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Side Story
#41
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目が覚めると知らない男が2人。久々の夢は、非常に理解の難しい状況から始まった。
片方は、もはや前時代感のある派手な衣装に身を包み、ピアスと化粧をしたチャラ男。外見へのこだわりは伝わってくるが、その姿に弱々しい顔が追いつかず、ただダサいだけの人間になっている。
もう片方はネクタイの曲がったスーツを着ており、寝癖が跳ね、薄く髭の生えた不潔そうなサラリーマン。しかし何より目を惹くのは、社会人らしい服装なのに捲られた腕と足である。
ヤンキーっぽい奴に囲まれ、襲われていたとかいう展開の方がまだ納得出来た。彼らが誰であるかという問題より、どうして2人は一緒にいるのかという疑問の方が先に生じる。
「あのー、寝起きドッキリなら失敗してますよ。1人30万ずつ置いて退出して下さい」
「おっと、そいつは無理な相談だぜ」
「相談じゃなくて命令だから。早く出せピアスマン」
チャラ男は僕の嘆願に耳を貸さず動かない。次の言葉を考えていると、突然、自己紹介をし始める。
「俺は27歳の新色伊折。ちょうど君ぐらいの歳の頃に、人生の路線を変更してイケ男になったんだ」
「僕も27歳の新色伊折。僕は逆に路線の深化を決断して、何にも縛られない社畜になったんだ」
「縛られてるじゃん」
どうやら未来の僕らしい。人生の路線とか訳の分からない事を言っているが、かえって僕である事を実感させられ悲しくなる。
「高2の俺よ、今すぐ歯を黒くして流行に乗るんだ。俺は数十年以内に美人上司のヒモになる予定だから安心しろ」
「ツッコミ所が多すぎて困ってんだけど、とりあえずお前年下好き捨てたの?」
「俺は出世出来ねぇから年下も大体上司だ」
「自分を捨てちゃ駄目だ。このまま捻くれ腐れ少年でいろ。そのうち、ゲリラ戦で共闘した少女と結婚出来る」
「絶対僕じゃないよね。いつゲリラに行く程の積極性が生まれるんだよ」
「多分明日だ」
こいつらは楽しそうだが、話を聞いている限り、どちらの道を選んでも幸せになれなさそうである。
「さぁ、今すぐ新たな新色伊折に生まれ変わるんだ」
「いいや、新色伊折としての伝統を守るんだ」
「伝統って何だよ」
何かの勧誘並みにうざったい2人に抵抗する。すると、急に扉が開き、誰かが入ってくる。
「...黒、瀬?」
顔は大人びているが、間違いなく黒瀬のもの。だが、彼女はサイズの大きい緑のジャージを着ており、黒のズボンもブカブカである。
手足が完全に隠れてダウナーっぽさが増している、なんて事はどうでも良い。それより、確かめなければいけない事がある。
「えっと、その服とかズボンとかって、もしかして僕の?」
「...先輩、よく気づいたね」
そう言うと、彼女は男2人を蹴りで吹っ飛ばす。勢いそのままに、彼女は僕を押し倒す。
「...私は26歳の黒瀬楓、路線を切り替えて、欲しいものは強引に奪っちゃう事にしたの」
「ま、待て。この物語、年下の女に襲われる展開が多すぎやしないか」
「...先輩、私今は年上だから、ネタは被ってないよ」
「いや黒瀬に食われる話自体にど...ぐふっ!?」
彼女の押さえつける力が強まった瞬間、目が覚める。当然、この部屋には誰もいない。
確かに夢は滅茶苦茶なものだったりするが、こうも狂った内容だったのは初めてだった。ここまで謎だと、神からのメッセージとか、何らかの意味があるのではないかと推測してしまう。
朝なのに疲れの溜まった身体を起こし、立ち上がる。
「結構な年上に先輩って呼ばれるのって...まぁ、黒瀬だからな」
