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EP3
#47
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「ちょっと!またぼけーっとしてるわよ!」
「...そんなに僕のことが気になるか?恥ずかしいわ」
2度もお叱りを受ける気は無かったのだが、それほど衝撃的な事があったのだから仕方ない。
当然、黒瀬が自ら人前に出るところを見た事はない。だが、それ以上に、僕自身が1度もしてない事、それも嫌がっていた事を彼女がやろうとしているという事実の異様さに戸惑っていた。
黒瀬は僕を参考にしていた筈だった。少なくとも、僕が拒絶した行動をやる事はまず無かった。
「...僕が逃げたとき、追いかけて来なかったみたいにな」
榮子達と会ったとき、というか新入生歓迎会以来、彼女と言葉を交わしはしても、以前の様な会話は出来ていない。目は逸らされ、口調の暗さも戻っていない。それでも毎朝のバスでは隣に座ってくるから、関係自体は変わってないのだと思っていたのだが。
まぁ何であれ、結果的に彼女が僕を頼らないと決めたのなら、僕の望みが叶った訳だから、喜ばしい話の筈だった。
「口説いてんの?気持ち悪いわよ。アンタこそアタシに構われたくてふざけてるのかしら?」
色々と考えている目の前で、瑠璃垣は喧嘩を売っているようだ。しかし、こいつよりずっと理不尽な奴と戦ってきた経験のお陰か、まともな指摘に聞こえてしまう。
「はぁ...そういう事だったの?ただでさえ冴えない顔してんのに、抜けているところ見せてモテる訳無いでしょ?」
言い返さずに眺めていると、ここぞとばかりに挑発してくる。動機は間違っているが、僕の評価としては正しいかもしれない。
その思いを共有する為、机からプリントを取り出す。
「そうだな。お前も予算を2桁増しで書いたり、靴下が反対だったりしてもモテないからやめとけよ」
「はぇっ!?...あ、アンタねぇ...」
しょうもない粗探しのスキルが活きる。
色々と気にしてしまうのだ。黒瀬の事だって、僕が考える理由も道理もありはしないのに。
「...そんなに僕のことが気になるか?恥ずかしいわ」
2度もお叱りを受ける気は無かったのだが、それほど衝撃的な事があったのだから仕方ない。
当然、黒瀬が自ら人前に出るところを見た事はない。だが、それ以上に、僕自身が1度もしてない事、それも嫌がっていた事を彼女がやろうとしているという事実の異様さに戸惑っていた。
黒瀬は僕を参考にしていた筈だった。少なくとも、僕が拒絶した行動をやる事はまず無かった。
「...僕が逃げたとき、追いかけて来なかったみたいにな」
榮子達と会ったとき、というか新入生歓迎会以来、彼女と言葉を交わしはしても、以前の様な会話は出来ていない。目は逸らされ、口調の暗さも戻っていない。それでも毎朝のバスでは隣に座ってくるから、関係自体は変わってないのだと思っていたのだが。
まぁ何であれ、結果的に彼女が僕を頼らないと決めたのなら、僕の望みが叶った訳だから、喜ばしい話の筈だった。
「口説いてんの?気持ち悪いわよ。アンタこそアタシに構われたくてふざけてるのかしら?」
色々と考えている目の前で、瑠璃垣は喧嘩を売っているようだ。しかし、こいつよりずっと理不尽な奴と戦ってきた経験のお陰か、まともな指摘に聞こえてしまう。
「はぁ...そういう事だったの?ただでさえ冴えない顔してんのに、抜けているところ見せてモテる訳無いでしょ?」
言い返さずに眺めていると、ここぞとばかりに挑発してくる。動機は間違っているが、僕の評価としては正しいかもしれない。
その思いを共有する為、机からプリントを取り出す。
「そうだな。お前も予算を2桁増しで書いたり、靴下が反対だったりしてもモテないからやめとけよ」
「はぇっ!?...あ、アンタねぇ...」
しょうもない粗探しのスキルが活きる。
色々と気にしてしまうのだ。黒瀬の事だって、僕が考える理由も道理もありはしないのに。
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