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嫉妬に狂いそうなんです 松田side
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無理矢理聞くよりも彼女から話をしてくれるのを少しだけ待つ事にした。
きっと恥ずかしがり屋の彼女の事だから中々言い出さないかもしれない。だから少しだけ待つ。
お互い無言でうどんをすする音だけが部屋に響く。
食べ終わり食器を片している間は彼女に生姜入りの紅茶を出し、ソファーでくつろいでいてもらった。少しでも心が落ち着いてくれる事を祈って紅茶を入れたつもりだ。
「もう遅いし、今日は泊まって行きますか? その方が俺も嬉しいし」
「あ~……でも替えの下着とか無いし、今日はもう少ししたら帰るわ、急に押しかけてごめんね」
本人は元気そうに話しているつもりなのかもしれないが明らかに何かを隠し抱えている。
その抱えている何かが晴れてくれるまで彼女の側を一瞬たりとも離れたくない。
「下着は今から洗えば朝までに乾くし、スーツはシワにならないようにハンガーにかけてあるし、あー、ストッキングは今すぐにでもコンビニで買ってきますから、泊まってください!」
「あ……はい……」
そうと決まれば即座に行動。流石に俺が下着を洗うのは嫌だと言われ彼女が自分で洗うと洗面所に籠った。
その間に俺は走ってコンビニに駆け込んでストッキングをレジまで持って行った。
ハァハァと息を切らしながら女物のストッキングを買おうとしておる男、店員さんから物凄い変態を見るような目で見られたがそんなの気にならない。ピッとバーコード決済で瞬殺で会計を済まし走ってアパートに戻った。
俺はこの寒い季節に一人全力疾走で汗をかいていた。
「真紀! 買ってきたから明日の心配はないよ!」
「あ、ありがとう」
冷蔵庫を開けミネラルウォータをゴクゴクと一気に飲み干した。
ふとお酒が目に入り少しアルコールが入った方が彼女が素直になりやすいかな? と思いお酒を進めてみた。「飲む」と頷くので冷やしておいた缶チューハイを二本冷蔵庫から取り出し彼女に手渡した。
「これ飲んだらゆっくり寝ましょうね」
プシュッと缶を開け軽くカチンと乾杯をする。
全力で走ったからか、お酒が美味い。
彼女は両手で缶を包み込むように持ち、何かを考えているのかボーッと一点を見つめている。
特に声はかけずにただ彼女の肩に手を伸ばし自分の方に抱き寄せた。
「あのさ……聞きたい事があるんだけど、聞いてもいい?」
声を振り絞って話してくれたのか、小さい声で彼女は話し始めた。
もちろん俺は「なんでも聞いて下さい」と返事を返した。
「じゃ、じゃあ聞くんだけど……私の事いつから好きなの? 入社した日から……だよね?」
ん? 俺が真紀の事を好きって事をもしかして信じ切れていないとかか?
確かに出会い頭にキスをしてしまったしな……
「あー……、ん、まぁ真紀に好きだと伝えたのは入社したその日だったんですけど、その……これから言う事、聞いて嫌いにならないでくださいね……」
「もちろん」
彼女と同じ会社にやっと入社できて、すぐに告白した。その時にちゃんと言えばよかったのかもしれない。でも本当に些細な事で彼女はきっと覚えてないだろう、それが怖くて言えなかった。
それでも今彼女がこんなにも不安に押しつぶされそうになっているのなら、俺のプライドなんでどうでもいい。
「……じゃあ言っちゃいますと、俺が真紀の事を好きなのは八年前、まだ俺が高校生だった時からです
」
「……え? だって会ったことないわよね?」
キョトンと驚いた顔で俺を見つめている。訳の分からない俺の話に動揺しているのだろう。やはり覚えていなさそうな反応だ。
覚えていないとわかっていても、いざ本人に覚えてない反応を取られると凹む。
彼女の手を取り寝室に連れてきた。ここにずっと彼女に隠していたものを置いてある。
本当はずっと言うつもりはなかった。俺にとっては人生を左右するほどの大きな出来事だったが、彼女にとっては記憶の片隅にも残ってないほど些細な出来事だったのだから。
