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お詫びデート
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歩きながら次のエリアに向かう。
水系ゾーンや草原ゾーンにもたくさんの動物がいて私も松田も終始テンションが上がりっぱなしだ。
特にライオンを見た時の迫力が凄かった。
ちょうど餌の時間と被り生肉を引きちぎるようにして食べているライオンときたら物凄い迫力だ。
子供の頃見て怖いと思った記憶が蘇ったが、大人になった今も間近で見ると怖ものだ。
「そろそろお昼にしましょうか、館内のレストランでいいですか?」
「もんろん、結構歩いたからお腹ぺこぺこよ」
「……ぺこぺこって、水野さんって本当急に可愛い事言うよな」
「は、はあ!? 何言ってんのよ!」
スッと私の左手が松田の右手に絡め取られた。
「なっ、ちょっと!」
「レストランまでの少しの距離だけならいいですよね? お詫びデートだし?」
「くっ……」
私が断れないようにお詫びデートと主張してくる当たりが策士だなと思わせる。
それでも繋いだ手は全く違和感がなく、レストランまでの時間が短く感じてしまった私はどうかしてきるのだろうか。
レストランの中に入ると店員さんが席まで案内してくれ、向かい合って席に座る。メニューを開くと動物園らしいキャラクターのランチセットがズラリと書かれていて、一番安易そうなトラカレーを私は頼み、松田はクマバーグセットを注文した。
お昼時で混んでいるのもありなかなか料理が来なかったが、松田と見てきた動物の話で盛り上がりあっという間に料理が運ばれてきた気がした。
「お待たせ致しました、トラカレーとクマバークセットになります」
運ばれきたトラカレーは黄色いご飯で虎の顔を作り、周りにカレーが流れている。まあ、予想できた見た目だ。クマバーグも勿論熊の形のハンバーグに付け合わせのポテトとにんじんグラッセ、ブロッコリーとこちらも予想通りの見た目だった。
「……水野さん……なんて残酷な……」
「んなっ、カレーなんだから仕方ないでしょ!」
「はは、ですよね、俺もグサッと食べちゃいます」
ペロリと二人とも平げ、食後に松田はブラックコーヒー、私はミルクティーを頼みもう少し休憩してから残りのエリアを見て回ることにした。
「今日は凄い楽しいですね」
「え、ん、まぁ思ったよりは楽しかったわ……」
「良かった、今日は夜までデートですよ?」
「え!? 夜までなの!? 長すぎ」
「だって、お詫びデートでしょ?」
「ったく……分かったわよ」
ニコニコと「それでよろしい」と満足気な松田。
でも本当に楽しいのは事実だ。松田といると素でいられると言うか……なんとも言えないこの感じ。この気持ちを言葉にするならなんだろうか。よく分からない。
残るモンキーゾーンとふれあいコーナー。モンキーゾーンではゴリラとチンパンジー、色々な種類の猿、そして群れで生活するニホンザルをぐるっと一周し、見た。そう言えば昔ゴリラ女子とか言う言葉を聞いた覚えがある。イケメンゴリラが好きな女子のことを言っていたらしいが、私はゴリラを見てもイケメン……とは思えなかった。
「水野さんっ、うさぎ触れるってよ」
私に触れるよと言ってくるが確実に松田自身の方が触りたくてウズウズしているとが見てわかる。
「先に松田君触ってみてよ」
パァと顔を明るくしうさぎをそっと持ち上げ、こちらにゆっくりと進んでくる。
「めっちゃフワフワですよ、水野さんも触って見て」
恐る恐る手を伸ばしそっと触ってみるとフワフワで暖かく気持ちがいい。
「……フワフワ」
「でしょ!! 餌もあげたいなぁ」
そっとうさぎを下ろし、「ちょっと待っててください」と松田は急いでどこかに向かって行った。
走って戻ってきた松田の両手には野菜の山。動物達にあげる餌を買ってきたのだ。
「はい! 水野さんも一緒に!」
「あ、ありがとう」
早速買ってきた野菜のスティックを先程のうさぎに食べさせると、カリカリと少しずつ食べているのが可愛くて思わず写真を撮った。
「可愛いですね」
「本当ね……」
松田が沢山買ってきた野菜の山はあっという間にあげ終わってしまったのでそろそろ帰る事にした。
時刻は午後三時。松田の車に乗り込み動物園を後にする。
「このまま行きたい場所があるんで向かっちゃっていいですか?」
「え、いいけど、次はどこに行こうとしてるの?」
「俺ん家です」
「ふーん、松田君家ね、……松田君家!?」
「そう、俺ん家」
「いやいやいやいや、行きません!!」
いきなり男の家に行くとかハードルが高すぎる。
ましてや要注意人物男。松田の家に入ったらどうなるか分からない。さっきのライオンみたいに、た、食べられちゃうかも……
「でも俺もう夜ご飯の下拵えとかしてきてるし、美味しいワインも用意してるのになー」
「……夜ご飯に、ワイン……」
「そう、アヒージョとか作って水野さんをおもてなししようと思ってたのになー」
「くっ……」
なんたる誘惑。美味しそうな夜ご飯にワインのセット。食べたい……飲みたい……
「来ない?」
(そんな残念そうな顔で……こ、子犬か……この男は子犬なのか……)
「……行く」
