アイポーツと幸福な処刑場

Onfreound

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誠情

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 人には個性というものがある。人だけでは無い、世の中のあらゆるものにはそれぞれ固有の特徴がある。
 
 私はある模範的な考えを強制する今の世界が大嫌いだ。どうして祭りを楽しまなければならないのか、どうしてクラスのみんなは仲良くないといけないのか、どうして悩みや不安を抱えて続けることが悪いことであるのか。

 人は本音を捨て、世間の基準に自らの感性を押さえつけさせている。そんなの間違いだ。


 親は俗に言う古い考えの持ち主で、私の前では抵抗する自由どころか、弱音も吐かせてくれない程厳しい教育をしていた。

 少しでもミスをすればすぐに拳と罵倒が飛んでくる。そんな扱いでは何にも言えるはずがない。

 とある深夜、異常な吐き気と腹痛で目を覚ましてしまった私は、ふらふらとトイレに向かった。

 着くと、顔を便座に伏せ爆睡する母がいた。

 私は少なくとも数年親の深夜の様子を見ていなかった。だからその姿が彼女にとって普通なのかどうかわからない。

 そして、彼女に声をかけたりして"リスク"を背負うことは、当時の幼い私は避けるべきだと判断した。

 自分の好判断に、自然と笑顔になってしまう。
 
 そのまま帰ろうかと振り返ろうとすると、ベランダに家を出ていこうとする人影が見えた。

 外から風が入り込み、止まる。

 
 気づけば、「いってらっしゃいませ」と声を発していた。
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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.11 花雨

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