それでも彼女が不安になっている今こそ、俺の事を知りたがってくれている今こそ話すべきなのかもしれない。
八年前の本当に些細な出来事を。
きっと恥ずかしがり屋の彼女の事だから中々言い出さないかもしれない。だから少しだけ待つ。
お互い無言でうどんをすする音だけが部屋に響く。
食べ終わり食器を片している間は彼女に生姜入りの紅茶を出し、ソファーでくつろいでいてもらった。少しでも心が落ち着いてくれる事を祈って紅茶を入れたつもりだ。
「もう遅いし、今日は泊まって行きますか? その方が俺も嬉しいし」
「あ~……でも替えの下着とか無いし、今日はもう少ししたら帰るわ、急に押しかけてごめんね」
本人は元気そうに話しているつもりなのかもしれないが明らかに何かを隠し抱えている。
その抱えている何かが晴れてくれるまで彼女の側を一瞬たりとも離れたくない。
「下着は今から洗えば朝までに乾くし、スーツはシワにならないようにハンガーにかけてあるし、あー、ストッキングは今すぐにでもコンビニで買ってきますから、泊まってください!」
「あ……はい……」
そうと決まれば即座に行動。流石に俺が下着を洗うのは嫌だと言われ彼女が自分で洗うと洗面所に籠った。
その間に俺は走ってコンビニに駆け込んでストッキングをレジまで持って行った。
ハァハァと息を切らしながら女物のストッキングを買おうとしておる男、店員さんから物凄い変態を見るような目で見られたがそんなの気にならない。ピッとバーコード決済で瞬殺で会計を済まし走ってアパートに戻った。
俺はこの寒い季節に一人全力疾走で汗をかいていた。
「真紀! 買ってきたから明日の心配はないよ!」
「あ、ありがとう」
冷蔵庫を開けミネラルウォータをゴクゴクと一気に飲み干した。
ふとお酒が目に入り少しアルコールが入った方が彼女が素直になりやすいかな? と思いお酒を進めてみた。「飲む」と頷くので冷やしておいた缶チューハイを二本冷蔵庫から取り出し彼女に手渡した。
「これ飲んだらゆっくり寝ましょうね」
プシュッと缶を開け軽くカチンと乾杯をする。
全力で走ったからか、お酒が美味い。
彼女は両手で缶を包み込むように持ち、何かを考えているのかボーッと一点を見つめている。
特に声はかけずにただ彼女の肩に手を伸ばし自分の方に抱き寄せた。
「あのさ……聞きたい事があるんだけど、聞いてもいい?」
声を振り絞って話してくれたのか、小さい声で彼女は話し始めた。
もちろん俺は「なんでも聞いて下さい」と返事を返した。
「じゃ、じゃあ聞くんだけど……私の事いつから好きなの? 入社した日から……だよね?」
ん? 俺が真紀の事を好きって事をもしかして信じ切れていないとかか?
確かに出会い頭にキスをしてしまったしな……
「あー……、ん、まぁ真紀に好きだと伝えたのは入社したその日だったんですけど、その……これから言う事、聞いて嫌いにならないでくださいね……」
「もちろん」
彼女と同じ会社にやっと入社できて、すぐに告白した。その時にちゃんと言えばよかったのかもしれない。でも本当に些細な事で彼女はきっと覚えてないだろう、それが怖くて言えなかった。
それでも今彼女がこんなにも不安に押しつぶされそうになっているのなら、俺のプライドなんでどうでもいい。
「……じゃあ言っちゃいますと、俺が真紀の事を好きなのは八年前、まだ俺が高校生だった時からです
」
「……え? だって会ったことないわよね?」
キョトンと驚いた顔で俺を見つめている。訳の分からない俺の話に動揺しているのだろう。やはり覚えていなさそうな反応だ。
覚えていないとわかっていても、いざ本人に覚えてない反応を取られると凹む。
彼女の手を取り寝室に連れてきた。ここにずっと彼女に隠していたものを置いてある。
本当はずっと言うつもりはなかった。俺にとっては人生を左右するほどの大きな出来事だったが、彼女にとっては記憶の片隅にも残ってないほど些細な出来事だったのだから。
それでも彼女が不安になっている今こそ、俺の事を知りたがってくれている今こそ話すべきなのかもしれない。
八年前の本当に些細な出来事を。
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