食欲に負けた、そう食欲に負けたのだ……仕方ない。
人間の三代欲求の一つなんだから。うん、仕方ない。
水系ゾーンや草原ゾーンにもたくさんの動物がいて私も松田も終始テンションが上がりっぱなしだ。
特にライオンを見た時の迫力が凄かった。
ちょうど餌の時間と被り生肉を引きちぎるようにして食べているライオンときたら物凄い迫力だ。
子供の頃見て怖いと思った記憶が蘇ったが、大人になった今も間近で見ると怖ものだ。
「そろそろお昼にしましょうか、館内のレストランでいいですか?」
「もんろん、結構歩いたからお腹ぺこぺこよ」
「……ぺこぺこって、水野さんって本当急に可愛い事言うよな」
「は、はあ!? 何言ってんのよ!」
スッと私の左手が松田の右手に絡め取られた。
「なっ、ちょっと!」
「レストランまでの少しの距離だけならいいですよね? お詫びデートだし?」
「くっ……」
私が断れないようにお詫びデートと主張してくる当たりが策士だなと思わせる。
それでも繋いだ手は全く違和感がなく、レストランまでの時間が短く感じてしまった私はどうかしてきるのだろうか。
レストランの中に入ると店員さんが席まで案内してくれ、向かい合って席に座る。メニューを開くと動物園らしいキャラクターのランチセットがズラリと書かれていて、一番安易そうなトラカレーを私は頼み、松田はクマバーグセットを注文した。
お昼時で混んでいるのもありなかなか料理が来なかったが、松田と見てきた動物の話で盛り上がりあっという間に料理が運ばれてきた気がした。
「お待たせ致しました、トラカレーとクマバークセットになります」
運ばれきたトラカレーは黄色いご飯で虎の顔を作り、周りにカレーが流れている。まあ、予想できた見た目だ。クマバーグも勿論熊の形のハンバーグに付け合わせのポテトとにんじんグラッセ、ブロッコリーとこちらも予想通りの見た目だった。
「……水野さん……なんて残酷な……」
「んなっ、カレーなんだから仕方ないでしょ!」
「はは、ですよね、俺もグサッと食べちゃいます」
ペロリと二人とも平げ、食後に松田はブラックコーヒー、私はミルクティーを頼みもう少し休憩してから残りのエリアを見て回ることにした。
「今日は凄い楽しいですね」
「え、ん、まぁ思ったよりは楽しかったわ……」
「良かった、今日は夜までデートですよ?」
「え!? 夜までなの!? 長すぎ」
「だって、お詫びデートでしょ?」
「ったく……分かったわよ」
ニコニコと「それでよろしい」と満足気な松田。
でも本当に楽しいのは事実だ。松田といると素でいられると言うか……なんとも言えないこの感じ。この気持ちを言葉にするならなんだろうか。よく分からない。
残るモンキーゾーンとふれあいコーナー。モンキーゾーンではゴリラとチンパンジー、色々な種類の猿、そして群れで生活するニホンザルをぐるっと一周し、見た。そう言えば昔ゴリラ女子とか言う言葉を聞いた覚えがある。イケメンゴリラが好きな女子のことを言っていたらしいが、私はゴリラを見てもイケメン……とは思えなかった。
「水野さんっ、うさぎ触れるってよ」
私に触れるよと言ってくるが確実に松田自身の方が触りたくてウズウズしているとが見てわかる。
「先に松田君触ってみてよ」
パァと顔を明るくしうさぎをそっと持ち上げ、こちらにゆっくりと進んでくる。
「めっちゃフワフワですよ、水野さんも触って見て」
恐る恐る手を伸ばしそっと触ってみるとフワフワで暖かく気持ちがいい。
「……フワフワ」
「でしょ!! 餌もあげたいなぁ」
そっとうさぎを下ろし、「ちょっと待っててください」と松田は急いでどこかに向かって行った。
走って戻ってきた松田の両手には野菜の山。動物達にあげる餌を買ってきたのだ。
「はい! 水野さんも一緒に!」
「あ、ありがとう」
早速買ってきた野菜のスティックを先程のうさぎに食べさせると、カリカリと少しずつ食べているのが可愛くて思わず写真を撮った。
「可愛いですね」
「本当ね……」
松田が沢山買ってきた野菜の山はあっという間にあげ終わってしまったのでそろそろ帰る事にした。
時刻は午後三時。松田の車に乗り込み動物園を後にする。
「このまま行きたい場所があるんで向かっちゃっていいですか?」
「え、いいけど、次はどこに行こうとしてるの?」
「俺ん家です」
「ふーん、松田君家ね、……松田君家!?」
「そう、俺ん家」
「いやいやいやいや、行きません!!」
いきなり男の家に行くとかハードルが高すぎる。
ましてや要注意人物男。松田の家に入ったらどうなるか分からない。さっきのライオンみたいに、た、食べられちゃうかも……
「でも俺もう夜ご飯の下拵えとかしてきてるし、美味しいワインも用意してるのになー」
「……夜ご飯に、ワイン……」
「そう、アヒージョとか作って水野さんをおもてなししようと思ってたのになー」
「くっ……」
なんたる誘惑。美味しそうな夜ご飯にワインのセット。食べたい……飲みたい……
「来ない?」
(そんな残念そうな顔で……こ、子犬か……この男は子犬なのか……)
「……行く」
食欲に負けた、そう食欲に負けたのだ……仕方ない。
人間の三代欲求の一つなんだから。うん、仕方ない。
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