さで歩いている。
もちろん私もその中の一人。
涼子も子供達とクリスマスパーティーをする為に朝から鬼の形相で仕事をこなしている。
これは溜息と言ってもうっとり思い出し溜息だ。
初めて自分から松田を求めぶつかり合うようにぐちゃぐちゃに抱かれたあの日をつい思い出しては熱い溜息が出てしまう。
とは言え今は仕事中。新商品の発売がもう目前と迫っているので日々残業、休日出勤に追われていたのであの日から甘い夜を過ごしていない。だからか尚更思い出してしまうのかもしれない。
新商品の文房具は新学期で文具を買い揃える人や、お年玉をもらい自分で買い物をする子供達をターゲットにお正月に発売をする。
とはいえやっと仕事も落ち着いた。マーケティング部は他の部よりは落ち着いた方で営業部なんて帰る暇もないくらい忙しそうだ。正月発売と聞いた時はゾッとしたが年末年始の休みもちゃんとあると聞いてホッとした。
そして今日は待ちに待ったクリスマスディナーの日。残業なんて絶対に避けなければと気合いが入る。
お店は結局誠がオススメしてくれたお店にそのまま予約してある。
あの日以来まだ忙しくて一度も誠とは会えていないが、きっと松田と誠と私、三人で仲良く過ごせるんじゃないかな、と勝手に思っている。
「おい、眉間に皺が寄ってるぞ」
その声と同時に頭上にズシっと重みを感じ上を見上げると、ウシシと笑いながら橅木が私の頭にミルクティーを乗せていた。
「橅木か、ちょっと考え事してたからかな」
私の頭上に乗せていたミルクティーを「はいよ」と私に差し出してくれた。ちょうど疲れて飲みたいなぁと思っていた所だったので「ありがとう」と受け取ろうとした時、横からシュッと物凄い速さでミルクティーが持ち去られた。犯人は明確だ。隣を見るとグビグビと松田が一気にミルクティーを飲み干した。
「ああっ! 私のミルクティー~」
「俺が買ってあげますよ」
「ったく、ミルクティーにまでヤキモチ妬くなよな~」
橅木のツボに入ったのかお腹を抱えながらケラケラ笑っていた。勿論松田の顔は至って真剣な表情だむた。
「水野さん、買いに行きましょう」
「え、あの、ちょ! えっ!?」
ヒラヒラと手を振りながら橅木が「行ってらっしゃーい」と見送る中、私は松田に手を引かれ休憩室に連れ込まれた。
「ちょっと、手を離しなさいっ!」
松田はスッと手を離すとさっきまでのムスッとした表情はどうしたのか、今は満面の笑みでニコニコしている。本当に松田の幼少期は感情が少なかったのだろうか? と思わせるくらい感情の振り幅が凄い。
「真紀、今日のデート楽しみですねっ」
「ちょっ! 誰かに聞かれたらどうするのよ!」
会社で急に名前を呼ばれドキッと嬉しい面もあるが誰かに聞かれたんじゃないかとハラハラしてしまう。
「でも、まぁ……楽しみよ」
喋る音量が周りを気にしてどんどん小さくなってしまう。
松田の耳が私の口元に近づく。
「ん? 聞こえない」
「なっ、だ、だから楽しみって言ったのっ!」
ハハハと笑う松田。これは絶対聞こえてたやつだ……。
「ったく、早く戻って仕事終わらせないとヤバいわよ!」
「はーい、ちゃちゃっと終わらせてラブラブデートしましょうね」
「今言わない!!!」
今日はクリスマスイブ、他の社員も予定がある人が多いのか部内はいつもより殺気立っていて、ゆっくり歩く人はほぼ居ない。殆どの社員が小走りまではいかない速さで歩いている。
もちろん私もその中の一人。
涼子も子供達とクリスマスパーティーをする為に朝から鬼の形相で仕事をこなしている。
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