クラスに馴染めない少年はいつまで経っても初恋に囚われ続ける

Onfreound

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EP1

#24

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   「伊折君、私達も腕を組もうよ」

 放課後、バスを待つ生徒達の横を、カップルが数組通り過ぎて行く。

   「わざわざ僕をあんな破廉恥共の同類にさせないでくれ、黒歴史が増える」

   「いやいや、確かにあの人達は大衆の目に自分達の仲を曝け出したせいで、別れた後に恥ずかしい思い出になるかもしれないけど、伊折君は既にクズと噂される経験をしたんだから、これ以上恥ずかしくなる事はないよ」

   「お前のお陰だな、白渡もカップル共の間を通り抜けて片方に告白すれば同じ名声が得られるぞ」

 僕も白渡もバスを待つ列にいる。恋人達も冷たい目線を向けられているが、僕に注がれる蔑視よりはマシなような気がする。

   「実際デートに行った仲なんだしいいでしょ?ほら」

   「ぐ...おい」

 了承を待たずに腕を絡ませる白渡。突然馴染みのない柔らかさを感じ、体が縮まる。

   「おやおや、デートでは全然デレてくれなかった伊折君が緊張してる?可愛いじゃん」

   「違うわ、他人の視線がまたこっちに向いて困ってんだよ。だから離せって」

 情けない言い訳で誤魔化す。というかこいつ、顔少し赤らめてやがる。お前も恥ずかしいのかよ...

   「......」

   「く、黒瀬?いつの間に...」

 気付くと、僕らの横に黒瀬が立っている。どうやら、彼女は組まれた腕を睨みつけているようだった。

 ...睨みつけている?黒瀬が?

   「楓ちゃん、こんばんは」

   「...こんばんは、白渡さん」

 2人は静かな挨拶を終えると、互いに僕の方を向く。

 一方は、相変わらずのにこやかな目線。もう片方は、僕が見ても明らかな、不満と怒りの混じった目線。

 これは、言い逃れ出来ない。黒瀬は嫉妬している。それはつまり、僕に好意があると言っている様なもので。

 それこそが、"遊んでくれない"理由の候補のうち、唯一違っていて欲しい答えだった。
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