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マーケティング部
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私の勤めている会社は文房具会社だ。新商品の企画をし、生産、そして営業で各取引先の店頭に並べている。
私の所属している部署はマーケティング部、全員で二十五名だ。
年齢層は大体二十代から四十代。
その中でさらに五人のチームに別れ企画を進めて行き、最終的に決まった案件を全員で進めて行く。
最近はチームリーダーも任される事が多くなり、
年下だから、女だからって舐められないよう今までプライベートも犠牲にして仕事に打ち込んできた甲斐あって大きな仕事も任されるようになった。
ここで恋愛なんかにうつつ抜かして仕事を疎かにするなんてもっての外だ。
「じゃあ三日後までに新しいマーケティング案を各チーム一つは出すこと、宜しくお願いします」
部長の少しピリッとした声で全員のヤル気スイッチが入る。
「「はい」」
返事と共に皆んなチーム毎にバラけて仕事を始める。
チームワークはかなり良い方だと思う。
こんな部にしてくれたのは紛れもなく島田部長のお陰だろう。
新人の松田を教えながら新しい企画を出し合い話し合いを進めていたらあっという間に定時時刻の十七時半になっていた。
企画が決まり忙しくなってくるともちろん残業も続く事が多くなるが、今の時期は基本定時で上がるようにしている。
これも会社の方針だ。
プライベートも充実させる事が仕事へのモチベーションを上げることに繋がるらしい。
とはいえ開発や、新発売の時期が近くなると残業の連続だ。
マーケティング部の殆どの社員が帰ったのに、何故か私の隣のデスクにはまだ松田が居る。
「あの、松田君、もう定時だから帰って大丈夫よ?」
「水野さんが帰るのを待ってるんですよ」
「はい?」
「一緒に帰りましょう?」
デスクの上に頭を乗せ私の方をフニャっとした笑顔で見つめてくる。
「私はまだ仕事が残ってるから帰らないので」
「じゃあ待ってますよ」
「いや、結構です、早く帰りなさい」
「冷たいなぁ、入社初日で色々聞きたい事があったのに」
残念と分かりやすく表情にでている。
けれど仕事以外ではこの男はかなりの要注意人物だ。むやみに近寄るなんて自分から獣のいる危険地帯に踏み込んでいるのと同じだろう。
仕事以外では冷たくあしらう事にした。松田の方を見ずに「お疲れ様でした」と言いキーボードを打ち続けた。
「……じゃあ今日の所は帰ります、お疲れ様でした」
コツコツと真新しい革靴の足音が遠のいて行く。
「さぁて、あと少し終わらしちゃおう」
グッと背筋を伸ばし、自分に気合いを入れ直して十九時にはなんとか終わった。
一番最後だったのでフロアの電気を全て消し会社を出た。
外に出ると少し肌寒く、もうすぐ夏が終わるのを肌で感じる。
そんな空気を堪能しながら駅まで歩く。
自宅は会社の最寄り駅から三駅、駅から徒歩五分の1LDKのアパート。
言うまでもなく一人暮らしだ。
「ただいま……」
誰の返事もない家でもつい言ってしまう。
スーツのままドサっとベットに寝転ぶ。今日はいつもの数倍疲れた。
ふと自分の唇にそっと人差し指を当てる。
まだ少し松田の柔らかい唇の感触が残っているような気がした。
(昼間のあれ……本気なのかな……)
重い腰を無理やり起こしスーツを脱ぎ開放感に溢れる。
そのままお風呂に入り、適当に冷蔵庫からご飯と昨日の残り物の肉じゃがを電子レンジで温めて食べる。
我ながらこんな姿誰にも見せられない……
ささっと食べお皿を洗い歯磨きを済ませ、あっという間に夜の二十二時。
ベットに入り明日の予定を頭の中で確認する。
(松田君……明日は何も起きませんように……)
祈りながらいつの間にか寝落ちていた。
私の所属している部署はマーケティング部、全員で二十五名だ。
年齢層は大体二十代から四十代。
その中でさらに五人のチームに別れ企画を進めて行き、最終的に決まった案件を全員で進めて行く。
最近はチームリーダーも任される事が多くなり、
年下だから、女だからって舐められないよう今までプライベートも犠牲にして仕事に打ち込んできた甲斐あって大きな仕事も任されるようになった。
ここで恋愛なんかにうつつ抜かして仕事を疎かにするなんてもっての外だ。
「じゃあ三日後までに新しいマーケティング案を各チーム一つは出すこと、宜しくお願いします」
部長の少しピリッとした声で全員のヤル気スイッチが入る。
「「はい」」
返事と共に皆んなチーム毎にバラけて仕事を始める。
チームワークはかなり良い方だと思う。
こんな部にしてくれたのは紛れもなく島田部長のお陰だろう。
新人の松田を教えながら新しい企画を出し合い話し合いを進めていたらあっという間に定時時刻の十七時半になっていた。
企画が決まり忙しくなってくるともちろん残業も続く事が多くなるが、今の時期は基本定時で上がるようにしている。
これも会社の方針だ。
プライベートも充実させる事が仕事へのモチベーションを上げることに繋がるらしい。
とはいえ開発や、新発売の時期が近くなると残業の連続だ。
マーケティング部の殆どの社員が帰ったのに、何故か私の隣のデスクにはまだ松田が居る。
「あの、松田君、もう定時だから帰って大丈夫よ?」
「水野さんが帰るのを待ってるんですよ」
「はい?」
「一緒に帰りましょう?」
デスクの上に頭を乗せ私の方をフニャっとした笑顔で見つめてくる。
「私はまだ仕事が残ってるから帰らないので」
「じゃあ待ってますよ」
「いや、結構です、早く帰りなさい」
「冷たいなぁ、入社初日で色々聞きたい事があったのに」
残念と分かりやすく表情にでている。
けれど仕事以外ではこの男はかなりの要注意人物だ。むやみに近寄るなんて自分から獣のいる危険地帯に踏み込んでいるのと同じだろう。
仕事以外では冷たくあしらう事にした。松田の方を見ずに「お疲れ様でした」と言いキーボードを打ち続けた。
「……じゃあ今日の所は帰ります、お疲れ様でした」
コツコツと真新しい革靴の足音が遠のいて行く。
「さぁて、あと少し終わらしちゃおう」
グッと背筋を伸ばし、自分に気合いを入れ直して十九時にはなんとか終わった。
一番最後だったのでフロアの電気を全て消し会社を出た。
外に出ると少し肌寒く、もうすぐ夏が終わるのを肌で感じる。
そんな空気を堪能しながら駅まで歩く。
自宅は会社の最寄り駅から三駅、駅から徒歩五分の1LDKのアパート。
言うまでもなく一人暮らしだ。
「ただいま……」
誰の返事もない家でもつい言ってしまう。
スーツのままドサっとベットに寝転ぶ。今日はいつもの数倍疲れた。
ふと自分の唇にそっと人差し指を当てる。
まだ少し松田の柔らかい唇の感触が残っているような気がした。
(昼間のあれ……本気なのかな……)
重い腰を無理やり起こしスーツを脱ぎ開放感に溢れる。
そのままお風呂に入り、適当に冷蔵庫からご飯と昨日の残り物の肉じゃがを電子レンジで温めて食べる。
我ながらこんな姿誰にも見せられない……
ささっと食べお皿を洗い歯磨きを済ませ、あっという間に夜の二十二時。
ベットに入り明日の予定を頭の中で確認する。
(松田君……明日は何も起きませんように……)
祈りながらいつの間にか寝落ちていた。
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