変わったり、変わらなかったりして生きていくのだろう。子供らしい妄想に、寝起きの頭でそう結論を下したのだった。
片方は、もはや前時代感のある派手な衣装に身を包み、ピアスと化粧をしたチャラ男。外見へのこだわりは伝わってくるが、その姿に弱々しい顔が追いつかず、ただダサいだけの人間になっている。
もう片方はネクタイの曲がったスーツを着ており、寝癖が跳ね、薄く髭の生えた不潔そうなサラリーマン。しかし何より目を惹くのは、社会人らしい服装なのに捲られた腕と足である。
ヤンキーっぽい奴に囲まれ、襲われていたとかいう展開の方がまだ納得出来た。彼らが誰であるかという問題より、どうして2人は一緒にいるのかという疑問の方が先に生じる。
「あのー、寝起きドッキリなら失敗してますよ。1人30万ずつ置いて退出して下さい」
「おっと、そいつは無理な相談だぜ」
「相談じゃなくて命令だから。早く出せピアスマン」
チャラ男は僕の嘆願に耳を貸さず動かない。次の言葉を考えていると、突然、自己紹介をし始める。
「俺は27歳の新色伊折。ちょうど君ぐらいの歳の頃に、人生の路線を変更してイケ男になったんだ」
「僕も27歳の新色伊折。僕は逆に路線の深化を決断して、何にも縛られない社畜になったんだ」
「縛られてるじゃん」
どうやら未来の僕らしい。人生の路線とか訳の分からない事を言っているが、かえって僕である事を実感させられ悲しくなる。
「高2の俺よ、今すぐ歯を黒くして流行に乗るんだ。俺は数十年以内に美人上司のヒモになる予定だから安心しろ」
「ツッコミ所が多すぎて困ってんだけど、とりあえずお前年下好き捨てたの?」
「俺は出世出来ねぇから年下も大体上司だ」
「自分を捨てちゃ駄目だ。このまま捻くれ腐れ少年でいろ。そのうち、ゲリラ戦で共闘した少女と結婚出来る」
「絶対僕じゃないよね。いつゲリラに行く程の積極性が生まれるんだよ」
「多分明日だ」
こいつらは楽しそうだが、話を聞いている限り、どちらの道を選んでも幸せになれなさそうである。
「さぁ、今すぐ新たな新色伊折に生まれ変わるんだ」
「いいや、新色伊折としての伝統を守るんだ」
「伝統って何だよ」
何かの勧誘並みにうざったい2人に抵抗する。すると、急に扉が開き、誰かが入ってくる。
「...黒、瀬?」
顔は大人びているが、間違いなく黒瀬のもの。だが、彼女はサイズの大きい緑のジャージを着ており、黒のズボンもブカブカである。
手足が完全に隠れてダウナーっぽさが増している、なんて事はどうでも良い。それより、確かめなければいけない事がある。
「えっと、その服とかズボンとかって、もしかして僕の?」
「...先輩、よく気づいたね」
そう言うと、彼女は男2人を蹴りで吹っ飛ばす。勢いそのままに、彼女は僕を押し倒す。
「...私は26歳の黒瀬楓、路線を切り替えて、欲しいものは強引に奪っちゃう事にしたの」
「ま、待て。この物語、年下の女に襲われる展開が多すぎやしないか」
「...先輩、私今は年上だから、ネタは被ってないよ」
「いや黒瀬に食われる話自体にど...ぐふっ!?」
彼女の押さえつける力が強まった瞬間、目が覚める。当然、この部屋には誰もいない。
確かに夢は滅茶苦茶なものだったりするが、こうも狂った内容だったのは初めてだった。ここまで謎だと、神からのメッセージとか、何らかの意味があるのではないかと推測してしまう。
朝なのに疲れの溜まった身体を起こし、立ち上がる。
「結構な年上に先輩って呼ばれるのって...まぁ、黒瀬だからな」
変わったり、変わらなかったりして生きていくのだろう。子供らしい妄想に、寝起きの頭でそう結論を下したのだった。
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